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 医学部 医学科 外科学講座 一般・消化器外科学分野(大橋)
 Division of General and Gastroenterological Surgery, Department of Surgery (Ohashi)

教授:
  斉田 芳久
  渡邉 学
准教授:
   長田 拓哉
   浅井 浩司
講師:
  榎本 俊行
  石井賢二郎
萩原 令彦  
院内講師:
  桐林孝治
■ 概要
消化器外科(食道・胃・大腸)
消化管疾患に対する年間の症例数は,胃癌約25 例,食道癌約10 例,大腸癌約120 例,その他で総数約300 例です。胃癌ではそれぞれの病期に合わせ,ガイドラインに従い内視鏡治療,腹腔鏡下手術などの縮小手術・標準手術・拡大手術を施行している。大腸癌では,進行癌・直腸癌にも積極的に(9割以上)腹腔鏡下手術を導入し,患者のQOL の向上に努めている。進行大腸癌による腸閉塞症例においては金属ステント(EMS)挿入による解除術を当科にて開発,予後の悪い緊急手術と人工肛門の減少に努力している。術後の化学療法に関してはJCOG などで全国の専門医と連携しながら臨床試験を積極的に行っている。術後成績:早期胃癌の5 年生存率は95%,進行胃癌の5 年生存率は44%,早期大腸癌の5 年生存率は98%,進行大腸癌の5 年生存率は70%。全消化管手術での術後重篤合併症の発生率は,3.8%と低率である。消化管に対する腹腔鏡下手術は1993 年から開始し,現在,食道癌,逆流性食道炎,食道裂孔ヘルニア,食道アカラシア,早期胃癌,胃腫瘍,十二指腸潰瘍穿孔,小腸腫瘍,イレウス,急性虫垂炎,炎症性腸疾患(クローン病,憩室炎など),大腸癌,直腸癌,鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアなど,緊急手術症例も含め積極的に施行している。2023年度からはロボット手術も導入した。
消化器外科(肝・胆・膵)
肝胆膵グループでは腹腔鏡下手術などの低侵襲手術から機能温存手術、大血管合併切除などの拡大手術まで多岐にわたり多くの手術を行っている。

肝臓手術
最近5年間の肝臓手術総数は92例であった。肝細胞癌に対しては肝機能因子と腫瘍因子(腫瘍径・部位・脈管侵襲など)より肝切除、RFAを中心とする焼灼療法、TACEを組み合わせた集学的治療を行い良好な治療成績をおさめている。肝細胞癌の5年生存率は38.8%であった。一方、大腸癌肝転移を中心とした転移性肝癌に対しても積極的に肝切除を行っており、大腸癌肝転移切除例の5年生存率は39.9%であった(非切除症例の5年生存率は4.6%)。

胆道手術
最近5年間の胆道手術総数は796例であった。胆嚢摘出術症例は年間150例以上を経験しているが、ほぼ100%腹腔鏡下に行っており、その完遂率は98%を越えている。急性胆嚢炎に対しては早期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、入院期間の短縮・診療コストの削減を図っている。また近年では単孔式腹腔鏡下手術(SILS: Single incision laparoscopic surgery・SPS: Single port surgery・TANKO)も積極的に取り入れており症例数も増加傾向にある。胆道癌に対しては非治癒因子がなければ積極的に切除を行っており、胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌の5年生存率はそれぞれ39.6%、40.5%、72.7%であった。

膵臓手術
最近5年間の膵臓手術総数は73例であった。膵癌に対する門脈合併切除も積極的に行いR0手術を心掛けている。また、症例によっては術前あるいは術後に放射線化学療法を行い、生存期間の延長に努めている。膵癌切除症例の5年生存率は29.7%であった。手術手技に関しては膵切除や吻合方法などに関してさまざまな工夫を行い術後合併症が減少し良好な手術成績をおさめている。また、近年では機能温存膵手術も行っており、嚢胞性膵疾患に対する脾臓・脾動静脈温存尾側膵切除や膵石症に対するFrey手術なども症例数が増加傾向にある。
呼吸器外科
呼吸器疾患に対する臨床的研究として,肺・縦隔腫瘍に対する手術療法を中心とした放射線,および化学療法との集学的治療を行っている。自然気胸や肺嚢胞症,転移性肺腫瘍,その他の良性腫瘍に対し胸腔鏡手術に対応している。縦隔疾患では,重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術を研究しており,すでに多くの症例を蓄積し,良好な成績を収めている。一方で,皮膚切開方法を独自に開発し,特に女性患者のQOL を改善した。さらに,胸腺腫の術前診断にMRI を応用し,その有用性を病理学的分析とともに解析している。
内分泌外科(乳腺・甲状腺)
城南地区に位置する大学付属病院として近隣クリニックからの紹介患者も多く,逆紹介などの病診連携を積極的に進めている。マンモグラフィ検診認定施設として女性技師が検査を実施し、複数の読影認定医による読影を行っている。また,年間2,000 例の乳腺超音波検査・超音波ガイド細胞診・針生検を行っている。さらに、乳癌センターにて初診患者の診療を行っている。
 昨年度は約60%の乳房温存率で,乳房に傷を残さない鏡視下手術を行うとともに、色素・RI 併用センチネルリンパ節生検で腋窩リンパ節郭清の省略など,病理学研究室および放射線科とともにチームで診療を行っている。補助療法に関しては,乳癌治療に関する各ガイドラインをベースに,術前,術後の化学・内分泌療法を行っており,各種遺伝子検査、コンパニオン診断による集学的治療を行っている。また術後のリンパ浮腫予防にも力を入れており、アロマオイルを用いたマッサージなどを指導している。臨床研究では種々のPhase Ⅱ trial やpilot study にも参加し,研究結果を乳癌学会などの学会・研究会に積極的に発表しており,隣接する他大学・基幹病院とともに年2 回の城南乳腺研究会や種々のフォーラムを密接に協力して運営し,講演の企画など城南地区の乳腺疾患に対する啓蒙活動や研鑽に努めている。
外科感染症
外科感染症対策チームは,Infection Control Doctor(ICD)が,病棟内の感染サーベイランス,周術期感染症に対し,臨床的,基礎的に広く研究している。特に教室が1987 年より集計している術後感染,穿孔性腹膜炎などの外科的感染症例や,その臨床分離菌を独自の詳細な集積を源に,分離菌の薬剤感受性を検討し,耐性菌予防のための抗菌化学療法などを研究している。これらは臨床的にも良好な成績を収めている。また,院内感染対策では独自の手指消毒マニュアルの作成や呼吸不全症例の管理,多臓器不全症例の耐性菌対策を研究している。
■ Keywords
センチネルリンパ節生検,乳房温存手術,甲状腺鏡視下手術, 乳腺腺鏡視下手術, アロマ外来, リンパ浮腫ケア, 各種遺伝子検査, 消化吸収能検査法,金属ステント留置,腹腔鏡下手術,MRSA,インフェクションコントロ-ル,ラマン,禁煙,緩和医療,乳がん検診,逆流性食道炎,胃癌,GIST,食道アカラシア,食道癌
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















斉田 芳久   教授
    1   1       
 2
 
 1
 
 
渡邉 学   教授
    1          
 
 
 
 
 
岡本 康   臨床教授
              
 
 
 
 
 
浅井 浩司   准教授
    1          
 
 
 
 2
(2)
 
長田 拓哉   准教授
              
 1
(1)
 
 
 
 
榎本 俊行   講師
    1          
 1
 
 1
 1
(1)
 
萩原 令彦   講師
    1          
 
 
 
 
 
秋山 美和   助教
              
 
 
 
 
 
桐林 孝治   助教
              
 
 
 
 
 
鯨岡 学   助教
    1          
 
 
 
 
 
新妻 徹   助教
              
 
 
 
 
 
西牟田 浩伸   助教
              
 
 
 
 
 
渡邉 隆太郎   助教
    1          
 
 
 
 
 
 0 0  0 0  0  0
(0)
 0
(0)
 3
(3)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














斉田 芳久   教授
         
 
 
渡邉 学   教授
         
 
 
岡本 康   臨床教授
         
 
 
浅井 浩司   准教授
         
 
 2
(2)
長田 拓哉   准教授
         
 
 
榎本 俊行   講師
         
 
 1
(1)
萩原 令彦   講師
         
 
 
秋山 美和   助教
         
 
 
桐林 孝治   助教
         
 
 
鯨岡 学   助教
         
 
 
新妻 徹   助教
         
 
 
西牟田 浩伸   助教
         
 
 
渡邉 隆太郎   助教
         
 
 
 0 0  0 0  0  0
(0)
 0
(0)
 3
(3)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
症例報告
1. Nakamura.G, Asai.K, Watanabe.R, Moriyama.H, Kujiraoka.M, Enomoto.T, Watanabe.M, Saida.Y:  Two cases of laparoscopic deroofing of giant liver cysts using indocyanine green fluorescence imaging.  Asian Journal of Endoscopic Surgery  17 (3) : , 2024
2. Kawata A, Hasegawa M, Morishita S, Fujii T, Hagiwara O, Joki N, Takahashi K, Yokouchi Y, Gomi T:  Amyand’s Hernia diagnosed preoperatively via a CT scan: A case report.  Radiology Case Reports  19 :2923 -2928 , 2024
■ 著書
1. 桑井寿雄, 斉田芳久:  狭窄治療.  消化器内視鏡ハンドブック  540-547.  医学図書出版,  東京, 2024
■ 学会発表
国内学会
1. ◎岸上朋生, 菊池真理, 横内幸, 川田礼, 梶山亜希子, 長谷川誠, 長田拓哉, 五味達哉: T2強調像で著明な高信号を呈した乳腺髄様癌の一例.  第461回日本医学放射線学会 関東地方会定期大会,  東京,  2024/06
2. 桐林孝治, 西牟田浩伸, 萩原令彦, 新妻 徹, 伊藤一樹: 当科におけるCOPD合併肺癌手術症例の検討.  第41回日本呼吸器外科学会学術集会,  長野県北佐久郡,  2024/06
3. ◎橋本瑤子, 嶋村和彦, 吉水信就, 貴島孝, 登内晶子, 井上正章, 横内幸: 外科切除と術後化学療法を行っている遠隔転移を伴う上行結腸MiNENの1例.  第49回日本外科系連合学会学術集会,  東京,  2024/06
4. 大塚 亮, 藤本直己, 花畑憲洋, 高雄暁成, 桑井寿雄, 遠藤俊吾, 松田明久, 榎本俊行, 山本龍一, 佐々木善浩 , 伊佐山浩通, 斉田芳久: 悪性大腸閉塞に対するHANAROSTENTⓇNaturfit™を用いた大腸ステント留置術の短気成績 他施設共同前向き観察研究.  第107回日本消化器内視鏡学会総会,  東京,  2024/05
5. ◎新妻 徹, 桐林孝治, 西牟田浩伸, 萩原令彦, 伊藤一樹, 斉田芳久: 当科における血胸・血気胸(特発性、外傷性、医原性)に対する手術症例の検討.  第41日回本呼吸器外科学会学術集会,  長野県北佐久郡,  2024/05
国際学会
1. ◎Murakami T, Isayama H, Ikeda S, Hanabata N, Enomoto T, Kuwai T, Ushigome M, Ohtsuka H, Endo S, Saito S, Ogawa S, Yamamoto R, Kayahara T, Matsumoto S, Sasaki Y, Saida Y: Newly developed self‐expandable metallic stent with low axial force and high axial force zero border shows very low perforation rate for malignant colorectal obstruction: a Japanese multicenter  prospective study.  Digestive Disease Week 2024,  Washington,  2024/05
その他
1. ◎浅井浩司: デバイスの安全使用から技術認定合格レベルへ向けた手術手技.  消化器外科Ⅱ腹腔鏡下胆嚢摘出術ビデオカンファレンス,  沖縄県浦添市,  2024/07
2. ◎浅井浩司, 渡邉隆太郎, 寺岡晋太郎, 渡邉 学: 慢性膵炎・膵石症に対する膵管減圧術の治療成績.  The 11th Summer Seminar in Okinawa(2024),  沖縄県浦添市,  2024/07
3. ◎渡邉 学,: 知っておいてほしいAMR対策を踏まえたカルバペネムの使い方.  SHIONOGI Web カンファレンス,  Web開催,  2024/07
4. ◎榎本俊行: クリニカルパスと大建中湯.  外科医と大建中湯 KAMPO WEB セミナー,  Web開催,  2024/05
  :Corresponding Author
  :本学研究者