<<< 前 2009年度 | 2010年度 | 2011年度
 理学部 生命圏環境科学科 環境創成科学部門
 Division of Sustainable Development Sciences

教授:
  大越 健嗣
  佐藤 研二
  鈴木 実
  山口 勉
  渡辺 恒夫
准教授:
  朝倉 暁生
■ 概要
大越研究室
産業活動のグローバル化により様々な外来生物が国内に移入し、生物生産の現場や干潟の生物多様性に影響を与えている。また、地球の温暖化や海洋の酸性化は炭酸カルシウムの殻をもつ極海域に生息する生物にダメージを与えつつある。さらには深海生態系は未だに不明な点が多く、その保全も今後の課題である。これらを踏まえ、当研究室では「from reef to deep, from tropical to Antarctic, Think globally, act locally」をモットーに、人間活動と環境との関わりを切り口に、世界の海を対象として研究をすすめている。
1)外来生物の沿岸環境、水産増養殖に対する影響評価と対策
2)深海・極域に生息する生物の発生、成長、再生産機構の解明
3)海洋生物の元素濃縮とバイオミネラリゼーション機構の解明
4)水産物の原料・原産地判別技術の開発
佐藤研究室
化石エネルギーの大量消費は地球温暖化をはじめ大きな環境負荷を与え,この問題を打開するため,低環境負荷エネルギーの可能性が模索されている。そのための新しい技術が種々開発されつつあるが,安全に使いこなせる技術でなければ社会に広く普及することは困難である。本研究室では,現在利用されているあるいは新たな展開をみせている種々の効果的なエネルギー利用に欠かせない,火災・爆発などの現象が関与する事象に関する安全性の検討を中心に研究を行っている。新たなエネルギーキャリアーとして注目されている水素,および炭化水素を主な対象物質としている。卒業研究においては,太陽熱,風力に関するテーマについても,装置の設計・製作と実験を組み合わせて行った。
山口研究室
1)メタンハイドレート資源開発に関する研究
メタンハードレート資源は純国産のエネルギー資源として日本近傍の海域に大量の賦存が見込まれている。本研究では、メタンハイドレートを安定して生産することを目的とし、メタンハイドレートの生成速度を種々の条件下で測定する実験に着手した。
2)次世代地熱発電システムに関する研究
天然の地熱貯留層を用いた地熱発電は近年東南アジアにおいて普及が著しい。本研究では地熱エネルギーの積極的利用を目指して人工地熱貯留層による高温岩体発電の研究を実施しているが、本年度はオーストラリアのクーパー・ベイズンを対象として数値シミュレーションにより、その発電能力等を検討した。
3)地盤・岩盤材料に関する基礎的研究
地盤・岩盤材料の力学的特性は地下深部に造成される大規模地下空間の長・短期の安定性を評価する上で重要である。本研究ではこれまでに発表された種々の岩石の力学的特性をデータ・ベースとしてとりまとめることを目的としており、本年度はデータ・ベースの基本的な構造について検討を実施した。
4)鉱物・エネルギー資源分野の循環型社会システムの構築に関する研究
鉱物資源やエネルギー資源の少ない我が国にとって、これら資源の需給構造を明らかにし、でき得る限りの循環型社会システムを構築することが重要である。本研究では、本年度、エコ・リュックサックの観点からいくつかの製品についてマテリアル・バランスの計算を実施した。
渡辺研究室
1)東洋的認識論と太極拳の実践
 前年度に続き,東洋的認識論を人間科学に応用するための理論的考察を行うのと共に,その応用の場として太極拳を取り上げ,脳波測定を含む生理心理学的基礎研究を開始した。
2)緑環境と心身状態の相互作用
 環境心理学の一環として,自然環境と心身状態の相互作用の心理生理学的測定研究を行った。具体的には,自然風景の画像と都市環境画像を提示し,ストレスの指標としての皮膚電気活動と心拍を測定する方法を用いた。
3)環境科学の科学基礎論
 分析・価値中立・客観性を旨とする近代科学に対立するものとして、環境科学に、総合・価値志向・主観の導入という特徴付けを行って科学論的考察を試みた。
鈴木研究室
人間の生活や生産活動に伴って排出される廃棄物は,都市化や工業化が進むほど膨大な量に達する。当研究室では,廃棄物やバイオマスの特徴である潜在エネルギーの大きさと供給の安定性に着目し,これらの熱エネルギーの高効率回収や再資源化のための新たなキーテクノロジーの開発を理論と実験の両面から追及している。 また,特殊な燃焼現象である収束デトネーションで得られた数百MPa レベルの超高圧水中衝撃波を利用したユニークな殺菌技術の開発を,2008年8月からJST(科学技術振興機構)からの受託研究として実施中である。現在,大型衝撃殺菌試験装置を用いた超高圧水中衝撃波の発生機構及び殺菌機構の解明に加え,船舶バラスト水及び循環水に注目した実験的研究を実施中であり、2009年11月から処理量5m3/hのエンジン式実証機による実用性評価試験を行っている。
朝倉研究室
1)地球温暖化に関する科学と社会のコミュニケーションのあり方
 2007 年度より2011 年度までの予定で,環境省環境研究総合推進費(S-5)「地球温暖化に係る政策支援と普及啓発のための気候変動シナリオに関する総合的研究」の部分担当として,地球温暖化問題に関する研究分野における予測結果などを政策決定者や国民などに広く伝達する方法についての研究を行っている。
2)環境計画・政策の策定プロセスにおける合意形成コミュニケーションのあり方
 環境計画・政策に対する市民の自主的・積極的な関与を求めるためには,その策定段階において十分な合意形成が図られることが求められるが,合意形成に時間をかけ過ぎることによるデメリットも発生する。このため,合意形成プロセスにおいて,効果的かつ効率的なコミュニケーションを図るための場の運営方法などコミュニケーションの方法論についての研究を行っている。
3) 都市の持続可能性評価指標に関する研究
 上記2)に関連し、コミュニケーションのための様々な指標開発を行っている。本研究室ではコンパクトシティにおける都市の持続可能性という点に着目した評価指標作成および体系化に関する基礎的な研究を行っている。
■ Keywords
沿岸環境, 水産物, 超高圧水中衝撃波, 殺菌技術, メタンハードレート, 地熱エネルギー, エネルギー安全, 水素, 地球温暖化問題, 環境計画・政策, 合意形成コミュニケーション, 持続可能性評価指標, 環境心理学, 心理生理学的測定
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















大越 健嗣   教授
農学博士
  1            
 3
(3)
 
 
 
 
佐藤 研二   教授
工学博士
   1           2
 
 1
 
 
 
鈴木 実   教授
工学博士
              
 9
(9)
 
 
 
 
山口 勉   教授
工学博士
              
 
 
 
 
 
渡辺 恒夫   教授
博士(学術)
   1           
 
 
 
 
 
朝倉 暁生   准教授
工学博士
  2            
 
 
 
 
 
 0 2  0 0  0  2
(0)
 1
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














大越 健嗣   教授
農学博士
         
 
 
佐藤 研二   教授
工学博士
  1       2
 1
 
鈴木 実   教授
工学博士
         
 
 
山口 勉   教授
工学博士
         
 
 
渡辺 恒夫   教授
博士(学術)
  1       
 
 
朝倉 暁生   准教授
工学博士
         
 
 
 0 2  0 0  0  2
(0)
 1
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. 高橋潔、杉山昌広、江守正多、沖大幹、長谷川利拡、住明正、福士謙介、青柳みどり、朝倉暁生、松本安生:  地球温暖化リスクの伝達の実践の試み~メディア関係者との意見交換と市民対象の双方向型シンポジウム~.  科学技術社会論研究  (9) :40-53 , 2011
2. 三瓶由紀、江守正多、青柳みどり、松本安生、朝倉暁生、高橋潔、福士謙介、住明正:  研究者・メディア間の温暖化リスクコミュニケーション促進に向けた対話型フォーラムの可能性.  科学技術社会論研究  (9) :54-69 , 2011
3. 大越健嗣:  海洋生物-ミリレベルの優位性.  生物科学  62 (3) :166-171 , 2011
4. Watanabe T:  (2011). From Spiegelberg’s “I-am-me” Experience to the Solipsistic Experience: Towards a Phenomenological Understanding.  Encyclopaideia – Journal of Phenomenology and Education  XV(29) :91-114 , 2011
5. Sato K, Tano S, Maeda Y:  Observations of venting explosions in a small cubic vessel with rich propane-air mixtures.  Fire and explosion hazards poceedings of the sixth international seminar  :671 -682 , 2011
■ 学会発表
国内学会
1. ◎佐藤研二, 田野翔: ガス爆発時の局所的な火炎の微細構造の成長と減衰.  第49回燃焼シンポジウム,  横浜,  2011/12
2. ◎宇田川洋一, 安西竜也, 鈴木実: 収束爆轟によって駆動された水中衝撃波による水生生物処理.  日本燃焼学会,  横浜市,  2011/12
3. ◎岡貴璃子, 中村徹, 鈴木実: 気体衝撃波を利用したバイオ水素の製造に関する研究.  日本機械学会,  浜松市,  2011/10
4. ◎中村徹, 岡貴璃子, 鈴木実: 強い衝撃波による温室効果ガスの直接分解に関する研究.  日本機械学会,  浜松市,  2011/10
5. ◎鈴木実, 山口沙耶香: 気体収束爆轟によって駆動された水中衝撃波の最高圧力に及ぼす初期ガス圧の影響.  日本機械学会,  東京,  2011/09
6. ◎宇田川洋一, 安西竜也, 鈴木実: 水中微生物に及ぼす水中衝撃波の影響.  日本機械学会,  東京,  2011/06
7. ◎石川恭央, 鈴木実: 強い衝撃波を用いたCO2の直接分解に伴うCOの発生特性.  日本機械学会,  東京,  2011/06
8. ◎渡辺恒夫: 夢科学の哲学Ⅱ:夢の現象学」単独発表 (松山市).  2011年度科学基礎論学会総会と講演会,  松山市,  2011/06
9. ◎香取輝, 鈴木実: 収束爆轟装置による水中衝撃波発生に関する研究.  廃棄物資源循環学会,  川崎市,  2011/06
10. ◎手塚隆一, 鈴木実: 断熱圧縮による穀物殺菌に関する研究.  廃棄物資源循環学会,  川崎市,  2011/06
11. ◎徳永久美子, 鈴木実: 微生物中有用物質の物理的抽出に関する基礎的研究.  廃棄物資源循環学会,  川崎市,  2011/06
12. 大越健嗣: 深海および極域に生息する貝類のミネラリゼーションと海洋酸性化の影響.  マリンバイオテクノロジー学会,  東京,  2011/05
13. ◎佐藤研二: 小火炎により着火した綿の燃焼現象.  平成22年度日本火災学会研究発表会,  東京,  2011/05
14. 大越健嗣, 長谷川優, 鈴木聖宏, 山口竜平: サキグロタマツメタの捕食・被食関係-干潟の生物多様性への影響.  日本貝類学会,  福岡,  2011/04
15. 鈴木陽大, 大越和加, 大越健嗣, 佐々木洋, 秋葉文弘, 平塚悠治, 遠藤宜成: 南極海インド洋区における有殻翼足類Limacina helicina antarcticaの貝殻成長について―速報.  日本貝類学会,  福岡,  2011/04
国際学会
1. ◎Watanabe T: Developmental Epochè?: A five-years-old child had an “I-am-me” experience and immediately afterwards created the “incarnation doctrine”.  The 30th International Human Science Research Conference (Oxford, UK),  Oxford, UK,  2011/07
2. ◎Sato K, Tano S: Flame behaviors in small-scale explosion with localized instability development after vent activation.  10th International Symposium for Fire Safety Sciences,  Hyattsville, MD, USA,  2011/06
  :Corresponding Author
  :本学研究者