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 医学部 医学科 生化学講座/生化学分野
 Department of Biochemistry Division of Medical Biochemistry

教授:
  中野 裕康
講師:
  土屋 勇一
  三宅 早苗
■ 概要
細胞死亢進の結果もたらされる表皮の恒常性維持機構の破綻
アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患は、表皮バリア機構が不全となり、水分の過剰な消失や外界から病原体が侵入し、病態のさらなる増悪が引き起こされると考えられる。その原因は感染や遺伝性要因などが考えられるが、詳細はわかってない。本研究ではデス受容体からの細胞死の抑制に必須の分子であるcFLIPを表皮特異的に遺伝子欠損したマウスを樹立し、表皮の細胞死が亢進しした結果どのようなメカニズムにより皮膚炎が誘導されるかの解析を行った。表皮特異的cFLIP欠損マウスは、TNF受容体存在下では胎生の18.5日に表皮基底細胞のアポトーシスが亢進し、致死となることが明らかとなった。TNF受容体欠損マウスとの二重欠損マウスを作成すると、メンデルの法則にしたがい出生したが、生後5日目ごろから皮膚炎を発症し、生後7日以内にほとんどすべての個体が致死となった。組織学的な解析から二重欠損マウスでは表皮細胞のアポトーシスの増加と基底細胞の増殖の亢進、不全角化を伴う角化層の肥厚が認められた。またLoricrin, FilaggrinやKeratin 10などの表皮の後期分化マーカーの発現の著明な低下と、それに対応して表皮からの水分蒸散量の顕著な増加を認めた。細胞死を抑制するためにTNF以外のデスリガンドであるFasL及びTRAILに対する中和抗体を出生3日目から投与したところ、皮膚炎の改善と生存期間の延長が認められた。また皮膚炎に伴いIL-6, IL-17aやIL-24などの炎症性サイトカインの発現が上昇していた。これらのサイトカインが表皮の分化障害に関与する可能性を検討するために、初代培養ケラチノサイトを調整し、in vitroでの細胞分化培養系に添加したところ、IL-6と共培養することでLoricrin, FilaggrinやKeratin 10などの分化マーカーの発現の著明な抑制が認められた。以上より、細胞死に伴う炎症が誘導されている表皮の微小環境では、炎症性サイトカインの産生上昇と、それによる表皮の分化障害が誘導され、その結果表皮バリア機能が低下し、さらに外界からの細菌などの侵入による炎症の増悪という負のサイクルが存在することが明らかとなった。
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  平成29年文部科学省科学研究費 新学術領域研究  (研究課題番号:26110003)
 研究課題:計画的ネクローシスが担う生体応答機構の解明  (研究代表者:中野裕康)
 研究補助金:19600000円  (代表)
2.  平成29年文部科学省科学研究費 基盤研究(B)  (研究課題番号:17H04069)
 研究課題:新生児期における上皮バリア維持機構の解明  (研究代表者:中野裕康)
 研究補助金:4400000円  (代表)
3.  平成29年文部科学省科学研究費 挑戦的萌芽研究  (研究課題番号:17K19533)
 研究課題:ネクロプトーシスとDAMPs放出のライブセルイメージング  (研究代表者:中野裕康)
 研究補助金:2500000円  (代表)
4.  平成29年文部科学省科学研究費 基盤研究(C)  (研究課題番号:17K08994)
 研究課題:肝細胞死亢進マウスを用いた非アルコール性脂肪性肝炎のバイオマーカーと治療法の開  (研究代表者:土屋勇一)
 研究補助金:1700000円  (代表)
5.  平成29年文部科学省科学研究費 基盤研究(C)  (研究課題番号:16K01378)
 研究課題:計画的ネクローシスのライブセルイメージング  (研究代表者:村井晋)
 研究補助金:1200000円  (代表)
6.  平成29年文部科学省科学研究費 挑戦的萌芽研究  (研究課題番号:16K15681)
 研究課題:敗血症におけるヒストン誘導性細胞死の機構解明  (研究代表者:中林修)
 研究補助金:1100000円  (代表)
7.  平成29年文部科学省科学研究費 新学術領域研究 (国際共同研究加速基金「国際活動支援班」)  (研究課題番号:15K21753)
 研究課題:日豪細胞死研究協議会を核とした細胞死研究国際コミュニテイの形成  (研究分担者:中野裕康)
 研究補助金:5050000円  (分担)
その他
1.  公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団
 研究課題:FRETを用いたネクロプトーシスの可視化技術の開発とDAMPs放出のメカニズムの解明  (研究代表者:中野裕康)
 研究補助金:4000000円  (代表)
■ 当該年度の主催学会・研究会
1.  第26回日本Cell Death学会学術集会  (年会頭 : 中野裕康 )  ,東京  2017/07
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  中野裕康 :日本免疫学会評議委員
2.  中野裕康 :日本Cell Death学会理事
3.  中野裕康 :日本生化学会評議委員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















中野 裕康   教授
   1 2   1  1     2
(2)
 11
(3)
 1
(1)
 
 1
(1)
 2
三宅 早苗   講師
理学博士
    1          
 3
(1)
 
 
 
 
土屋 勇一   講師
              
 
 
 
 
 
出口 裕   助教
薬学博士
       1       
 1
 
 
 
 1
村井 晋   助教
理学博士
              2
(1)
 
 
 
 
 
中林 修   助教
              1
(1)
 2
(2)
 
 
 
 
 0 1  0 0  0  5
(4)
 1
(1)
 1
(1)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Xuehua Piao, Ryosuke Miura, Sanae Miyake, Sachiko Komazawa-Sakon, Masato Koike, Ryodai Shindo, Junji Takeda, Akito Hasegawa, Riichiro Abe, Chiharu Nishiyama, Tetsuo Mikami, Hideo Yagita, Yasuo Uchiyama, and Hiroyasu Nakano:  Blockade of TNFR1-dependent and -independent cell death is crucial for normal epidermal differentiation.  Journal of Allergy and Clinical Immunology  :in press , 2018
2. Yamazaki S, Tanaka Y, Araki H, Kohda A, Sanematsu F, Arasaki T, Duan X, Miura F, Katagiri T, Shindo R, Nakano H, Ito T, Fukui Y, Endo S, Sumimoto H.:  The AP-1 transcription factor JunB is required for Th17 cell differentiation.  Scientific Reports  7 (1) :17402 , 2017
総説及び解説
1. Nakano H, X Piao, R Shindo, S Komazawa-Sakon:  Cellular FLICE-inhibitory protein regulates tissue homeostasis.  Current topics in Microbiology and Immunology  403 :119 -141 , 2017
■ 著書
1. 仁科 隆史、出口 裕:  親電性物質によるインターロイキン-11の発現制御と生体における役割.  臨床免疫・アレルギー科  556-562.  科学評論社,  東京都、日本, 2017
2. Shigekazu Nagata, Hiroyasu Nakano:  Apoptotic and Non-apoptotic cell death.  Current Topics in Microbiology and Immunology  1-183.  Springer International Publishing AG,  Cham, Switzerland, 2017
■ 学会発表
国内学会
1. ◎Ryodai Shindo、Soh Yamazaki、Hiroyasu Nakano: RORγt-positive cells mediate RIPK3- and MLKL-dependent lethal ileitis in neonatal mice.  第46回日本免疫学会学術集会,  仙台市,  2017/12
2. ◎村井 晋、 山口 良文、白崎 善隆、進藤 綾大、中林 修、三浦 亮介、冨田 太一郎、赤羽 悟美、三浦 正幸、中野 裕康: ネクロプトーシスをモニターするFRETバイオセンサーによるDAMPs放出メカニズムの解明.  2017年度 生命科学系学会合同年次大会,  神戸,  2017/12
3. ◎中林 修、 高橋 宏隆、澤崎 達也、吉田 雪子、 佐伯 泰、中野 裕康: MIND BOMB-2はcFLIPLをユビキチン化することで細胞死を抑制する.  2017年度 生命科学系学会合同年次大会,  神戸,  2017/12
4. ◎三浦 亮介、朴 雪花、三宅 早苗、駒沢 幸子、小池 正人、進藤 綾大、内山 安男、中野 裕康: CFLIPはTNFR1依存的な致死的な皮膚炎とTNFR1非依存的な表皮分化障害を防ぐ.  第40回日本分子生物学会年会 第90回日本生化学会大会,  神戸,  2017/12
5. ◎中野 裕康: ネクロプトーシスによる生体応答制御.  第40回日本分子生物学会年会 第90回日本生化学会大会,  神戸,  2017/12
6. ◎中野裕康: インターロイキン11の産生制御と産生細胞の同定.  第14回レドックス・ライフイノベーションシンポジウム,  仙台市、青葉区,  2017/10
7. ◎山﨑 創、朴 雪花、駒澤 幸子、三宅 早苗、中林 修、田中 稔、大村谷 昌樹、及川 彰、角田 宗一郎、内山 安男、 田中 正人, 中野 裕康: 肝特異的cFLIP低発現マウスを用いた肝障害モデルの解析.  第26回日本Cell Death学会学術集会,  東京都大田区,  2017/07
8. ◎三浦 亮介、朴 雪花、三宅 早苗、駒沢 幸子、小池 正人、進藤 綾大、内山 安男、中野 裕康: cFLIPはTNFR1依存的な致死的皮膚炎とTNFR1非依存的な表皮分化障害を防ぐ.  第26回日本Cell Death学会学術集会,  東京都大田区,  2017/07
9. ◎三好 嗣臣、黒澤 武介、仁科 隆史、山崎 創、本間 栄、中野 裕康: Ⅱ型肺胞上皮細胞障害の障害と再生に関する解析.  第26回日本Cell Death学会学術集会,  東京都大田区,  2017/07
10. ◎進藤 綾大、大村谷 昌樹、駒澤 幸子、三宅 早苗、山﨑 創、仁科 隆史、小西 博之、木山 博資、三上 哲夫、荒木 喜美、中野 裕康: RORγt陽性細胞はRIPK3およびMLKL依存性に小腸炎を誘導する.  第26回日本Cell Death学会学術集会,  東京都大田区,  2017/07
11. ◎村井 晋、白崎 善隆、山口 良文、冨田 太一郎、赤羽 悟美、三浦 正幸、中野 裕康: SMARTによるネクロプトーシス進行の継時的解析.  第26回日本Cell Death学会学術集会,  東京,  2017/07
12. ◎片桐 翔治、朴 雪花、進藤 綾大、駒沢 幸子、大村谷 昌樹、中野 裕康: 腸上皮特異的cFLIP欠損マウスで見られるTNFR1非依存性腸炎の発症メカニズムの解析.  第26回日本Cell Death学会学術集会,  東京都大田区,  2017/07
13. ◎仁科 隆史、出口 裕、三浦 亮介、山﨑 創、新開 泰弘、小島 裕子、奥村 康、熊谷 嘉人、中野 裕康: 親電子リガンドによるIL-11産生機構とその生体における役割の解明.  第44回日本毒性学会学術年会,  横浜、日本,  2017/07
国際学会
1. ◎Hiroyasu Nakano: RORγt+ group 3 innate lymphoid cells mediate RIPK3-dependent lethal ileitis.  16th TNF super family meeting,  シンガポール,  2017/04
その他
1. ◎中野裕康: 細胞死による生体応答制御.  第150回東邦医学会例会,  東京都大田区,  2017/06
  :Corresponding Author
  :本学研究者