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 医学部 医学科 生化学講座/生化学分野
 Department of Biochemistry Division of Medical Biochemistry

教授:
  中野 裕康
講師:
  三宅 早苗
土屋 勇一
■ 概要
1. cFLIPによる表皮恒常性維持機構の解明
2014年度の解析から、表皮特異的cFLIP欠損マウスは胎生18.5日目で基底細胞の著明なアポトーシスにより致死となること、及びTNFR1欠損マウスとの二重欠損マウスを作成することで、メンデルの法則に従って出生するが、生後10日以内に重篤な皮膚炎を発症し、致死となることを明らかにした。そこで本年度はどのようなメカニズムによりcFLIPE-KO;TNFR1 KOマウスの皮膚炎が発症するかを検討した。表皮のWestern blot及び免疫染色の解析から、表皮の初期の分化マーカーであるKeratin 5の発現は出征直後、及び皮膚炎が発症した生後6~7日目でも変化がないことが明らかとなった。一方で後期分化マーカーであるKeratin 10やLoricrinの発現は出生直後は正常だが、皮膚炎の発症とともに発現が消失することを見出した。一方で細胞増殖に関与する転写因子であるSTAT3のリン酸化は皮膚炎の発症とともに亢進していることが判明した。cFLIP欠損マウス由来の表皮と野生型表皮の網羅的な遺伝子発現解析を解析したところ複数の炎症性サイトカインの発現の亢進が認められた。現在それらのサイトカインのどれが、どのようなメカニズムで表皮の分化障害を誘導しているかについて解析を行っている。
2. 計画的ネクローシスにより誘導される生体応答の解析
2014年度にcFLIPs遺伝子をX染色体の特定の遺伝子座に挿入したトランスジェニックマウスを樹立したところ、cFLIPs遺伝子が全ての細胞で発現するXTgYマウスでは胎生致死となること、XTgXマウスでは腸管上皮細胞にモザイク状にアポトーシスが誘導されるものの、多くは出生し正常に発育妊娠することが明らかとなった。遺伝子発現解析から細胞死に伴い腸管で組織修復や抗菌作用のあるReg3bやReg3gの発現が更新していたことから、これらの遺伝子が腸管上皮細胞後の組織修復に関与するのかを明らかにするために、Crispr/Cas9法を用いてReg3b及びReg3gのKOマウスを樹立した。樹立したそれぞれのKOマウスは何らストレスを与えない状況では腸管病変が生じなかった。一方でXTgXマウスとReg3b KO及びReg3g KOマウスを交配したところXTgX;Reg3b KOマウスは生まれてこないのに対して、XTgX;Reg3g KOマウスはXTgXマウスと同程度に生まれてくることが明らかとなった。以上より細胞死に伴い腸管上皮細胞から産生されるReg3bはその後の組織修復に関与すると考えられるが、Reg3gはそれには関与しないことが明らかとなった。
■ Keywords
cFLIP, 表皮分化, X染色体不活性化, Tgマウス, アポトーシス, TNFα, Reg3b, Reg3g
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  平成27年文部科学省科学研究費 新学術領域研究 (国際共同研究加速基金「国際活動支援班」)  (研究課題番号:15K21753)
 研究課題:日豪細胞死研究協議会を核とした細胞死研究国際コミュニテイの形成  (研究分担者:中野 裕康)
 研究補助金:1000000円  (分担)
2.  平成27年日本学術振興会 ひらめき⭐︎ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI  (研究課題番号:H27108)
 研究課題:細胞の「死」が生命(いのち)を支えていることを学ぼう  (研究代表者:中野 裕康)
 研究補助金:356000円  (代表)
3.  平成27年文部科学省科学研究費 新学術領域研究  (研究課題番号:26110003)
 研究課題:計画的ネクローシスが担う生体応答機構の解明  (研究代表者:中野 裕康)
 研究補助金:24100000円  (代表)
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















中野 裕康   教授
  1  2          3
(2)
 7
(6)
 2
(1)
 
 
 
三宅 早苗   講師
理学博士
              1
 
 
 1
 
 
土屋 勇一   講師
   2           1
 
 
 
 
 
出口 裕   助教
薬学博士
              1
(1)
 4
(4)
 
 
 
 
村井 晋   助教
理学博士
    1          
 1
 
 1
 
 
中林 修   助教
農学博士
    1          
 
 
 
 
 
 0 2  0 0  0  6
(3)
 2
(1)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Tsuchiya Y, Murai S, Yamashita S:  Dual inhibition of Cdc2 protein kinase activation during apoptosis in Xenopus egg extracts.  The FEBS journal  282 (7) :1256 -1270 , 2015
総説及び解説
1. 進藤綾大、中野裕康:  ネクロプトーシスによる生体応答制御機構.  臨床免疫・アレルギー科  63 (5) :401 -405 , 2015
2. Klionsky, Nakano etal.:  Guidelines for the use and interpretation of assays for monitoring autophagy (3rd edition).  Autophagy  12 (1) :1 -222 , 2016
3. Tsuchiya Y, Nakabayashi O, Nakano H:  FLIP the Switch: Regulation of Apoptosis and Necroptosis by cFLIP.  International Journal of Molecular Sciences  16 (12) :30321 -30341 , 2015
■ 学会発表
国内学会
1. ◎中野裕康: cFLIPによる細胞死制御.  日本薬学会第136 年会,  横浜市,  2016/03
2. ◎仁科隆史, 出口裕, 三上哲夫, 中野裕康: インターロイキン(IL)-11レポーターマウスを用いた炎症性大腸発癌モデルにおけるIL-11産生細胞の解析.  第12回 4学部合同学術集会,  東京,  2016/03
3. ◎仁科隆史, 出口裕, 三上哲夫, 中野裕康: 炎症性大腸発がんモデルを用いたインターロイキン(IL)-11 産生細胞の同定.  第147回東邦医学会例会,  東京,  2016/02
4. ◎出口裕, 仁科隆史, 大塚正人, 中村衣里, 小島裕子, 三上哲夫, 多田昇弘, 中野裕康: 大腸がんの発症と進行におけるInterleukin-11の産生細胞の免疫組織化学的解析.  第38回 日本分子生物学会大会 第88回 日本生化学会大会 合同大会,  神戸,  2015/12
5. ◎小島裕子, 仁科隆史, 中野裕康, 八木田秀雄, 竹田和由: がん細胞特異的細胞死誘導分子の局在に着目した分子標的がん治療の新たな展開.  第38回 日本分子生物学会大会 第88回 日本生化学会大会 合同大会,  神戸,  2015/12
6. ◎仁科隆史, 出口裕, 大塚正人, 中村衣里, 小島裕子, 三上哲夫, 多田昇弘, 中野裕康: インターロイキン(IL)-11レポ-ターマウスを用いた炎症性大腸発がんモデルにおけるIL-11産生細胞の解析.  第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会,  神戸,  2015/12
7. ◎進藤綾大、大村谷昌樹、駒澤幸子、三宅早苗、小池正人、内山安男、荒木喜美、中野裕康: 細胞死亢進マウスを用いた新たな代償性増殖に関与する因子の同定.  第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会,  神戸,  2015/12
8. ◎朴雪花, 三宅早苗, 小池正人, 角田宗一郎, 内山安男, 中野裕康: 表皮特異的Cflip欠損マウスはTNFa非依存性に皮膚炎を発症する.  第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会,  神戸市,  2015/12
9. ◎土屋勇一, 村井晋: cFLIP結合タンパク質の同定と 機能的役割の解析.  第69回東邦医学会総会,  東京,  2015/11
10. ◎三宅早苗、朴雪花、小池正人、角田宗一郎、内山安男、中野裕康: 表皮特異的cFlip欠損マウスの表皮細胞はアポトーシスが亢進するとともに分化異常を呈する.  第24回日本Cell Death学会学術集会,  大阪、日本,  2015/07
11. ◎中野裕康: 細胞死亢進マウスを用いた代償性増殖に関与する因子の同定.  第24回日本Cell Death学会学術集会,  大阪市,  2015/07
12. ◎仁科隆史, 出口裕, 大塚正人, 中村衣里, 小島裕子, 多田昇弘, 中野裕康: インターロイキン(IL)-11を介した生体の恒常性維持機構の解析.  第15回日本蛋白質科学会年会,  徳島,  2015/06
13. ◎中野裕康: Targeted integration of CFLIPs on the X chromosome in mice results in identification of genes that promote compensatory proliferation.  第44回日本免疫学会,  札幌市,  2015/12
国際学会
1. ◎Nakano, H.: Targeted integration of CFLIPs on the X chromosome in mice results in identification of genes that promote compensatory proliferation.  Japan Australia Cell Death Meeting,  Melbourne, Australia,  2015/10
2. ◎Piao X, Miyake S, Komazawa-Sakon S, Koike M, Uchiyama Y, Nakano, H.: Deletion of Cflip in the epidermis results in TNFR1-dependent and independent lethal dermatitis.  Japan Australia Cell Death Meeting,  Melbourne, Australia,  2015/10
3. ◎Nakano H, Ohmuraya M, Komazawa-Sakon S, Miyake S, Murai S, Araki K, Shindo R.: Targeted integration of human cFLIPs gene on X chromosome results in RIPK3-dependent apoptosis and necroptosis.  15th International TNF conference,  Ghent, Belgium,  2015/05
  :Corresponding Author
  :本学研究者