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 薬学部 病態生化学教室
 Department of Pathological Chemistry

教授:
  松本 宏治郎
准教授:
  東 祐太郎
講師:
  檜貝 孝慈
■ 概要
1)NK細胞のレクチン様受容体の機能解析
NK細胞上のレクチン様受容体であるNKG2DやCD94が、フコース転移酵素(FUTⅢ)遺伝子導入K562細胞上の糖鎖抗原Sialyl Lewis X (sLeX)を認識して細胞傷害を誘発することを明らかにしている。炎症やがんではsLeXを発現する血清糖蛋白が増加することから、肝細胞をIL-1b刺激して遺伝子発現を解析し、シアル酸転移酵素(ST3GalⅣ) mRNAの早期の発現上昇と FUTⅥ mRNAの遅い発現が関与すること、がん化によるsLeX発現亢進には転写因子HNF-4a によるFUTⅥ mRNAの恒常的発現上昇が関与することを明らかにした。さらに、強制発現させた大腸菌から単離したNKG2DやCD94が、sLeXに結合することを直接証明するとともに、これらのレクチン様受容体が多価のa2,3-結合シアル酸およびヘパリンなどのグルコサミノクリカンとも強く結合することを明らかにした。
2)アポトーシス誘発細胞の細胞表面蛋白の発現変化
ヒトT細胞由来Jurkat細胞にTopoisomeraseⅡ阻害剤Etoposideでアポトーシスを誘発させた細胞表面では、接着分子ICAM-2とICAM-3の顕著な減少とその減少のCaspase 3やMetalloproteinase阻害剤での抑制、リソゾーム膜糖タンパク質LAMP-1とLAMP-2およびミクロソームタンパク質CalreticulinとCalnexinの細胞膜への移行など、アポトーシス細胞では細胞表面のタンパク質発現の顕著な変化が起こることを明らかにした。
3) 糖転移酵素遺伝子発現のエピジェネシス制御
ewis B/Y高発現の大腸がん細胞DLD-1 ではFUT-1 mRNAが高発現しており、Luciferase assayなどからElk-1でFUT-1遺伝子が転写調節されていることを明らかにした。一方、Lewis B/Y低発現の大腸がん細胞SW-48 ではFUT-1 mRNA発現が低く、DNA methyltransferase阻害剤5-Aza-2’-deoxycytidine処理でFUT-1とElk-1 mRNA発現が亢進すること、CpG配列がElk-1 promoter領域には多く存在するがFUT-1には存在しないことから、Elk-1のエピジェネシス制御がFUT-1遺伝子の転写調節に関与していることを明らかにした。
■ Keywords
NK細胞、CD94、NKG2s、NCR、ヘパリン、細胞傷害、糖転移酵素、epigenesis、アポトーシス、ICAM、LAMP、calreticulin
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  私立大学学術研究高度化推進事業オープンリサーチセンター整備事業
 研究課題:研究課題:細胞機能制御システムの破綻による老化関連疾患発症の分子機構と予防・治療に関する研究  (研究代表者:研究代表者:松本宏治郎、共同研究者:東祐太郎、桧貝孝慈)
 研究補助金:2500000円  (代表)
2.  大学院重点特別経費経常費補助金
 研究課題:タンパク質のポストトランスレーショナル修飾の加齢変化とその生体機能に対する影響  (研究分担者:研究代表者:高橋良哉、分担:松本宏治郎、東祐太郎、桧貝孝慈)
 研究補助金:2000000円  (分担)
3.  平成20年度文部科学省科学研究費補助金・若手研究(B)  (研究課題番号:21790544)
 研究課題:キラーレクチン受容体の糖鎖リガンドの解析と細胞機能制御  (研究代表者:桧貝孝慈)
 研究補助金:1900000円  (代表)
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















松本 宏治郎   教授
薬学博士
  1  3          2
 4
 
 1
 
 
東 祐太郎   准教授
医学博士
    3          
 6
 
 1
 
 
檜貝 孝慈   講師
博士(薬学)
 1  1 2          2
 4
 
 1
 
 
 1 1  0 0  0  4
(0)
 0
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














松本 宏治郎   教授
薬学博士
         2
 
 
東 祐太郎   准教授
医学博士
         
 
 
檜貝 孝慈   講師
博士(薬学)
 1 1       2
 
 
 1 1  0 0  0  4
(0)
 0
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Koji Higai, Yuzo Imaizumi Y, Chiho Suzuki, Yurtaro Azuma. Kojiro Matsumoto K:  NKG2D and CD94 bind to heparin and sulfate-containing polysaccharides.  Biochem, Biophys. Res. Commun.  386 :709-714 , 2009
2. Yuzo Imaizumi, K. Higai, Chiho Suzuki, Yutaro Azuma, Kojiro Matsumoto:  NKG2D and CD94 bind to multimeric alpha2,3-linked N-acetylneuraminic acid.  Biochem, Biophys. Res. Commun.  382 :604-608 , 2009
3. Hirotaka Sato, Yutaro Azuma, Koji Higai, Kojiro Matsumoto:  Altered expression of glycoproteins on the cell surface of Jurkat cells during etoposide-induced apoptosis: shedding and intracellular translocation of glycoproteins.  Biochim Biophys Acta  1790 (10) :1198-1205 , 2009
■ 学会発表
国内学会
1. ◎松本 宏治郎、鈴木 千穂、今泉 雄三、桧貝 孝慈、東 祐太郎: NKG2D and CD94 bind to heparin and sulfate-containing polysaccharides.  第82回日本生化学会大会,  神戸,  2009/10
2. ◎桧貝 孝慈、今泉 雄三、鈴木 千穂、東 祐太郎、松本 宏治郎: NKG2D and CD94 bind to multimeric alpha2,3-linked N-acetylneuraminic acid.  第82回日本生化学会大会,  神戸,  2009/10
3. ◎鈴木 千穂、今泉 雄三、桧貝 孝慈、東 祐太郎、松本 宏治郎: NKG2D およびCD94の多分岐alpha2,3-シアル酸への結合.  第29回日本糖質学会年会,  飛騨,  2009/08
4. ◎Xin Xin, 鈴木 千穂、桧貝 孝慈、東 祐太郎、松本 宏治郎: NKG2A and NKG2C bind to multimeric N-acetylneuraminic acid and heparin.  第82回日本生化学会大会,  神戸,  2009/10
5. ◎松本 宏治郎,田中 智美,桧貝 孝慈,東 祐太郎: 大腸がん細胞中fucosyltransferase I 遺伝子の転写調節機構.  第130回日本薬学会年会,  岡山,  2010/03
6. ◎桧貝 孝慈,伊藤 健一郎,東 祐太郎,松本 宏次郎: Natural cytotoxicity receptors のsialyl Lewis Xとの結合性.  第130回日本薬学会年会、,  岡山,  2010/03
国際学会
1. ◎Xin Xin, Chiho Suzuki, Koji Higai, Yutaro Azuma,Kojiro Matsumoto: Glycan ligands of NKG2A and NKG2C.  The 6th Seminar on Biomedical Sciences.,  東京,  2009/10
  :Corresponding Author
  :本学研究者