<<< 前 2020年度 | 2021年度 | 2022年度
 医学部 医学科 口腔外科学研究室(大森)
 Department of Oral Surgery (Omori)

■ 概要
口腔がんに対する研究
1)実験的口腔癌モデルにおけるchemoradiotherapyの効果:化学誘導発癌により確立した実験的口腔癌モデルにおいて抗癌剤と放射線照射の組み合わせ(薬剤,用量,投与スケジュール,照射タイミング,照射量,他)に関する至適な条件を検討している。
2)術後機能を重視した再建法の検討:口腔癌切除再検症例について、口腔機能(咀嚼・嚥下・発音)の評価を行い、切除後の欠損部位によって分類を行い、選択した再建法の妥当性についてレトロスペクティブに検討を行う。
2)術後のリハビリテーション法に関する研究:切除後の機能ごとに、回復期間やリハビリテーション前後の機能を調査することで、リハビリテーションの効果について検討する。
3)術後軟口蓋欠損患者に対する顎補綴を用いた回復法の検討:発音・嚥下機能の回復を効果的に行うために、鼻咽腔補綴をどのように調整するか、VF(嚥下造影)を用いて検討する。
4)舌・口底欠損患者の嚥下障害に対する舌接触補助床の効果に関する検討:舌接触補助床の嚥下障害に対する効果を、障害分類(テストフード法、VF)ごとに検討し、治療効果のメカニズムを解明する。
5)舌・口底欠損患者の発音・嚥下機能の関係とその同時回復に関する検討:われわれの今までの調査で、発音と嚥下機能の両立は難しいことが判明しつつあるが、双方を同時にあるレベルまで回復させる機能再建法を工夫、検討している。
顎関節鏡視下洗浄療法の有効性と顎関節内障発症メカニズムについての研究
顎関節内症において顎関節洗浄療法が用いられているが、適応症例に施設による差がある。病態の進行ステージを的確に診断することが重要であるが、具体的な方法が示されていない。そこで開口障害を有する、顎関節内症症例(MPS症例は省く)に対し、細径硬性鏡を使った有視下洗浄療法を行い、関節内部の病態を観察、洗浄時関節腔内の滑液から、炎症性サイトカイン、ヒアルロン酸分子量、細胞成分を抽出し、洗浄前と後との比較を行い、顎関節内症のステージ分類を化学的に行い、各ステージごとの洗浄療法に対する効果を判定する。これにより洗浄療法の適応症例が明確になると同時に、そのメカニズムも解明される。
人工歯根療法に付随する顎骨再生治療に関する基礎的研究
当科では歯槽骨の欠損に対する補填法として臨床的に、整形外科領域で行われている仮骨延長法を口腔に応用している。その際仮骨に対して延長を行う=伸展メカニカルストレスを加えることに注目し、細胞のメカニカルストレスに対する骨形成効果を細胞分子生物学的に検討している。COX2が大きな役割を担っていることが判明しつつある。さらに、低出力超音波(LIPUS)の骨形成促進効果についても多くの報告をしており、これを人工歯根に照射することで、早期の固定や動揺の回復を得られるか否かを動物実験にて検討中である。
並行して、これらより得られた骨形成のメカニズムを薬理的に増強するべく、仮骨形成部位に骨形成遺伝子を電気的・物理的に遺伝子導入し、その効果を観察している。
顎変形症手術の改良
顎位を変更する手術においてしばしば問題となる、顎関節への負担を軽減する方法を検討している。既に当科で開発したpositioning法を実施し、悪影響のないことを確認しているが、そのための手術時間の延長が問題で、短縮するために専用機械の改良と術式の工夫を臨床的に検討している。また、上顎狭窄歯列弓の側方拡大において、急速拡大装置の無効例に対する新しい低侵襲の外科的補助法を検討している。側方拡大量と後戻りについて臨床統計的に考察し、従来法と比較してその有効性を検討中である。
口腔期嚥下障害に対する治療方法の検討
当科は大森病院嚥下障害対策チームにおいて、口腔期起因嚥下障害の評価と治療を担っている。脳血管障害や膠原病、精神疾患など多彩な原因を有する嚥下障害に対し、綿密に評価し、口腔期障害の全体に対する比率やその回復期間・治療法を、臨床統計学的手法を用いて解析し、さらに有効で効率のよい治療法を見いだすことを目標としている。さらに、院内連携における関連他科・部署との臨床的改善も推進している。舌接触補助床の有効性についての臨床的検討も行う。
睡眠時無呼吸症候群の補綴的治療
可撤式補綴装置により下顎位を誘導して閉塞型睡眠時無呼吸症候群の上気道拡大をはかる手段、およびその評価方法を検討している。当科で開発した調節型prosthetic mandibular advancement(OA)の治療効果を簡易型PSG、セファロメトリ、咽頭軟組織X線規格撮影法などにより解析し、よりよい治療成績を得るための工夫を検討している。
医科疾患と口腔環境・嚥下障害との関係についての研究
循環器疾患と口腔感染源による炎症、呼吸器疾患と食道疾患、嚥下障害の関連性、人工呼吸器管理後の廃用障害の進行と嚥下障害、口腔乾燥と嚥下障害、周術期口腔管理による手術合併症の軽減など、医科と歯科(口腔外科)が連携して研究しなければならないテーマを、各診療科との共有データにて解析を行い、報告する。
口腔扁平苔癬の発症メカニズムと免疫応答
口腔扁平苔癬の発症については不明確なことが多く、何かを抗原としたいわゆるアレルギー疾患である可能性が高い。その発症原因を免疫学的手法により解明する。
周術期口腔機能管理による外科手術後合併症減少効果と入院日数短縮に関する研究
周術期口腔機能管理(口腔感染源除去、気管内挿管時脱落・破折歯牙保護、咀嚼・嚥下機能評価と摂食嚥下・構音機能維持)による外科手術後合併症減少効果と入院日数短縮に関する統計学的検討を行う。
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















関谷 秀樹   准教授
 1   3  6 3       5
(3)
 6
(4)
 
 
 
 
兼古 晃輔   助教
  1  1   2       1
(1)
 3
 
 
 
 1
髙橋 謙一郎   助教
  1     2       
 2
(1)
 
 
 
 
 1 0  6 0  0  6
(4)
 0
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














関谷 秀樹   准教授
 1   6     5
(3)
 
 
兼古 晃輔   助教
         1
(1)
 
 
髙橋 謙一郎   助教
         
 
 
 1 0  6 0  0  6
(4)
 0
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Kurasawa Y, Iida A, Narimatsu K, Sekiya H, Maruoka Y and Michiwaki Y:  Effects of Perioperative Oral Management in Patients with Cancer.  Journal of Clinical Medicine  11 (6576) : , 2022
2. Otsubo Y, Miyagi M, Sekiya H, Kano O, Ebihara S:  Improving taste sensitivity in healthy adults using taste recall training: a randomized controlled trial.  Scientific Reports  12 : , 2022
3. Ichibayashi R, Hideki Sekiya H, Kaneko K, Honda M:  Use of Maximum Tongue Pressure Values to Examine the Presence of Dysphagia after Extubation and Prevent Aspiration Pneumonia in Elderly Emergency Patients.  journal of clinical medicine  11 (21) :6599 -DOI: 10.3390/jcm11216599 , 2022
総説及び解説
1. 関谷 秀樹, 倉沢 泰浩, 丸岡  豊, 高橋謙一郎, 兼古 晃輔, 道脇 幸博:  高齢者診療 Up To Date No. 16
高齢者における口腔衛生・機能管理の重要性と戦略的歯科検診〜高齢手術患者の周術期口腔機能管理から隠れ口腔機能低下症を考える〜.  新薬と臨牀  71 (9) :938 -945 , 2022
■ 著書
1. 関谷秀樹:    これだけでわかる!摂食嚥下障害と誤嚥性肺炎  10-159.  メディカ出版,  大阪, 2022
2. 関谷秀樹:  QOLを下げない!がん治療中の口腔トラブル、予防・対策・セルフケア指導「歯科医師に聞くがん患者に起こる口腔トラブル」.  YORI-SOUがんナーシング  47-51.  メディカ出版,  大阪 日本, 2023
3. 関谷秀樹:  メッセージFor You: コロナ禍と摂食嚥下障害、窒息管理:管理栄養士への期待.  Nutrition Care Vol 15 No12  8(1088)-8(1088).  メディカ出版,  大阪, 2022
4. 関谷秀樹:  Expert Opinion X-1 栄養管理を考えたがん患者の口腔ケア.  JSPENコンセンサスブック  250-250.  医学書院,  東京, 2022
5. 関谷秀樹, 佐々木雅一:  第4章 感染症の検査.  歯科衛生学シリーズ 臨床検査  67-74.  医歯薬出版株式会社,  東京 日本, 2023
6. 鷲澤尚宏, 関谷秀樹, 飯田純一, 石井杏奈, 伊藤美穂子, 今宮和歌子, 海老原覚, 海老原孝枝, 大岡貴史, 大國生幸, 栢下淳, 菊谷武, 倉田なおみ, 越場敬彦, 小城明子, 酒井琴美, 菅武雄, 高橋賢晃, 田中公美, 田村文誉, 豊島明子, 中村芽以子, 西方浩一, 弘中祥司, 福生瑛, 藤谷順子, 古屋純一, 細野祥子, 松尾浩一郎, 三浦久子, 水上美樹, 道脇幸博, 宮城翠, 山崎香代, 若林秀隆, 渡邊賢礼:  編集 鷲澤尚宏、関谷秀樹.  これだけでわかる!摂食嚥下障害と誤嚥性肺炎  10-159.  株式会社メディカ出版,  大阪市, 2022
7. 関谷秀樹:  第3章 口腔外科 研修医も知っておきたい口腔外科診察のキホン.  レジデントノート増刊 救急・当直で突然出会う 眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・泌尿器科の疾患の診かたを専門医が教えます。  104-111.  羊土社,  東京 日本, 2023
8. 中村一浩・高橋謙一郎:  「歯が痛い」患者に出会ったら.  レジデントノート増刊:救急・当直で突然出会う 眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・泌尿器科の疾患の診かたを専門医が教えます  119-126.  羊土社,  日本, 2023
9. 高橋謙一郎:  味覚異常を訴える患者に出会ったら
研修医が絶対に押さえたい口腔外科エマージェンシー.  レジデントノート増刊:救急・当直で突然出会う 眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・泌尿器科の疾患の診かたを専門医が教えます  127-133.  羊土社,  日本, 2023
10. 佐々木陽典:    レジデントノート増刊 Vol.24 No.17
救急・当直で突然出会う 眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・泌尿器科の疾患の診かたを専門医が教えます  3034-3040.  羊土社,  東京 日本, 2023
11. 中村紘彰 兼古晃輔:    レジデントノート増刊 24巻17号
救急・当直で突然出会う 眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・泌尿器科  112-118.  羊土社,  東京, 日本, 2023
12. 兼古晃輔:    レジデントノート増刊 24巻17号
救急・当直で突然出会う 眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・泌尿器科  134-141.  羊土社,  東京, 日本, 2023
■ 学会発表
国内学会
1. 関谷秀樹: 「城南MRONJセンターの紹介と新ポジションペーパー」.  第13回東京オーラルマネジメント研究会,  東京(Web配信),  2023/03
2. 兼古晃輔、関谷秀樹: 高齢難治MRONJ患者のオーラルマネジメントを再考する.  第13回東京オーラルマネジメント研究会,  Web(東邦大学),  2023/03
3. 関谷秀樹: 歯初診算定のための教育研修(新興感染症と感染対策).  (一社)国際歯科医療安全機構教育セミナー,  Web開催,  2023/02
4. ◎関谷秀樹, 高橋謙一郎, 兼古晃輔, 中村一浩, 福西佑真, 中村紘彰, 菊池由宣, 島田英昭: 大森病院がんセンターがん口腔機能管理部門設置による化学療法口腔有害事象抑制効果の検討(第1報) 口腔粘膜炎.  第161回 東邦医学会例会,  東京都,  2023/02
5. 関谷秀樹、高橋謙一郎、兼古晃輔、中村一浩、福西佑真、中村紘彰、菊池由宣、島田英昭: 大森病院がんセンターがん口腔機能管理部門設置による化学療法口腔有害事象抑制効果の検討(第1報)口腔粘膜炎.  第161回東邦医学会例会,  東京,  2023/02
6. ◎中村紘彰, 福西佑真, 兼古晃輔, 高橋謙一郎, 中村一浩, 石河晃, 関谷秀樹: 栄養障害型表皮水疱症患者の 経鼻挿管・全身麻酔下での多数歯抜歯経験.  第214回 (公社) 日本口腔外科学会関東支部学術集会,  東京 日本,  2022/12
7. 関谷秀樹: 歯科医院の環境感染対策と新興感染症への対応.  第6回 国際歯科医療安全機構 学術大会,  新潟 WebLiveハイブリッド開催,  2022/12
8. 〇野村 恵利¹⁾、栃木 直文¹⁾、深澤 由里²⁾、篠崎 稔(¹⁾、石井 真由美¹⁾雨宮 和紀(¹⁾、堀 裕一³⁾、兼古 晃輔⁴⁾、星野 織絵⁵⁾、澁谷 和俊¹⁾: 鼻型節外型NK/T細胞性リンパ腫の一例.  第61回日本臨床細胞学会総会(秋季大会),  仙台市,  2022/11
9. 関谷秀樹、石井杏奈、山崎香代、鷲澤尚宏: シンポジウム18 「摂食嚥下障害に対する薬剤師のソコヂカラ」 嚥下障害対策チームにおける薬剤師の役割と摂食嚥下機能回復体制加算.  第32回日本医療薬学会年会(指定演題),  Gメッセ群馬,  2022/09
10. ◎福西佑真, 兼古晃輔, 高橋謙一郎, 関谷秀樹: ミトコンドリア病とアルコール依存症 により生じた舌咬傷の1例.  第56回 NPO法人 日本口腔科学会関東地方部会学術集会,  東京 日本,  2022/09
11. 関谷秀樹、高橋謙一郎、寒河江孝、去川俊二: 顎欠損における補綴と外科の融合~「融合」の示す意味と顎補綴のこれまでの展開.  第39回日本顎顔面補綴学会学術大会,  宮崎,  2022/06
12. 長岡すみか、今井和花、清水康平、平澤数馬、鈴木敦、田中美奈子、石井杏奈、古田雅、関谷秀樹、鷲澤尚宏: 90歳台膠原病科入院患者における血清アルブミン濃度・C反応性蛋白と栄養状態.  第37回日本臨床栄養代謝学会学術集会,  横浜 みなとみらい,  2022/06
13. 関谷秀樹、兼古晃輔、鷲澤尚宏: 歯科・口腔外科診療での栄養管理における栄養剤認知要因の検討.  第37回日本臨床栄養代謝学会学術大会,  横浜 みなとみらい,  2022/05
14. 関谷秀樹、中澤絵里香: 嚥下障害の病態と院内対策 オーラルフレイルと口腔ケア.  第62回日本呼吸器学会 第19回呼吸ケアカンファレンス,  WEB開催,  2022/04
  :Corresponding Author
  :本学研究者