<<< 前 2008年度 | 2009年度 | 2010年度
 医学部 医学科 解剖学講座/生体構造学
 Division of Neuroanatomy, Department of Anatomy
■ 概要
1. 神経系に関する研究
a.大脳基底核を中心とした運動系の神経回路網の研究
 大脳皮質—基底核—視床—大脳皮質のループにおいて,大脳基底核を構成するさまざまな核の相互間の連絡様式および視床を介するフィードバック経路について,光顕および電顕レベルで解析を行っており,大脳基底核が運動制御に果たす役割について形態学的な面からアプローチしている。
b.前脳基底部の神経回路網の研究
 前脳基底部(BF)コリン作動性皮質投射線維と帯状皮質細胞との直接的シナプス結合を電子顕微鏡的に証明した。
c.嗅覚系の研究
 嗅上皮の嗅い物質に対する反応機構の一部を量子化学的にコンピュータ演算を行って解析している。また嗅球におけるニューロンの種類と分布を系統発生的に解析するために,鳥類および哺乳類の嗅球を免疫組織化学的方法で検索している。さらに,嗅皮質の神経回路についても研究している。
d.聴覚系の研究
 聴覚伝導路における皮質視床間の神経線維連絡を解明するために,免疫組織化学的手法および軸索トレーサーによる標識法を用いて皮質視床投射神経の形態について研究している。
e.末梢神経系の研究
 ラット陰茎に分布する神経について,免疫組織化学的手法で研究している。
2. 網膜発生に関する研究
a.網膜発生を制御する転写因子
 RORα、NR2E3などのオーファン核受容体による網膜発生の制御機構を解析している。
b.細胞増殖制御因子による網膜発生、再生の制御機構
 細胞増殖を制御するサイクリンキナーゼ阻害因子が網膜前駆細胞およびミュラー細胞の増殖・分化を制御するメカニズムを解析している。
c.光環境による網膜発生の制御機構
 発生期の光環境が網膜の細胞増殖や分化に及ぼす影響とその分子メカニズムを解析している。
3. 肉眼解剖学的研究
a.注射部位の局所解剖学
 静脈注射部位および筋肉注射部位において注射部位の周囲に存在する神経,深部動脈との関連に関し検索を行っている。
b.解剖学実習中にみられる変異
 人体構造には多くの変異がみられる。特に腹腔動脈系の変異は腹部外科において留意しなければならないし,また内科学においても超音波診断の際には留意しなければならない。解剖学実習中においてみられた腹腔動脈系の変異を中心に,人体構造の変異を検索している。
4. 解剖学教育に関する研究
a.実習ご遺体の防腐保存処置にはホルマリンを用いるため,解剖学実習時にはホルムアルデヒドに曝露されてしまう。実習時のホルムアルデヒド曝露濃度を低減するための研究を行っている。
b.看護学生の解剖学教育効果を高めるために,ブタ心臓の未固定標本を用いて解剖学実習を行っている。この学習効果等についての質問紙調査を続けている。
■ Keywords
大脳基底核, 前脳基底部, 網膜発生, 嗅覚, 聴覚, 神経回路, 局所解剖, ニオイ分子, 解剖学教育
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  平成19-22年度文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B)  (研究課題番号:19340159)
 研究課題:構造不斉を有する粘土鉱物の探索と同定  (研究代表者:山岸晧彦)
 研究補助金:2210000円  (代表)
2.  平成21-23年度文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(C)  (研究課題番号:21592705)
 研究課題:MRIを用いた肘窩の注射部位の安全領域に関する映像解剖学的研究  (研究代表者:五味敏昭)
 研究補助金:1170000円  (代表)
その他
1.  平成22年度東邦大学医学部プロジェクト研究  (研究課題番号:22-23)
 研究課題:内側膝状体への抑制性投射神経細胞の免疫組織化学的研究  (研究代表者:高柳雅朗)
 研究補助金:400000円  (代表)
2.  平成22年度東邦大学医学部プロジェクト研究  (研究課題番号:22-31)
 研究課題:アミロイドβ1-42脳室内注入ラットの膨大部後皮質インターニューロンとα7ニコチン性アセチルコリンレセプターの影響  (研究代表者:村上邦夫)
 研究補助金:400000円  (代表)
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  佐藤二美 :篤志解剖全国連合会監事, 日本解剖学会評議員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















佐藤 二美   教授
医学博士
    2   1       
 7
(2)
 
 
 
 
藤枝 弘樹   准教授
博士(医学)
              
 2
 
 
 
 
高柳 雅朗   助教
博士(農学)
              1
 4
 
 
 
 
村上 邦夫   助教
学士(理学)
              1
 2
 
 
 1
 
井上 由理子
博士(理学)
              
 3
 
 
 
 
 0 0  0 0  0  2
(0)
 0
(0)
 1
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














佐藤 二美   教授
医学博士
         
 
 
藤枝 弘樹   准教授
博士(医学)
         
 
 
高柳 雅朗   助教
博士(農学)
         1
 
 
村上 邦夫   助教
学士(理学)
         1
 
 1
井上 由理子
博士(理学)
         
 
 
 0 0  0 0  0  2
(0)
 0
(0)
 1
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. 小牧宏一,室橋郁生,藤井千代,五條しおり,中村裕美,原元彦,高橋邦泰,岩満裕子,五味敏昭:  埼玉県小鹿野町おける高齢者の体力と健康の縦断的研究.  埼玉県立大学紀要  13 (1) :43-46 , 2011
2. Sakurai T, Masuda Y, Sato H, Yamagishi A, Kawaji H, Atake T, Hori K:  A comparative study on chiral and racemic 12-hydorxyoctadecanoic acids in the solutions and aggregation states: Does the racemic form really form a gel?.  Bulletin of the Chemical Society of Japan  83 :145-150 , 2010
3. Fujimoto N, Mori Y, Yamagishi A, Sato H:  Molecular recognition of star-burst tetranuclear Ru(III) complexes on a chirally modified clay surface.  Chemical Communications  46 :5473-5475 , 2010
4. Kogure T, Morimoto K, Tamura K, Sato H, Yamagishi A:  XRD and HRTEM evidences for fixation of cesium ions in vermiculite clay.  Chemistry Letters  41 (4) :380-382 , 2011
5. Namiki A, Matsuhashi M, Sato F, Kishi T, Fujishiro K, Tsuboi K, Takamatsu K::  Temporal change in attitudes toward medical education after attending an educational workshop,.  Journal of the Medical Society of Toho University,  57 (6) :360-367 , 2010
6. Namiki A, Matsuhashi M, Sato F, Kishi T, Fujishiro K, Tsuboi K, Takamatsu K::  Important expectations of first-time educational workshop participants,.  Journal of the Medical Society of Toho University,  58 (1) :11-18 , 2011
7. Sato H, Tamura K, Taniguchi M, Yamagishi A:  Highly luminescent Langmuir-Blodgett films of amphiphilic Ir(III) complexes for application in gas sensing.  New Journal of Chemistry  34 :617-622 , 2010
その他
1. 小牧宏一 ,坂田悍教 ,細川武 ,室橋郁生 ,藤井千代 ,五條しおり ,中村裕美 ,岡本順子 ,五味敏昭:  限界集落における高齢者の健康状態と身体能力の検討、非限界集落との比較.  埼玉県立大学紀要  12 :49-54 , 2010
2. 五味敏昭, 坂田悍教, 細川武:  あなたは埼玉県出身の「田口和美(たぐちかずよし)」という人物を知っていますか?.  平成22年度埼玉県立大学保健医療福祉学部奨励研究発表会抄録集  :- , 2011
3. 小牧宏一, 坂田悍教, 中村裕美, 藤縄理, 坂井博通, 五條しおり, 細川武, 室橋郁生, 藤井千代, 岡本順子, 五味敏昭, 市村彰英, 淺川泰宏:  健康長寿の研究、埼玉県小鹿野町における高齢化と集落に関する研究.  平成22年度埼玉県立大学保健医療福祉学部奨励研究発表会抄録集  :- , 2011
4. 金村尚彦, 五味敏昭, 高柳清美:  廃用性筋萎縮に対する荷重運動の効果.  平成22年度埼玉県立大学保健医療福祉学部奨励研究発表会抄録集  :- , 2011
5. 五味敏昭, 佐野恵美香, 國澤尚子, 西原賢, 坂田悍教, 細川武:  肘窩の映像解剖学的研究.  平成22年度埼玉県立大学保健医療福祉学部奨励研究発表抄録集  :- , 2011
■ 著書
1. 高久史麿、佐藤二美、小田哲子他:    コ・メディカル版ステッドマン医学辞典  1-1304.  メジカルビュー社,  東京, 2010
2. 成瀬秀夫, 木村明彦, 杉崎哲郎, 石川陽一, 岡本順子, 林弘之, 森山英樹, 西原賢, 金村尚彦, 五味敏昭:    「柔道整復師」「はり師・きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」「看護師」「理学療法士・作業療法士」国家試験問題(解剖学・生理学)10年間 解説と解答 2011年版  p.333.  犀書房,  東京, 2010
3. 五味敏昭, 木村明彦, 坂井泰, 足立和隆, 今井常彦, 草地信也, 田淵健一, 小出清一, 田中康文, 下地秀和, 高根沢公一, 中澤正孝, 佐藤康宏, 櫻井敬晋, 山口竜彦, 小山浩司:    柔道整復師国家試験傾向と対策2011  p.691.  南江堂,  東京, 2010
■ 学会発表
国内学会
1. Ishikawa Y, Takayanagi M, Inoue Y, Shiino M, Aoyagi R, Murakami K, Fujieda H, Sato F: Electric Frontier
Density (EFD) analysis
of 27 raspberry- and
13-cacao- odor related
molecules.  第116回日本解剖学会,  横浜 日本,  2011/03
2. ◎高瀬遼一, 佐藤久子, 山岸晧彦, 北澤孝史: RuIII 2核錯体の合成:架橋化によって生じるキラリティ.  第91回日本化学会春季大会,  横浜,  2011/03
3. ◎佐藤久子、中江隆博、田村堅志、山岸晧彦: イリジウム金属錯体とモンモリロナイトハイブリッドLB膜の発光挙動.  第91回日本化学会春季大会,  横浜,  2011/03
4. ◎金村尚彦, 五味敏昭, 高柳清美: 廃用性筋萎縮に対する荷重運動の効果.  埼玉県立大学奨励研究発表会,  越谷,  2011/02
5. ◎小牧宏一, 坂田悍教, 中村裕美, 藤縄理, 坂井博通, 五條しおり, 細川武, 室橋郁生, 藤井千代, 岡本順子, 五味敏昭, 市村彰英, 淺川泰宏: 健康長寿の研究,埼玉県小鹿野町における高齢化と集落に関する研究.  埼玉県立大学奨励研究発表会,  越谷,  2011/02
6. ◎金子芳郎, 豊留寿也, 佐藤久子, 山岸晧彦: アミノ基含有ラダー型ポリシルセスキオキサンへのキラル基の導入とナノ構造制御.  第29回無機高分子研究討論会,  東京,  2010/11
7. ◎井所拓哉, 西原賢, 金村尚彦, 武藤智則, 藤井千代, 岡本順子, 細川武, 小牧宏一, 坂田悍教, 五味敏昭: 地域在住高齢者における立位平衡機能の解析.  第1回埼玉県立大学保健医療福祉科学学会学術集会,  越谷,  2010/10
8. ◎小牧宏一, 坂田悍教, 細川武, 藤井千代, 岡本順子, 五味敏昭, 横山英世, 須藤裕子: 山村における限界集落調査研究、非限界集落との比較から.  第69回日本公衆衛生学会総会,  東京,  2010/10
9. ◎金子芳郎, 豊留寿也, 佐藤久子, 山岸晧彦: 一次元無機高分子へのキラル基の導入とナノ構造制御.  第54回粘土科学討論会,  名古屋,  2010/09
10. ◎堤響子, 中江隆博, 田村堅志, 山岸晧彦, 佐藤久子: 粘土鉱物と発光性イリジウム錯体とのハイブリッドLB膜による発光挙動.  第54回粘土科学討論会,  名古屋,  2010/09
11. ◎金子芳郎, 豊留寿也, 佐藤久子, 山岸晧彦: キラル基含有ラダー型ポリシルセスキオキサンの創製とナノ構造制御.  第59回高分子討論会,  札幌,  2010/09
12. ◎佐藤久子, 宇野英満, 中野晴之, 山岸晧彦: 混合配位子錯体の幾何異性に対する振動円二色性分光法による研究.  第60回錯体化学討論会,  大阪,  2010/09
13. ◎山岸晧彦, 藤本慎子, 森幸恵, 佐藤久子: 配位性Ru(III)錯体を用いたキラルテクトニクスの構築.  第60回錯体化学討論会,  大阪,  2010/09
14. ◎五味敏昭, 佐野恵美香, 國澤尚子, 清水友歌, 西原賢, 木村明彦, 寺嶋美帆, 高柳雅朗, 佐藤二美, 林弘之: MRIを用いた肘窩の皮静脈の映像解剖学的研究.  第20回日本看護学教育学会学術集会,  大阪,  2010/08
15. ◎木村明彦, 西原賢, 林弘之, 高柳雅朗, 佐藤二美, 五味敏昭: 医療系大学の人体構造学(解剖学)演習における超音波エコー装置を用いる学習法の試み.  第20回日本看護学教育学会学術集会,  大阪,  2010/07
16. ◎佐藤久子, 宇野英満, 山岸晧彦: 振動円ニ色性分光法の混合配位子錯体への応用.  モレキュラー・キラリティ2010 (MC2010),  札幌,  2010/07
17. ◎林弘之, 木村明彦, 西原賢, 寺嶋美帆, 五味敏昭: フリーソフトを用いた三次元教材作成の有用性の検討.  第20回日本看護学教育学会,  大阪,  2010/07
18. ◎藤代健太郎,佐藤二美,坪井康次,盛田俊介,杉 薫,本間 栄,並木 温,高松 研: 共用試験CBTとOSCEとPBLテュートリアルの評価との関係.  第42回日本医学教育学会,  東京,  2010/07
19. ◎井所拓哉, 西原賢, 千明友彦, 山鹿隆義, 五味敏昭: 中殿筋における神経支配帯の分布の推定.  第45回日本理学療法学会,  岐阜,  2010/05
20. ◎金村尚彦, 坂ゆかり, 森山英樹, 今北英高, 竹本秀徳, 木藤伸宏, 高柳清美, 西原賢, 伊藤俊一, 五味敏昭: ラット足底皮膚に存在する神経栄養因子発現量に対する走行運動の影響.  第45回日本理学療法学会,  岐阜,  2010/05
21. ◎Murakami K, Ishikawa Y, Takayanagi M, Igarashi H, Inoue Y, Sato F: Spatial relationships between localization of alfa7 nicotinic acetylcholine receptors and cholinergic basal forebrain terminals in the rat retrosplenial granular cortex.  第116回日本解剖学会総会・全国学術集会,  横浜,  2011/03
22. ◎Takayanagi M, Ishikawa Y, Shiino M, Inoue Y, Murakami K, Fujieda H, Sato F: Distribution of GABA and parvalbumin immunoreactivities in the medial geniculate body of the guinea pig.  第116回日本解剖学会総会・全国学術集会,  横浜,  2011/03
23. ◎Ishikawa Y, Takayanagi M, Inoue Y, Shiino M, Aoyagi R, Murakami K, Fujieda H, Sato F: Electric Frontier Density (EFD) analysis of 27 raspberry- and 13-cacao- odor related molecules.  第116回日本解剖学会総会・全国学術集会,  横浜,  2011/03
国際学会
1. ◎Tamura K, Sato H, Yamagishi A: Hybridization of Clay Minerals with the Thin Film of a Cationic Ir(III) Complex for Oxygen Sensing.  NIMS International Symposium on Photocatalysis and Environmental Remediation Materials 2011,  Tsukuba, Japan,  2011/01
2. ◎Sato H, Tamura K, Yamagishi A: Clay Electronics.  3rd International Congress on Ceramics (ICC3),  Osaka, Japan,  2010/11
3. ◎Sato H, Fujimoto N, Mori Y, Yamagishi A: Syntheses of Chiral Star-burst Tetranuclear Ru(III) ComplexesSynthesis and Structure of a Complex.  60th Anniversary Conference on Coordination Chemistry in Osaka (60 CCCO),  Osaka, Japan,  2010/09
4. ◎Sato H, Yajima T, Hori K, Yamgishi A: Molecular Origin for Helical Winding of Fibrils in a Gel as Revealed by Vibrational Circular Dichroism spectra.  22nd International Symposium on Chirality (Chirality 2010; ISCD-22),  Sapporo, Japan,  2010/07
その他
1. ◎村上邦夫,五十嵐広明: ラット膨大部後野顆粒部のα7ニコチン性アセチルコリンの局在と前脳基底部コリン作動性軸索終末との関係.  第64回東邦医学会総会,  東京、日本,  2010/11
  :Corresponding Author
  :本学研究者