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 薬学部 医療薬学教育センター/薬物安全性学研究室
 Department of Toxicology and Pharmacology

准教授:
  佐藤 光利
■ 概要
医薬品の有効性および安全性に関する研究
医療経済の観点から最近では、後発医薬品の導入が推進されている。しかしながら、実際には有効性や安全性が先発医薬品と同等であることを証明する試験に関しては、先発医薬品と比較して充分に行われているとは言えないことが問題点としてあげられている。また、後発医薬品に関する情報が少ないことも問題のひとつでもある。本研究室では、先発医薬品や後発医薬品の品質を含めた有効性および安全性に関する研究を行っている。
次世代細胞医薬品の有効性と安全性に関する研究
次世代医療で使用される細胞医薬品である幹細胞が効率良く組織へ分化・増殖するための条件を検討し、目的組織への培養法を確立するための研究を行なっています。細胞医薬品が病気の治療に使用される時には、治療部位は病的状況下にあります。そこで我々は、血管系が損傷を受けている状態を実験的に再現し、虚血条件下に近い条件での細胞の機能(有効性)の指標になる因子の同定、ならびに細胞の挙動や特性を明らかにすることを目指しています。まず第一に、実際に細胞治療薬が使用される際の細胞治療薬の管理法を確立し、医薬品としての安全性を確保するための研究を行なっています。さらに、幹細胞の多能性に着目し、周囲の細胞を活性化するペリサイトとしての機能や挙動を調べ、幹細胞による疾患治療機序との因果関係ならびに生理的役割を明らかにすることにより、医薬品としての有効性と安全性を含め、幹細胞の様々な機能に関して自然界における幹細胞の真の役割を明らかにする研究を行なっている。
生理活性物質の生体保護作用および細胞分化に関する研究
生体内の細胞は、様々な物質によって調節され恒常性が維持されている。甲状腺ホルモンは、核内受容体に作用することが知られていたが、細胞表面にある受容体にも作用し、チロシンリン酸化酵素、PI3リン酸化酵素およびMEKを介してERK1/2を活性化することを明らかにしている。JNKおよびp38は、細胞ストレスによるアポトーシスを誘導するのに対して、ERK1/2の活性は、細胞傷害を保護する働きがあり生体防御機構として重要な役割を果たしている。それぞれの臓器や組織における受容体の働きと調節の相違を分析し、細胞分化誘導機能を含めた細胞内情報伝達機構から薬の作用や副作用の発生機序、さらに副作用防止に関する研究を行う。
個人最適化薬物治療に関する研究
薬を服薬したとき、同じ薬物に対しても個人個人異なった応答性を示すことは一般的にも知られている。また、治療に高濃度の薬物投与や多剤の併用が必要な際には、薬物による副作用を起こす危険性がある。血中濃度をコントロールし、患者の状態に合った薬物治療を行うことは、副作用を軽減することからも重要である。薬物代謝酵素の遺伝的多型、薬物の代謝、体内動態および薬物相互作用を考慮して血中濃度変化を測定・予測し、得られた研究成果から最適な薬物治療を選択することによって、臨床における薬物療法の有効性と安全性を確立するための研究を行っている。
■ Keywords
医薬品の有効性・安全性, 医薬品の有害作用防止対策, 細胞組織医薬品, 細胞分化・誘導・制御, 個人最適化薬物治療, 医薬品の適用外使用, 薬物血中濃度モニタリング, 薬物毒性, 薬物代謝, 薬物代謝酵素, 細胞内情報伝達機構, 細胞内Ca2+動態, 血管内Ca2+沈着
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  基盤研究(C)  (研究課題番号:23590203)
 研究課題:細胞治療薬としての間葉系幹細胞の特性解析指標の探索とバリデーション  (研究代表者:佐藤光利)
 研究補助金:4200000円  (代表)
その他
1.  平成23年度東邦大学共同研究費補助金
 研究課題:難治炎症性腸疾患に対する効果的薬物治療法の探索  (研究代表者:佐藤光利)
 研究補助金:1000000円  (代表)
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  佐藤光利 :日本薬理学会学術評議員
2.  佐藤光利 :日本予防医学リスクマネージメント学会評議員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















佐藤 光利   准教授
薬学博士
  1 2 1          2
(2)
 4
(4)
 1
(1)
 
 1
(1)
 
 0 2  0 0  0  2
(2)
 1
(1)
 1
(1)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














佐藤 光利   准教授
薬学博士
  2       2
(2)
 1
(1)
 1
(1)
 0 2  0 0  0  2
(2)
 1
(1)
 1
(1)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. 土井啓員, 榊原隆次, 平井成和, 真坂亙, 岸雅彦, 小川恵美奈, 舘野冬樹, 石井敏浩, 小暮麻由美, 佐藤光利:  パーキンソン病患者の上部消化管運動機能評価における13C呼気検査の応用.  安定同位体と生体ガス  3 (1) :13-17 , 2011
2. S. Yasuda, T. Hasegawa, T. Hosono, M. Satoh, K. Watanabe, K. Ono, S. Shimizu, T. Hayakawa, T. Yamaguchi, K. Suzuki, Y. Sato:  AW551984: a novel regulator of cardiomyogenesis from pluripotent embryonic cells.  Biochemical Journal  437(2) :345-355 , 2011
3. M. Satoh, M. Yamazaki, H. Doi, T. Masaka, Y. Suzuki:  Correlation Between Cyclosporin A Concentration and Lipid Concentration in Patients with Ulcerative Colitis.  Pharmacometrics  80 :53-58 , 2011
■ 学会発表
国内学会
1. 佐藤光利, 鈴木康夫, 真坂 亙, 土井啓員: 難治炎症性腸疾患治療における効果的な薬物療法に関する臨床研究.  第8回東邦大学4学部合同学術集会,  東京,  2012/03
2. T. Kuramochi, M. Satoh, H. Atsuki, S. Yasuda, T. Hayakawa, K. Suzuki, Y. Sato: ヒト間葉系幹細胞における虚血応答によるVEGF分泌誘導因子に関する検討.  第85回日本薬理学会年会,  京都,  2012/03
3. ◎遠藤渓, 佐久間清, 佐々木英久, 齋木厚人, 大平征宏, 小山朝一, 宮下洋, 山村重雄, 白井厚治, 龍野一郎: SakuraStudy 糖尿病腎症に対するプロブコール長期介入試験.  第21回内分泌UpDate,  浜松,  2012/01
4. 山内たきよ, 土井啓員, 真坂 亙, 鈴木康夫, 佐藤光利: 難治性クローン病患者におけるインフリキシマブ併用時のアザチオプリン血中濃度と効果に関する検討.  第55回日本薬学会関東支部大会,  船橋,  2011/10
5. 萩野淳子, 土井啓員, 平井成和, 鶴岡由美, 石井敏浩, 真坂 亙, 榊原隆次, 佐藤光利: パーキンソン病患者における血中L-dopaおよびL-dopa代謝物と胃排出能との関係に関する検討.  第55回日本薬学会関東支部大会,  船橋,  2011/10
6. 平井成和, 土井啓員, 真坂亙, 鶴岡由美, 荻野淳子, 佐藤光利, 石井敏浩, 榊原隆次: 上部消化管運動機能低下を伴うパーキンソン病患者に対する六君子湯の有用性の検討~13C呼気試験を応用した薬効評価~.  日本医療薬学会,  神戸市, 日本,  2011/10
7. 土井啓員, 平井成和, 真坂亙, 鶴岡由美, 荻野淳子, 佐藤光利, 石井敏浩, 榊原隆次: 13C呼気試験を用いたパーキンソン病患者の胃排出能評価とL-DOPA血中濃度評価.  日本医療薬学会,  神戸市, 日本,  2011/10
国際学会
1. M. Satoh, M. Yamazaki, H. Doi, T. Masaka, Y. Suzuki: Influence of lipid concentration on blood cyclosporin a concentration in patients with ulcerative colitis.  The 7th Joint Seminar,  Hat Yai, Thailand,  2011/10
  :Corresponding Author
  :本学研究者