■ 概要
1. 神経情報科学と生体情報学に関する研究(海野 修)
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神経情報科学,その中でも視覚系に関する研究を行っている。生体の神経回路網で行われている情報処理様式を解明することが目的で,そのために電気生理,計算機シミュレーション,画像処理,時系列データの解析など,種々の手法を用いる。研究成果はニューラルネット,画像,ロボットビジョンなどを考える上での基礎となる。具体的には以下のようなプロジェクトを行っている。1) 網膜神経回路網における逆行性信号伝達様式の解明,2) エッジ検出神経細胞間の電気的結合および受容野特性,3) 色覚の神経回路機構,4) 時空的ランダムパターン光による網膜神経細胞の受容野の解析,5) 電子顕微鏡レベルにおける神経細胞立体像の構築システムの開発。
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2. コンピュータグラフィックスに関する研究(新谷幹夫)
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画像や動画などのコンテンツ作成において, コンピュータグラフィックス(CG)は必要不可欠の技術となった。本研究室では, CGをより使いやすく, よりパワフルにするため, 1) コンピュータアニメーション作成技術の研究, 2) 写実的画像生成技術の研究, 3) 生成画像知覚に関する心理物理学的研究, 4) 3次元モデル獲得の研究などを中心に, 研究を進めている。
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3. 画像および音楽情報の認識・処理に関する研究(松島俊明)
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音楽の計算機処理の研究や製品が多く見られるようになったが,日本伝統音楽の計算機処理の研究は遅れている。本研究室では,五線譜では十分に表すことができない尺八や筝などの和楽器の楽器情報を認識・処理するシステムの開発を行っている。また手書による五線譜の入力・編集システム,自動譜めくりシステム等の研究も行っている。画像を対象とした認識システムでは,3次元物体の形状計測や顔画像や手相画像の処理・認識を行う研究をしている。
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4. 組合せデザインの研究(足立智子)
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組合せデザインとよばれる離散構造の研究は, 実験計画法・符号理論等と共に発展してきたが, 近年では, 暗号・CDMA通信などの情報通信分野にもその応用が広がっている。主として取り組んでいるのは, 組合せデザインの一種であるGD(group divisible)デザインの離散構造の特徴付けである。また, RAID(複数のハードディスクを並列的に制御しアクセス効率を上げる技法)の数理モデル化の研究も行っている。
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5. 統計学に関する研究(菊地賢一)
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本研究室では,実社会にある様々な現象について観測されたデータをモデル化し,それを理論的に解析するために,何らかの形で統計学的な手法を使うテーマに関して,研究を行っている。例えば,扱うデータとしては,以下のような色々な分野のデータが考えられる。工学の分野では,生産ラインや実験の際の測定値などのデータ。経済の分野では,株価やマーケティングなどに関するデータ。アンケートやその他の調査などの社会調査に関するデータ。心理学的なテストや学力テストなどの心理測定に関するデータ。特に最近では,コンピュータ適応型テストに関する研究を行っている。
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6. 並列分散処理に関する研究(吉田明正)
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スーパーコンピュータからPCクラスタやマルチプロセッサ(マルチコアプロセッサ)に至るまで、コンピュータの計算速度を向上させるために,並列処理方式が広く用いられている。この並列処理方式のコンピュータの性能を最大限に引き出すためには,プログラム内のタスク間並列性を最大限に引き出し,かつ,プロセッサ間データ転送を最小化することが必要となる。そこで,本研究室では,並列化コンパイラの最適化手法,および,アプリケーションの並列処理に関する研究を行っている。具体的には,粗粒度タスク並列処理を対象とした階層統合型実行制御手法とデータ分散手法等を研究している。
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7. 非写実的な画像の生成手法(白石路雄)
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主として,ノンフォトリアリスティック・レンダリングと呼ばれる非写実的な画像の生成手法について研究を行っている。ノンフォトリアリスティック・レンダリングとは,従来コンピュータグラフィクスの研究で主な目的とされてきた,写真のような現実感を持つ画像ではなく,絵画や工業デザイン画などの非写実的な画像の生成を目的とするものである。
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■ 刊行論文
原著
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1.
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新谷幹夫,白石路雄,土橋宜典,岩崎慶,西田友是:
散乱媒質の反射・透過分布の計算と補間処理.
画像電子学会学会誌
38
(3)
:432
, 2009
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2.
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菊地賢一:
試験日程・科目の変更による受験者学力と学内成績への影響.
大学入試研究ジャーナル
20
:43-49
, 2010
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3.
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Mikio Shinya, Michio Shiraishi, Yoshinori Dobashi, Kei Iwasaki, Tomoyuki Nishita:
Rendering Translucent Materials with Plane-parallel Solution.
Journal of Information Processing
17
:180-190
, 2009
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その他
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1.
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足立智子, 光野敏治:
RSA分散復号.
京都大学数理解析研究所講究録
1655
:111-123
, 2009
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2.
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Shingo Imai, Sukero Ito, Yoichi Nakamura, Kenichi Kikuchi, Yayoi Akagi, Hiromi Nakasono, Akiko Honda, Takekatsu Hiramura:
Features of J-CAT (Japanese Computerized Adaptive Test).
Proceedings of the 2009 GMAC Conference on Computerized Adaptive Testing
:1-8
, 2009
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■ 学会発表
国内学会
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1.
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◎小澤智弘, 吉田明正†:
階層統合型粗粒度タスク並列処理における再帰メソッドの並列Javaコード生成.
情報処理学会第72回全国大会,
東京,
2010/03
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2.
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◎高橋太士, 吉田明正†:
GPU上でのSpecmurt分析を用いた基本周波数解析の並列処理.
情報処理学会第72回全国大会,
東京,
2010/03
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3.
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◎小川 ゆう子,大原 聡美, 新谷 幹夫,白石 路雄:
アクションゲーム『Tom Tit Tot』の制作.
映像情報メディア学会,
東京,
2010/03
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4.
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◎小澤智弘, 吉田明正†:
階層統合型粗粒度タスク並列処理のためのJavaコンパイラ.
情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会,
熱海,
2010/02
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5.
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◎松本徹, 村尾晃平, 和田真一, 五味志穂, 花井耕造, 菊地賢一:
所見検出能評価法に関する共同研究-第2報:CT肺がん検診認定技師試験採点法の確立を目指して.
第17回日本CT検診学会学術集会,
福岡,
2010/02
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6.
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◎岡崎千恵, 足立智子:
マルチ秘密分散法.
代数と言語のアルゴリズムと計算理論,
京都,
2010/02
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7.
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菊地賢一:
スタンドアローンで動作する汎用的コンピュータ適応型テストシステムの開発.
日本テスト学会第7回大会,
名古屋,
2009/09
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8.
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菊地賢一:
スタンドアローンで動作するコンピュータ適応型テストシステムの開発とその応用.
日本行動計量学会第37回大会,
由布,
2009/08
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9.
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◎石鍋隆昭, 光野敏治, 足立智子:
合成剰余を用いた暗号と分散復号.
組合せデザイン理論とその応用,
静岡,
2009/08
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10.
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◎上村 悠,新谷 幹夫,白石 路雄:
水彩画風レンダリングのための樹木の陰関数表現.
画像電子学会第37回年次大会,
旭川,
2009/06
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11.
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◎谷 早織,新谷 幹夫,白石 路雄:
頭蓋骨X線写真からの三次元形状の推定.
画像電子学会第37回年次大会,
旭川,
2009/06
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12.
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◎新谷 幹夫, 土橋 宜典, 白石 路雄, 岩崎 慶, 西田 友是:
多重散乱モデルの効率化と樹木レンダリングへの応用.
Visual Computing / グラフィクスと CAD
合同シンポジウム,
旭川,
2009/06
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13.
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菊地賢一:
試験日程・科目の変更による受験者学力と学内成績への影響.
全国大学入学者選抜研究連絡協議会第4回大会研究会,
東京,
2009/05
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国際学会
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1.
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◎S. Imai, S Ito, Y. Nakamura, K. Kikuchi, Y. Akagi, H. Nakasono, A. Honda, T. Hiramura, T. Fukuda:
スタンドアローンで動作するJ-CATminiの開発.
the Japanese Studies Association of Australia Conference and the International Conference on Japanese Language Education, 豪州日本研究大会・日本語教育国際研究大会, JSAA-ICJLE2009,
Sydney,
2009/07
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2.
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◎T. Adachi:
Composite residuosity and its application.
The 41st Southeastern International Conference on Combinatorics, Graph Theory and Computing,
Florida, USA,
2010/03
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3.
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◎Shingo Imai, Y. Akagi, K. Kikuchi, S. Ito, Y. Nakamura, H. Nakasono, A. Honda, T. Hiramura:
Features of a CAT System and Its Application to J-CAT.
2009 GMAC Conference on Computerized Adaptive Testing,
Minneapolis, Minnesota,
2009/06
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その他
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1.
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新谷幹夫:
散乱現象のビジュアルシミュレーション.
電子情報通信学会 PRMU研究会,
広島,
2009/10
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2.
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◎細矢 絵美,新谷 幹夫,白石 路雄:
線画ベース法線画像生成法における安定な法線補間処理.
画像電子学会第37回年次大会,
旭川,
2009/06
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