理学部 生物分子科学科 分子科学部門 古田研究室(生物有機化学)
Laboratory of Bioorganic Chemistry
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■ 概要
1.モジュール型ケージドヌクレオチドの開発
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遺伝子の機能発現を光制御することを可能にするため,ケージドDNA の開発を進めた。ケージング試薬であるBhc-diazo によりケージドdsDNA の合成が可能である。しかし,プラスミドDNA のケージングに適用すると,ケージング反応がランダムに起こるため,ケージングされたプラスミドと未修飾プラスミドの混合物が生成する問題点があった。そこで,モジュール型ケージド化合物のプラットフォーム分子を2 種類開発した。そのうちの一つを利用してビオチンタグを持つ新規ケージング試薬Bio-Bhc-diazo を合成し,ストレプトアビジンで修飾した磁気ビーズを利用したアフィニティー精製によって,未修飾DNA との混合物からケージドDNA を分離精製できることを明らかにした。分離精製したケージドdsDNAをHeLa 細胞にトランスフェクトしたところ,ケージングしていないdsDNA と比較して,目的遺伝子の発現が20%に低下し,UV 照射によって90%まで発現が回復することを確認した。
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2.多様な機能を付与できるケージング試薬の開発
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これまでのケージド化合物合成において遭遇する困難さを解決し,多様な構造の分子を容易にケージド化合物に変換できる新しいケージング試薬を開発した。高い水溶性と高効率な光反応性を持つ新規ケージドパクリタキセル合成に利用して,多様な機能を併せ持つケージド化合物を合成することの有用性を証明した。
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■ Keywords
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■ 当該年度の研究費受入状況
1.
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文部科学省科学研究費補助金 基盤研究 (B)
(研究課題番号:22310141)
研究課題:動物個体内で遺伝子の機能を光制御する新手法の開発
(研究代表者:古田寿昭)
研究補助金:4700000円 (代表)
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2.
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文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究
(研究課題番号:24121724)
研究課題:過渡的複合体の解析を可能にするケージド化合物の設計と合成
(研究代表者:古田寿昭)
研究補助金:4300000円 (代表)
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3.
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文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究
(研究課題番号:221S0003)
研究課題:包括型脳科学研究推進支援ネットワーク
(研究分担者:古田寿昭)
研究補助金:7000000円 (分担)
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■ 教授・准教授・講師の公的役職
1.
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古田寿昭
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:化学グランプリ一次選考千葉会場運営責任者
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■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和文 | 英文 |
和文 | 英文 |
国内 | 国際 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 |
演 者 | 共 演 | 演 者 | 共 演 |
演 者 | 共 演 |
古田 寿昭
教授
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| | 2 | |
2 | 1 | | |
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2
(2)
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2
(2)
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3
(3)
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2
(2)
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計 |
0 | / | 2 | / |
2 | / | 0 | / |
0 | / |
2 (2) | / |
0 (0) | / |
2 (2) | / |
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研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和 文 | 英 文 |
和 文 | 英 文 |
国 内 | 国 際 |
筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 |
演 者 | 演 者
| 演 者 |
古田 寿昭
教授
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| 2 |
2 | |
|
2
(2)
|
|
2
(2)
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計 |
0 | 2 |
2 | 0 |
0 |
2 (2) |
0 (0) |
2 (2) |
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( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
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( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
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■ 刊行論文
原著
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1.
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T. Furuta, K. Manabe, A. Teraoka, K. Murakoshi, A. Ohtsubo and A. Suzuki:
Design, synthesis and photochemistry of modular caging groups for caged nucleotides.
Organic Letters
14
(24)
:6182
-6185
, 2012
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総説及び解説
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1.
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T. Furuta:
Designing caged compounds for spatiotemporal control of cellular chemistry.
Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan
69
(11)
:1164
-1169
, 2012
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■ 著書
1.
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尾藤晴彦,松崎政紀,吉村由美子,古田寿昭†:
光技術を用いた神経回路機能の解読と操作.
実験医学増刊 心と体のクロストークから解く精神・神経疾患
100-106.
羊土社,
東京,
2012
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2.
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古田寿昭†:
ケージド化合物を利用したin vivoでの遺伝子の機能調節.
実験医学増刊 疾患克服をめざしたケミカルバイオロジー
150-155.
羊土社,
東京,
2012
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3.
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古田寿昭†:
ケージドDNA/RNAを用いる遺伝子発現の光制御.
実験医学別冊 遺伝子導入プロトコール
69.
羊土社,
東京,
2012
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■ 学会発表
国内学会
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1.
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◎岡 映里†,鈴木 商信†,古田 寿昭†:
β-ガラクトシダーゼ存在下で光解離するケージド化合物の開発.
日本化学会第93春季年会,
滋賀,
2013/03
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2.
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◎利根川千尋†,中山智裕†,鈴木商信†,古田寿昭†:
任意のタンパク質をラベル化できる新規ケージドフルオロフォアの合成と光反応性.
日本化学会第93春季年会,
滋賀,
2013/03
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3.
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◎古田寿昭†:
光技術を用いた脳機能プロービング開発・支援活動:ケージド化合物.
2012年度 包括脳ネットワーク夏のワークショップ,
仙台,
2012/07
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4.
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◎古田寿昭†:
過渡的複合体の解析を可能にするケージド化合物.
第12回日本蛋白質科学会年会,
名古屋,
2012/06
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国際学会
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1.
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◎Oka A†, Asaba T†, Suzuki A†, Furuta T†:
Synthesis and photochemistry of caged nucleosides.
13th Tetrahedron Symposium Asian Edition, Challenge in Bioorganic & Organic Medicinal Chemistry,
Taipei, Taiwan,
2012/11
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2.
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◎Tonegawa C†, Nakayama T†, Suzuki A†, Furuta T†:
Synthesis and photochemistry of new caged fluorophores.
13th Tetrahedron Symposium Asian Edition, Challenge in Bioorganic & Organic Medicinal Chemistry,
Taipei, Taiwan,
2012/11
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3.
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◎Teraoka A†, Furuta T†:
Affinity purification of biotinylated caged nucleotides using a streptavidin magnetic bead.
13th Tetrahedron Symposium Asian Edition, Challenge in Bioorganic & Organic Medicinal Chemistry,
Taipei, Taiwan,
2012/11
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その他
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1.
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◎古田寿昭†:
細胞の生理機能を光で操作して光で解析する.
第32回生命科学シンポジウム,
船橋,
2012/10
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2.
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◎Furuta T†:
Modular caged compounds: Design, synthesis and their use.
3rd International symposium on Creation of Functional Materials,
Tsukuba,
2012/12
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