<<< 前 2011年度 | 2012年度 | 2013年度
 理学部 化学科 錯体化学教室
 Laboratory of Coordination Chemistry

教授:
  北澤 孝史
准教授:
  加知 千裕
■ 概要
錯体化合物の合成と物性評価
錯体化学教室は、金属錯体の磁気および光物性等注目して研究を行っている。
北澤は、金属錯体の新機能発現を指向した化学と現代の錬金術の側面をもつ放射化学との融合をめざして研究を行っていきたいと考えている。すなわち、特定の金属元素にとらわれることなく、3dブロック元素から、4fブロック元素(ランタノイド)および5fブロック元素(アクチノイド)を中心金属とする新規錯体の合成およびその新機能物性の発現を指向した化学と、錬金術的色彩を持つ放射化学を融合し、新しい研究分野を開拓したいと考えている。主な研究テーマは、配位高分子スピンクロスオーバー錯体である。圧力等の外部環境応答性を有するポリマー金属錯体化合物は、光学的および磁性的複合機能性材料として注目されており、化合物に超分子機能を付加することにより、さらに高機能および多機能となる可能性が高い化合物である。超分子機能を有すことにより、スピンクロスオーバー挙動は、ゲスト化学種の有無およびゲスト化学種により誘起される微細なホスト金属錯体の構造変化により大きな変化が期待され、さらに微細な制御が可能となると期待される。この分野において、今後において、解決・実現が望まれる課題としては、ゲスト分子の出し入れにより、スピンクロスオーバー挙動を微細に制御すること。ゲスト分子を制御することにより、微細にスピンクロスオーバー挙動を制御することを可能にすることが,あげられる。さらに、温度、圧力、光などの外部環境変化によるスピンクロスオーバー挙動とゲスト分子に由来するスピンクロスオーバー挙動を微細に統合することも重要な課題である。

加知の研究テーマは、遅い磁化緩和現象を示す新規分子磁性体の設計と磁性評価である。金属錯体から構成される新しい分子磁性体を創製し、その磁化のダイナミクスに焦点を当てて研究を行なっている。遅い磁化緩和を示す化合物の一つに、「単分子磁石」がある。単独の磁性分子が、あたかも磁石のように振舞う。単分子磁石が示す特徴的な磁化のダイナミクスを、どのように制御できるのか、様々な分子設計・合成から研究を進めている。
1)分子間の相互作用の制御による磁性変換に注目している。分子環境を変える一つの方法として、多孔性化合物の空孔に単分子磁石を配列する方法の開発を行なっている。多孔性化合物の空孔は分子レベルでは非常に特殊な空間であるため、磁性がどのような影響を受けるかを明らかにする。
2)金属錯体では、金属イオンと多様な有機配位子との組み合わせは無限にあり、様々な構造体を自在に構築できる。1次元~3次元のネットワーク構造の分子磁性体を設計・合成し、構造によって磁化の緩和現象がどのように変遷していくかを明らかにする
■ Keywords
配位錯体、高分子錯体、光配位錯体、スピンクロスオーバー錯体、粘土鉱物
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  戦略的研究基盤形成支援事業
 研究課題:超分子科学を基盤としたレアメタル代替有機素材の創生と評価  (研究分担者:北澤孝史)
 研究補助金:2000000円  (分担)
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















北澤 孝史   教授
 1  2 2          1
(1)
 12
(11)
 
 3
(2)
 
 
加知 千裕   准教授
              
 
 
 3
 
 
 1 2  0 0  0  1
(1)
 0
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














北澤 孝史   教授
 1 2       1
(1)
 
 
加知 千裕   准教授
         
 
 
 1 2  0 0  0  1
(1)
 0
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. ◎北澤孝史、 川﨑武志、 高橋 美和:  ピリジン誘導体を持つホフマン型二次元配位高分子.  KUR Report of Research Reactor Institute of Kyoto University  195 :35 -38 , 2014
2. Sato, Hisako; Morimoto, Kazuya; Mori, Yukie; Shinagawa, Yuji; Kitazawa, Takafumi; Yamagishi, Akihiko:  Axially chiral monomeric and dimeric square planar Pd(II) complexes and their application to chiral tectonics.  Dalton Transactions  42 (21) :7579 -7589 , 2013
3. Kitazawa, Takafumi; Hiruma, Kei; Sato, Hisako; Tamura, Kenji; Yamagishi, Akihiko:  An emitting Hofmann-type compound: evidence for interlayer aurophilic interactions.  Dalton Transactions  42 (48) :16680 -16682 , 2013
4. Takafumi Kitazawa, Miwa Takahashi, Takeshi Kawasaki:  2D iron spin crossover complex with 3,5-lutidine.  Hyperfine Interactions  2013 (218) :133 -138 , 2013
5. Yoshida, Kazuki; Akahoshi, Daisuke; Kawasaki, Takeshi; Saito, Toshiaki; Kitazawa, Takafumi:  Guest-dependent spin crossover in a Hofmann-type coordination polymer Fe(4,4'-bipyridyl)[Au(CN)2]2•nGuest.  Polyhedron  66 :252 -256 , 2013
■ 学会発表
国内学会
1. ◎上野将太郎、岡林潤、北澤孝史: ニコチン酸エステルを配位子とするFeII-AuI系ホフマン型スピンクロスオーバー錯体の結晶構造及び特性評価.  日本化学会第94春季年会,  名古屋,  2014/03
2. ◎松本晋弥、 岡林潤、 北澤孝史: Co 2+を含むホフマン型錯体の構造と磁性.  日本化学会第94回春季年会,  名古屋,  2014/03
3. ◎北澤孝史: 熱履歴を持つホフマン型スピンクロスオーバー錯体のメスバアースペクトル.  第15回メスバウアー分光研究会シンポジウム,  東京,  2014/03
4. ◎北澤孝史: ピリジン誘導体を持つホフマン型二次元配位高分子.  平成25年度KUR専門研究会「不安定原子核の理工学と物性応用研究」,  熊取,  2013/12
5. ◎蛭間慶、 山岸晧彦、 田村堅志、 北澤孝史: 親金相互作用を有するホフマン型錯体の発光挙動.  錯体化学会第63回討論会,  沖縄,  2013/11
6. ◎山岸晧彦、 谷口昌宏、 佐藤久子、 北澤 孝史: 軸性キラリティを有するPd(II)2核錯体の液晶キラルドーパントの応用.  錯体化学会第63回討論会,  沖縄,  2013/11
7. ◎住恵理子、 田村堅志、 佐藤久子、 山岸晧彦、 北澤 孝史: 発光性イリジウム(III)錯体の消光作用におけるエナンチオ選択制の研究.  錯体化学会第63回討論会,  沖縄,  2013/11
8. ◎岡林潤、 上野将太郎、 北澤 孝史: スピンクロスオーバー挙動を示すFe(py)2Ni(CN)4錯体のEXAFSの温度依存性.  錯体化学第63回討論会,  沖縄,  2013/11
9. ◎上野将太郎、 岡林潤、 北澤孝史: ニコチン酸ヘキシルを配位子とする層状スピンクロスオーバー錯体の結晶構造と磁気特性.  錯体化学会第63回討論会,  沖縄,  2013/11
10. ◎大山翔一、田村堅志、北澤孝史、 山岸晧彦: メラミン修飾層状ケイ酸塩を用いたポリアド6ナノコンポジットの結晶性および機械的性質.  第3回CSJ化学フェスタ,  東京,  2013/10
11. ◎上野将太郎、岡林潤、北澤孝史: スピンクロスオーバー挙動を示すFeII(hexylNicotinate)2[AuI(CN)2]2の合成及び特性評価.  第3回CSJ化学フェスタ2013,  東京,  2013/10
12. ◎蛭間慶、山岸晧彦、田村堅志、北澤孝史: [Au(CN)2]-で架橋された新規ホフマン型錯体の発光挙動.  第3回CSJ化学フェスタ2013,  東京,  2013/10
13. ◎住恵理子、田村堅志、佐藤久子、山岸晧彦、北澤孝史: 粘土鉱物に吸着したシクロメチル化イリジウム(III)錯体の発光・消光挙動.  第3回CSJ化学フェスタ2013,  東京,  2013/10
国際学会
1. Hiromasa Kato, Chihiro Kachi-Terajima: Synthesis of amphiphilic molecules containing fluorescent lanthanide complex.  4th Asian Conference on Coordination Chemistry,  Jeju, Korea,  2013/11
2. Yohei Nakagawa, Chihiro Kachi-Terajima: Luminescent properties of lanthanide complexes with nucleobase.  4th Asian Conference on Coordination Chemistry,  Jeju, Korea,  2013/11
3. ◎Rikako Ishii, Chihiro Kachi-Terajima, Daisuke Akahoshi, Toshiaki Saito: Slow relaxation of magnetization on a two-dimensional cyanide-bridged Fe(III)-Mn(III) network.  4th Asian Conference on Coordination Chemistry,  Jeju, Korea,  2013/11
4. ◎Takafumi Kitazawa: New Hofmann-like spin crossover compound with 3,5-lutidine.  2013 ICAME International Conference on the Applications of the Mossbauer Effect,  Opatija, Croatia,  2013/09
5. ◎Takafumi Kitazawa: Crystal Structure and Magnetic Property of Spin Crossover Complex FeII(Ethyl Nicotinate)2[AuI(CN)2]2.  ACIN2013 International Conference on Advanced Complex Inorganic Nanomaterials,  Namur, Belgium,  2013/07
6. ◎Takafumi Kitazawa: Hofmann-type Spin Crossover Coordination Polymer Compounds.  Second Annual World Congress of Advanced Materials-2013,  Suzhou, China,  2013/06
  :Corresponding Author
  :本学研究者