理学部 化学科 錯体化学教室
Laboratory of Coordination Chemistry
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■ 概要
錯体化合物の合成と物性評価
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錯体化学教室は、金属錯体の磁気および光物性等注目して研究を行っている。北澤グループと加知グループからなり、お互いに協力しあいながら相補的に研究を進めている。
北澤は、金属錯体の新機能発現を指向した化学と現代の錬金術の側面をもつ放射化学との融合をめざして研究を行っていきたいと考えている。すなわち、特定の金属元素にとらわれることなく、3dブロック元素から、4fブロック元素(ランタノイド)および5fブロック元素(アクチノイド)を中心金属とする新規錯体の合成およびその新機能物性の発現を指向した化学と、錬金術的色彩を持つ放射化学を融合し、新しい研究分野を開拓したいと考えている。主な研究テーマは、配位高分子スピンクロスオーバー錯体である。圧力等の外部環境応答性を有するポリマー金属錯体化合物は、光学的および磁性的複合機能性材料として注目されており、化合物に超分子機能を付加することにより、さらに高機能および多機能となる可能性が高い化合物である。超分子機能を有すことにより、スピンクロスオーバー挙動は、ゲスト化学種の有無およびゲスト化学種により誘起される微細なホスト金属錯体の構造変化により大きな変化が期待され、さらに微細な制御が可能となると期待される。この分野において、今後において、解決・実現が望まれる課題としては、ゲスト分子の出し入れにより、スピンクロスオーバー挙動を微細に制御すること。ゲスト分子を制御することにより、微細にスピンクロスオーバー挙動を制御することを可能にすることが,あげられる。さらに、温度、圧力、光などの外部環境変化によるスピンクロスオーバー挙動とゲスト分子に由来するスピンクロスオーバー挙動を微細に統合することも重要な課題である。
加知の研究テーマは、①遅い磁化緩和現象を示す新規分子磁性体の設計と磁性評価、②ランタノイド錯体の合成と発光である。①金属錯体から構成される新しい分子磁性体を創製し、その磁化のダイナミクスに焦点を当てて研究を行なっている。遅い磁化緩和を示す化合物の一つに、「単分子磁石」がある。単独の磁性分子が、あたかも磁石のように振舞う。単分子磁石が示す特徴的な磁化のダイナミクスを、どのように制御できるのか、様々な分子設計・合成から研究を進めている。
1)分子間の相互作用の制御による磁性変換に注目している。分子環境を変える一つの方法として、多孔性化合物の空孔に単分子磁石を配列する方法の開発を行なっている。多孔性化合物の空孔は分子レベルでは非常に特殊な空間であるため、磁性がどのような影響を受けるかを明らかにする。
2)金属錯体では、金属イオンと多様な有機配位子との組み合わせは無限にあり、様々な構造体を自在に構築できる。1次元~3次元のネットワーク構造の分子磁性体を設計・合成し、構造によって磁化の緩和現象がどのように変遷していくかを明らかにする。
②ランタノイド錯体の合成を行い、発光特性を調べている。イミダゾール系配位子を用いた錯体で発光が観測され、配位子の違いで発光特性をどう変化させることができるかに注目して研究を行っている。
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■ Keywords
錯体、磁気錯体、光物性錯体、配位高分子、スピンクロスオーバー錯体
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■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和文 | 英文 |
和文 | 英文 |
国内 | 国際 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 |
演 者 | 共 演 | 演 者 | 共 演 |
演 者 | 共 演 |
北澤 孝史
教授
理学博士
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1 | | 1 | 1 |
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1
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1
(1)
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加知 千裕
講師
博士(理学)
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| | | 2 |
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2
(2)
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1
(1)
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計 |
1 | / | 1 | / |
0 | / | 0 | / |
0 | / |
1 (0) | / |
0 (0) | / |
0 (0) | / |
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研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和 文 | 英 文 |
和 文 | 英 文 |
国 内 | 国 際 |
筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 |
演 者 | 演 者
| 演 者 |
北澤 孝史
教授
理学博士
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1 | 1 |
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1
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加知 千裕
講師
博士(理学)
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計 |
1 | 1 |
0 | 0 |
0 |
1 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
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( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
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( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
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■ 刊行論文
原著
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1.
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北澤孝史†, 奈良 諭, 高橋 正†:
スピンクロスオーバー挙動を示すFe(3-hydroxypyridine)2[Pd(CN)4].nH2Oの配位子置換効果.
京都大学原子炉実験所 KUR Report
2012
(168)
:86-90
, 2012
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2.
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Akiko Hori, Takahiro Kikuchi, Kumiko Miyamoto, Takashi Okano, Chihiro Kachi-Terajima, Hiroshi Sakaguchi:
Transformation of a CuII Thiazolo-1,2,4-triazine Derivative from a Metastable Coordination Network to a Monomer in Solution and Vapor Conditions.
European Journal of Inorganic Chemistry
2011
(20)
:3059-3066
, 2011
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3.
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Takafumi KITAZAWA, Hitomi Sato Chihiro KACHI-TERAJIMA, Kazuki YOSHIDA, Hidesugu TAKAGAKI, Chikahide KANADANI Toshiaki SAITO:
Aqua cadmium cyanide coordination polymer with nitronyl nitroxide radical.
Polyhedron
30
(18)
:3054
, 2011
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4.
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Kazuki YOSHIDA, Takashi KOSONE, Chikahide KANADANI, Toshiaki SAITO, Takafumi KITAZAWA:
Crystal structure and magnetic property of spin crossover complex FeII(3-phenylpyridine)2[AuI(CN)2]2.
Polyhedron
30
(18)
:3062
, 2011
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■ 学会発表
国内学会
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1.
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◎高瀬遼一、佐藤久子、山岸暁彦、北澤孝史:
Ru(III)2核錯体の合成:架橋化によって生じる軸性キラリティ.
化学系学協会北海道支部2012年冬季研究発表会,
札幌,
2012/01
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2.
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◎北澤孝史†, 奈良諭, 高橋 正†:
スピンクロスオーバー挙動を示すFe(3-hydroxypyridine)2[Pd(CN)2].nH2Oの配位子置換効果.
平成23年度KUR専門研究会「不安定原子核の理工学と物性応用研究」,
熊取,
2011/12
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3.
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◎児玉悠太, 加知千裕, 中村健太, 石井梨夏子, 赤星大介, 宮坂等, 齊藤敏明:
2次元スピンアイス的な単分子磁石ネットワークにおける乱れの磁気転移に与える影響.
日本磁気学会,
富山市,
2011/09
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4.
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◎高瀬遼一、 佐藤久子、 山岸晧彦、 北澤孝史:
RuIII 二核錯体の合成:架橋化によって生じる軸性キラリティ.
第61回錯体化学討論会,
岡山,
2011/09
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5.
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◎中村健太、山岸晧彦、田村堅志、加知千裕、齊藤敏明、赤星大介:
粘土鉱物層間への単分子磁石インターカレーションとその磁性.
第61回錯体化学討論会,
岡山,
2011/09
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6.
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◎中村健太、山岸晧彦、田村堅志、加知千裕、齊藤敏明、赤星大介:
層状ケイ酸塩への単分子磁石インターカレーション.
第55回粘土科学討論会,
鹿児島,
2011/09
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国際学会
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1.
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◎Yanagi K, Kitazawa T†, Kachi-Terajima C†, Takahashi M†:
155Gd Mossbauer Spectroscopic Studies of Gadolinium(III) Complexes with Tripodal and Dipodal Imidazole Ligands.
31th International Conference on the Applications of the Moessbauer Effect (ICAME2011),
Kobe, Japan,
2011/09
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