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 薬学部 生化学教室
 Department of Biochemistry

教授:
  髙橋 良哉
講師:
  船越 智子
■ 概要
老化および老化関連疾患の発症メカニズムとその制御
本教室では「老化および老化関連疾患の発症メカニズムとその制御」を主テーマとし、中高齢期からの食餌制限の有益性とリスクに関する研究、老化促進モデルマウスを用いた老化促進に与える内外因子(栄養、遺伝子多型など)の解析を行っている。
1.中高齢期からの食餌制限の有益性とリスク
中高齢期からの食餌制限には、様々な有益作用があることを本教室で明らかにした。しかし、中高齢動物に対する食餌制限には、加齢に伴う筋肉量低下(サルコペニア)を加速させる危険がある。実際に食餌制限老齢ラットの後肢筋(ヒラメ筋、腓腹筋)の重量や線維構成を調べてみると食餌制限による影響は殆ど認められなかった。現在、食餌制限老齢動物の筋肉量と貯蔵エネルギー量との関係を調べている。
2.近位尿細管細胞のアルブミントランスサイトーシス関連タンパク質の解析
老齢ラットのアルブミン尿症の食餌制限による改善に腎尿細管におけるアルブミン再吸収活性化が関わっている可能性を本教室で明らかした。また、免疫組織学的研究により、アルブミン再利用系の存在の可能性を示唆した。昨年度に引き続き、アルブミン再利用系に関わる分子機構についての研究を進めている。
3.老化促進モデルマウス(SAM)の肥満モデル動物としての有用性
老化関連疾患発症の研究モデル動物としての老化促進モデルマウス(SAM)の促進老化型(SAMP8)、高脂肪餌により肥満を起こし易いことを本教室で明らかにした。また、SAMP8は、高脂肪食により高血糖を示すことがわかった。現在、脂肪の吸収などに関わる分子の特性などについて正常マウスとで比較研究を行っている。
4.加齢に伴い脳に蓄積する鉄結合タンパク質の解析
脳に蓄積した鉄は、老人班やβアミロイド生成、シナプス変性、神経細胞死などを引き起こす原因となる可能性がある。本教室では、これまでに加齢に伴いマウス、ラットの脳に鉄(non-heme鉄)が蓄積することを見出した。本年度は、組織学的な研究を実施し、鉄が特定の脳領域のある種の細胞に蓄積すること見出した。今後、加齢に伴い鉄蓄積を引き起こす細胞とその鉄の結合タンパク質を同定する予定である。
■ Keywords
老化関連疾患, 食事制限, サルコペニア, 脂質代謝, 高脂肪食, 老化促進モデルマウス, 一塩基多型, 非ヘム鉄
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  髙橋 良哉 :日本薬学会 代議員, 日本薬学会関東支部 幹事, 日本微量元素学会 評議員, 老化促進モデルマウスSAM研究協議会 評議員, 日本生化学会関東支部 幹事
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















髙橋 良哉   教授
薬学博士
        1      2
(2)
 4
 2
 3
 
 
船越 智子   講師
              
 
 
 
 
 
大寺 恵子   助教
博士(薬学)
              3
 
 2
 2
 
 
 0 0  0 1  0  5
(2)
 4
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














髙橋 良哉   教授
薬学博士
     1    2
(2)
 2
 
船越 智子   講師
         
 
 
大寺 恵子   助教
博士(薬学)
         3
 2
 
 0 0  0 1  0  5
(2)
 4
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 著書
1. Takahashi R:  Altered and lifespan-associated gene expression in the senescence-accelerated mouse P8 strain.  The Senescence-Accelerated Mouse (SAM), Achievements and Future Directions  321-327.  Elsevier,  Amsterdam, The Netherlands, 2013
■ 学会発表
国内学会
1. ◎高橋良哉: 老化とストレスに関する食品の機能性研究の現状.  日本薬学会第134年会,  熊本,  2014/03
2. ◎大寺恵子, 高橋良哉: 腎podocalyxinの加齢変化に対する食餌制限の影響.  日本薬学会第134年会,  熊本,  2014/03
3. ◎Nawa Y, Ootaki M, Kuwabara R, Hiroi T, Takahashi R, Matsui H: Transcriptional regulation of the human serotonin type 4(5-HT4) receptor gene by ERG, EGR and NF1.  第36回 日本分子生物学会年会,  神戸,  2013/12
4. ◎高橋良哉: 生体内異常タンパク質の蓄積とその影響.  第5回糖化ストレス研究会 講演会,  東京,  2013/10
5. ◎大寺恵子, 高橋良哉: 絶食・再摂食の繰り返しによる腎タンパク分解活性変化と老齢ラットアルブミン尿症改善.  第86回日本生化学会大会,  横浜,  2013/09
6. ◎大寺恵子, 高橋良哉: 加齢と鉄蓄積:老化促進モデルマウス(SAM)P8系.  平成25年度 日本生化学会関東支部例会,  甲府,  2013/06
国際学会
1. ◎Nawa Y, Ootaki M, Kuwabara R, Hiroi T, Takahashi R, Matsui H: Transcriptional regulation of the human serotonin type 4(5-ht4) receptor gene: identification and characterization of novel promoter and enhancer elements.  43rd annual meeting of the Society for Neuroscience (Neuroscience 2013),  San Diego, USA,  2013/11
2. ◎Odera K, Takahashi R: Effect of alternate day diet from old on the changes of muscle weight and fiber size.  20th International Association of Gerontology and Geriatrics (IAGG) World Congress of Gerontology and Geriatrics,  Seoul, Korea,  2013/06
3. ◎Takahashi R, Odera K: Acceleration of age-related gene expression in the brain of SAMP8: It's effect on myelin basic protein (MBP) gene expression during postnatal development.  20th International Association of Gerontology and Geriatrics (IAGG) World Congress of Gerontology and Geriatrics,  Seoul, Korea,  2013/06
4. ◎Odera K, Takahashi R: Effect of dietary restriction from old on the age-related changes of skeletal muscle.  The 42nd Annual Meeting of the American Aging Association,  Baltimore, MD, USA,  2013/06
5. ◎Takahashi R, Odera K: Altered gene expression in the brain of senescence-accelerated mouse during postnatal development.  The 42nd Annual Meeting of the American Aging Association,  Baltimore, MD, USA,  2013/06
  :Corresponding Author
  :本学研究者