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 医学部 医学科 脳神経外科学講座(大森)
 Department of Neurosurgery (Omori)

教授:
  周郷 延雄
准教授:
  近藤 康介
■ 概要
3Dプリンターを用いたシミュレーション
プリンタとは、一般的に平面の紙やシートに印刷する機器を意味するが、三次元(3D)プリンタは3Dデータを元に立体の模型を造形する先進機器である。短時間に三次元実体モデルを作成できることから、近年、様々な業種で注目されている。医療の中でも特に外科系においては、術者が高精細な三次元実体モデルを直接手にすることができ、これまでの画像評価よりも立体的なイメージが高まるため、具体的な手術計画の立案が容易となる。本教室では3Dプリンタを用いて、CT、MRI、脳血管撮影の医療画像データを合成した三次元実体モデルを作成し、手術シミュレーションに応用し、また臨床研究を進めている。
血管内治療
脳動脈瘤に対する治療のひとつとして、よりless invasiveな血管内手術を施行している。また、くも膜下出血の併発症である脳血管攣縮に対してはangioplastyを行い、DINDの予防に努めている。近年では、頚部頚動脈狭窄の対するステント留置術を積極的に行い、それに関する臨床研究を開始している。
頭蓋底外科
従来到達困難であった頭蓋内深部に存在する病変に対して、頭蓋底外科的手術手技を用いて治療を行っている。特に、錐体斜台部腫瘍へのcombined trans-petrosal approachや、鞍上部腫瘍に対するtrans-zygomatic extra-dural temporopolar approachを行い、より脳組織への手術侵襲を軽減させている。また、新たに導入されたニューロナビゲーション・システムを用いて、手術中のオリエンテーションを改善し、腫瘍摘出率の向上を図っている。
脳SPEC臨床研究
脳腫瘍硬度に関する研究
脳の深部に発生する脳腫瘍では、その硬度が手術摘出率に強く影響を及ぼす因子なる。すなわち、硬い場合には単純に摘出率が低下しやすいことに加えて摘出時における周囲正常脳組織への圧迫が強くなり、術後合併症の危険性が増すことになる。しかしこれまで腫瘍硬度は術者の主観的な評価のみしか報告されておらず、物理的計測によって客観的に数値化された研究はない。本教室では、食品用硬度測定器を応用して手術摘出標本の硬度を測定し、これによって、各脳腫瘍組織の硬度を比較検討している。術前に脳腫瘍の硬度を予測することができれば、治療方法や手術手技の検討、術中に使用する手術機器の選択、術後合併症の予測、術前インフォームドコンセントにおける詳細な説明等、臨床的に極めて有用な情報を与えてくれると期待される。
■ 当該年度の研究費受入状況
その他
1.  東邦大学医学部プロジェクト研究  (研究課題番号:22-19)
 研究課題:高精細3Dプリンターによる頭部立体模型を用いた神経内視鏡手術の教育法の開発  (研究代表者:榮山雄紀)
 研究補助金:500000円  (代表)
■ 学会発表
その他
1. ◎渕之上 裕, 三海正隆, 久保田修平, 阿部光義, 中田知恵, 栄山雄紀,寺園 明, 近藤康介, 周郷延雄: ◎妊娠中期に診断された悪性神経膠腫の1例.  第45回東京脳腫瘍治療懇話会,  東京,  2024/04
  :Corresponding Author
  :本学研究者