2008年度
 理学部 生命圏環境科学科 環境創成科学部門
 Division of Sustainable Development Sciences

教授:
  佐藤 研二
  鈴木 実
  渡辺 恒夫
准教授:
  朝倉 暁生
■ 概要
佐藤研究室
近年の化石エネルギーの大量消費は地球温暖化をはじめ大きな環境負荷を与え,この問題を打開するため,環境負荷の少ないエネルギーの利用の可能性が模索されている。そのために数々の新しい技術が開発されつつあるが,それらの技術は,安全に使いこなせるものでなければ社会全体に広く普及することが困難である。本研究室では,現在のあるいは新たな展開をみせている種々のエネルギー利用に関連して,燃焼現象が関与する現象の安全性を中心に研究を行っている。物質としては,水素,ガソリン,代替ガソリンが主な対象である。
鈴木研究室
人間の生活や生産活動に伴って排出される廃棄物は,都市化や工業化が進むほど膨大な量に達する。当研究室では,廃棄物やバイオマスの特徴である潜在エネルギーの大きさと供給の安定性に着目し,これらの熱エネルギーの高効率回収や再資源化のための新たなキーテクノロジーの開発を理論と実験の両面から追及している。 また,特殊な燃焼現象である収束デトネーションで得られた数百MPa レベルの超高圧水中衝撃波を利用したユニークな殺菌技術の開発を,2008年8月からJST(科学技術振興機構)からの受託研究として実施中である。現在,大型衝撃殺菌試験装置を用いた超高圧水中衝撃波の発生機構及び殺菌機構の解明に加え,船舶バラスト水及び循環水に注目した実験的研究を実施中であり、2009年11月から処理量5m3/hのエンジン式実証機による実用性評価試験を開始する予定である。
渡辺研究室
1)東洋的認識論と太極拳の実践
 前年度に続き,東洋的認識論を人間科学に応用するための理論的考察を行うのと共に,その応用の場として太極拳を取り上げ,脳波測定を含む生理心理学的基礎研究を開始した。
2)緑環境と心身状態の相互作用
 環境心理学の一環として,自然環境と心身状態の相互作用の心理生理学的測定研究を行った。具体的には,自然風景の画像と都市環境画像を提示し,ストレスの指標としての皮膚電気活動と心拍を測定する方法を用いた。
3)環境科学の科学基礎論
 分析・価値中立・客観性を旨とする近代科学に対立するものとして、環境科学に、総合・価値志向・主観の導入という特徴付けを行って科学論的考察を試みた。
朝倉研究室
1)環境計画・政策の策定プロセスにおける合意形成コミュニケーションのあり方
 環境計画・政策に対する市民の自主的・積極的な関与を求めるためには,その策定段階において十分な合意形成が図られることが求められる。その一方で,合意形成に時間をかけ過ぎることによって,状況が変わってしまうなどのデメリットも考えうる。そのため,合意形成プロセスにおいて,効果的かつ効率的なコミュニケーションを図るための場の運営方法などコミュニケーションの方法論についての研究を行っている。
2)地球温暖化に関する科学と社会のコミュニケーションのあり方
 2007 年度より2011 年度までの予定で,環境省環境研究総合推進費(S-5)「地球温暖化に係る政策支援と普及啓発のための気候変動シナリオに関する総合的研究」の部分担当として,地球温暖化問題に関する研究分野における予測結果などを政策決定者や国民などに広く伝達する方法についての研究を行っている。
■ Keywords
環境計画, 合意形成, 廃棄物処理, 超高圧パルス殺菌, 人間科学の方法, 快適環境の心理生理, 燃焼現象, エネルギー安全
■ 特許
1.  鈴木実. 千々石勉 :船舶パラスト水中の水生生物を死滅させる方法及び装置  ―特願2009-84023
2.  鈴木実, 千々石勉 :循環水中の水生生物を死滅させる方法及び装置  ―特願2009-84025
3.  千々石勉, 鈴木実 :有機汚泥処理方法  ―特願2009-84026
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進事業  (研究課題番号:2016)
 研究課題:超音速・超高圧パルスを利用した安価で環境に優しい液体殺菌技術の開発  (研究代表者:鈴木実)
 研究補助金:42900000円  (代表)
2.  環境省 地球環境研究総合推進費
 研究課題:地球温暖化に係る政策支援と普及啓発のための気候変動シナリオに関する総合的研究 (サブテーマ)共感を得ることを重視したロールプレイング型コミュニケーションに関する実証的研究  (研究代表者:朝倉暁生)
 研究補助金:5200000円  (代表)
その他
1.  受託研究
 研究課題:新型健康マット(仮称”アロマット”)のリラックス効果の実験的研究  (研究代表者:渡辺恒夫)
 研究補助金:200000円  (代表)
■ 教授・准教授・講師の公的役職
1.  佐藤研二 :経済産業省原子力・安全保安院液化石油ガス保安課 調整器の経年劣化等異常検知技術の調査研究プロジェクト評価検討会委員,  独立行政法人日本高速道路保有・返済機構 水底トンネル等における危険物積載車両の通行の禁止または制限に関する審議会委員,  日本自動車研究所 FCV基盤整備委員会委員・FCV基盤整備委員会解析技術部門安全ワーキング委員, 日本消防設備安全センター ガス系消火設備等専門委員会委員, 高圧ガス保安協会 液化石油ガス規格委員会・警報器検知器等委員会・液化石油ガス法施行規則関係基準分科会委員・液化石油ガス法施行規則関係基準解釈専門分科会委員・石油ガス用FRP容器実用化調査委員会委員
2.  鈴木実 :千葉県 新エネルギー産業振興協議会委員,(社)日本工業炉協会: 熱処理業における安全性向上に関する調査研究委員会委員及びワーキンググループ委員,(社)日本工業炉協会: 高性能工業炉に係るアウトカム調査事業評価委員(学識経験者), (社) 日本機械学会校閲委員
3.  朝倉暁生 :千葉県 県とNPOとの協働事業提案選考委員会 委員長・三番瀬評価委員会 委員, 船橋市 廃棄物減量等推進審議会 会長, 習志野市谷津干潟自然観察センター運営懇話会 会長・都市計画審議会 委員, 中央区 清掃・リサイクル推進協議会 会長代理, (財)練馬まちづくりセンターまちづくり活動助成審査委員会 副委員長, 草加市開発事業等審査会 委員
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  佐藤研二 :安全工学会 論文賞選考委員会委員・安全工学編集委員会委員,日本火災学会 刊行委員会委員・論文集編集小委員会委員・火災誌編集小委員会委員・自動車火災専門委員会委員
2.  鈴木実 :日本機械学会2008 年度校閲委員
3.  渡辺恒夫 :科学基礎論学会 学会奨励賞選考委員・企画委員, 国際生命情報科学会 評議員・理事
4.  朝倉暁生 :日本計画行政学会 常務理事, 環境アセスメント学会 編集委員会委員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















佐藤 研二   教授
工学博士
              
 2
 
 
 
 
鈴木 実   教授
工学博士
  1            
 
 
 
 2
 
渡辺 恒夫   教授
博士(学術)
    1        1  2
 
 
 
 2
 
朝倉 暁生   准教授
工学博士
 1             2
 
 
 
 3
(2)
 
 1 0  0 0  0  4
(0)
 0
(0)
 7
(2)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














佐藤 研二   教授
工学博士
         
 
 
鈴木 実   教授
工学博士
         
 
 2
渡辺 恒夫   教授
博士(学術)
         2
 
 2
朝倉 暁生   准教授
工学博士
 1        2
 
 3
(2)
 1 0  0 0  0  4
(0)
 0
(0)
 7
(2)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Kuniyuki Miyazaki, Akira Masui, Tsutomu Yamaguchi, Yasuhide Sakamoto, Hironori Haneda, Yuji Ogata, Kazou Aoki, Seisuke Okubo:  Strain Rate Dependency of Peak and Residual Strength of Sediment Containing Synthetic Methane Hydrate.  Journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan  124 (10,11) :619-625 , 2008
2. 朝倉暁生, 高野誠二, 平松あい:  地球温暖化問題への関心・行動とイメージに関する研究.  環境情報科学論文集  22 :333-338 , 2008
3. 石井一洋, 久保田倫弘, 藤本寛幸, 坪井孝夫, 鈴木実:  収束デトネーションを用いたガスエンジン用点火システムに関する研究.  日本機械学会論文集(B編)  74 (741) :191-198 , 2008
4. N. Tenma, T. Yamaguchi and G. Zyvoloski:  The Hijiori Hot Dry Rock test site, Japan: Evaluation and optimization of heat extraction from a two-layered reservoir.  Geothermics  37 :19-52 , 2008
5. Erlacher D, Schredl M, Watanabe T , Yamana J, Gantzert F:  The incidence of lucid dreaming within a Japanese university student sample.  International Journal of Dream Research  1 (2) :39-43 , 2008
6. W. Sato-Okoshi and K. Okoshi:  Polydorid species(Polychaeta: Spionidae) in south-western Australia water with special reference to Polydora uncinata and Boccardia knoxi.  Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom  88 :491-501 , 2008
7. W. Sato-Okoshi and K. Okoshi:  Characteristics of shell microstructure and growth analysis of the Antarctic bivalve Laternula elliptica from Lützow-Holm Bay, Antarctica.  Polar Biology  31 :131-138 , 2008
その他
1. Hashizume S, Kamada A, Kawano K, Kokubo H, Yamamoto M, Katsuragawa H, Watanabe T :  Stamping on an uneven floor mat leads to stress reduction.  Journal of International Society of Life Information Science  27 (1) :73-75 , 2009
■ 学会発表
国内学会
1. ◎松井奨,渡邉憲道,佐藤研二: 脆弱部のある閉囲空間内におけるETBE混合ガソリンの爆発特性.  第41回安全工学研究発表会,  東京,  2008/11
2. ◎松井奨,佐藤研二,渡邉憲道: 脆弱部のある閉囲空間におけるETBE混合ガソリンの爆発特性.  第41回安全工学研究発表会,  東京,  2008/11
3. ◎朝倉暁生, 高野誠二, 平松あい: 地球温暖化問題への関心・行動とイメージに関する研究.  環境情報科学センター,  東京,  2008/11
4. 朝倉暁生: 地球温暖化問題のイメージとリスク認識に関する研究.  日本リスク研究学会,  大阪,  2008/11
5. 朝倉暁生: 地球温暖化教育におけるロールプレイング型ワークショップの効果に関する研究.  日本教育メディア学会,  名古屋,  2008/10
6. ◎渡辺恒夫, 小久保秀之, 山本幹男, 岡田光正: 音楽刺激下における観葉植物(ポトス)「の葉表面電位反応.  人間・植物関係学会,  滋賀,  2008/06
7. ◎渡邉憲道,松井 奨,佐藤研二: 床面に撒かれたガソリンの混合気における火炎挙動と圧力変動の特性.  日本火災学会平成20年度研究発表会,  神戸,  2008/05
8. ◎渡邉憲道, 松井奨,佐藤研二: 床面に撒かれたガソリンの混合気における火炎挙動と圧力変動の特性.  平成20年度日本火災学会研究発表会,  神戸,  2008/05
9. 渡辺恒夫: 自然の回復的効果の実験的検討と場所の気分特性モデル.  人間・環境学会,  東京,  2008/05
10. 渡辺恒夫: 環境科学の科学基礎論.  科学基礎論学会,  東京,  2008/06
  :Corresponding Author
  :本学研究者