<<< 前 2008年度 | 2009年度 | 2010年度
 医学部　医学科　耳鼻咽喉科学講座（大橋）
 Department of Otolaryngology (Ohashi)

教授：
　　大越　俊夫
准教授：
　　大木　幹文
助教：
　　山口　宗太
■ 概要
概要
１．耳科領域
　鼓膜の変化に対する双眼顕微鏡の活用と滲出性中耳炎に対する鼻咽腔病変の影響に重点を置き，音響耳管機能検査などを併用することにより，鼻咽腔の通気性と鼓膜インピーダンスの関連性という観点から検討している。
2． 鼻科領域
　鼻アレルギーや副鼻腔炎の発症機序および病態のために鼻腔通気度計，音響鼻腔検査（Acoustic Rhinometry）などを用い，これらの疾患の治療に効果をあげている。具体的には鼻粘膜の反応性と過敏性を判定する自律神経作動薬投与による定量的鼻粘膜反応検査を通し，適切な外科的治療法などの検討を行っている。また，下気道との関連性をも追求するために呼吸機能検査を併用している。さらに細胞組織学的検討も積極的に行い，鼻アレルギー，鼻茸の成因に関与するケミカルメディエータの解析，さらにはNO（一酸化窒素）の役割の検討も行っている。治療面においても，顕微鏡，硬性内視鏡を利用し，鼻副鼻腔手術の確立を目指し，手術の正確性安全性ばかりではなく，教育効果に実績を上げている。また，近年飛躍的に進歩している医療技術を積極的に取り入れ，シェーバーメスなども併用している。さらには，日帰り手術も視野に入れたレーザー治療，コブレーターの有用性を検討している。
3． 喉頭・気管食道科領域
　VTR を用いた食道透視や各種ファイバースコープによる動態観察を積極的に行っている。喉頭領域ではストロボスコープによる詳細な観察を行い，気管，気管支領域では高度な呼吸生理機能検査と画像所見から細胞レベルに至る形態的変化との関連性を検討している。
4． 咽喉頭異常感
　専門外来を開設し，総合的，系統的な研究を行っている。特に咽喉頭異常感症のかなり多くが呼吸器疾患に由来するものであることが解明され，喉頭アレルギーの実態の検討もなされている。
5． 頭頚部外科領域
　早期発見のため迅速で総合的な診断を行い，neoadjuvant chemothrapy，放射線療法，レーザー手術，拡大手術などを組み合わせ，適切な対処を目指している。
6． 睡眠時呼吸障害
　睡眠時無呼吸症の診断にポリソムノグラフィーを用い，脳波による睡眠深度との関連を含めて検討するとともに，呼吸機能検査，MRI などから総合的に治療方針をたてている。特に閉塞性睡眠時無呼吸症ではレーザーを併用した口蓋垂口蓋咽頭形成術を行うことで，安全な手術を目指し，多くの成果を上げている。また，歯科との連携によりSleep Splint の作製による効果を検討している。又，メタボリック症候群が問題となる現在，同疾患と無呼吸の関係を明らかにしNCPAP 療法にも積極的に取り組んでいる。
7． 老年耳鼻咽喉科領域
　近年増加傾向にある高齢者の医療の重要性に対処するため，補聴器専門外来を設け，最新鋭の適合検査機器を多用し，quality of life といった観点からも適切なアドバイスをしている。
■ Keywords
副鼻腔炎, 鼻アレルギー, 睡眠時無呼吸, 咽喉頭異常感, 高齢者医療
■ 当該年度の主催学会・研究会
1.  第２２回睡眠呼吸障害研究会耳鼻咽喉科部会  (当番世話人 ： 大越俊夫 )  ,東京  2011/02
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  大越　俊夫 ：日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会代議員 　耳鼻咽喉科臨床学会運営委員 　日本鼻科学会評議員 　日本頭頸部外科学会評議員 　日本喉頭科学会評議委員 　日本小児耳鼻咽喉科研究会運営委員 　日本耳鼻咽喉科感染症研究会運営委員 　日本医用エアロゾル研究会運営委員、事務局長 　喉頭アレルギ－・異常感症研究会世話人 　睡眠呼吸障害研究会耳鼻咽喉科部会世話人 　7th International Symposium on Tonsils and Mucosal Barriers of the Upper Airways;ISTMB Local Organizing Committee
2.  大木　幹文 ：日本鼻科学会鼻腔通気度標準化委員 国際鼻腔通気度標準化委員 関東耳鼻咽喉科アレルギー懇話会世話人
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
筆
頭		共
著		筆
頭		共
著		 筆
頭		共
著		筆
頭		共
著		 筆
頭		共
著		 演
者		共
演		演
者		共
演		 演
者		共
演
大越俊夫   教授
医学博士
  3 4    2        2
(2) 		 11
(1) 		 
  2
(2) 		 
  
大木幹文   准教授
医学博士
  1 5    1        3
  8
(1) 		 2
(2) 		 
  
  
山口宗太
 1 2            3
(1) 		 8
  
  2
(2) 		 
  
計  5／ 0／  3／ 0／  0／  8
(3)		／  2
(2)		／  0
(0)		／
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和
文		英
文		 和
文		英
文		 国
内		国
際
筆
頭		筆
頭 		筆
頭		筆
頭 		筆
頭		 演
者		演
者 		演
者
大越俊夫   教授
医学博士
  3   2     2
(2) 		 
  
大木幹文   准教授
医学博士
  1   1     3
  2
(2) 		 
山口宗太
 1        3
(1) 		 
  
計  5 0  3 0  0  8
(3)		  2
(2)		  0
(0)
(  )：発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  )：発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. 大越俊夫：  接合菌症（ムコール症）耳鼻咽喉科感染症の完全マスター.  耳鼻咽喉科･頭頸部外科  83 ：147-152 , 2011
2. 大沢光行, 青木文明, 平尾健, 岡本裕美, 日野由嘉里, 加藤文彦, 別所郁夫, 森下正樹, 大越俊夫：  当院におけるネブライザー使用時に際するトラブルの現状.  耳鼻咽喉科展望  53 (補2) ：75-78 , 2010
3. 大久保はるか, 大木幹文, 山口宗太, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 大越俊夫, 今井透：  鼻アレルギーの局所療法・吸入療法　鼻アレルギーに対する点鼻療法と携帯型ネブライザー療法の比較.  耳鼻咽喉科展望  53 (補冊2) ：64-69 , 2010
4. 山口宗太, 大木幹文, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 大越俊夫：  メッシュ式ネブライザーの鼻疾患への有用性の検討.  耳鼻咽喉科展望  53 (補冊２) ：70-74 , 2010
5. 山口宗太, 大木幹文, 石井祥子, 大久保はるか, 櫻井秀一郎, 大越俊夫：  ボタン型リチウム電池による鼻腔異物の１例.  小児耳鼻咽喉科  31 (1) ：7-11 , 2010
6. 石井祥子, 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 櫻井秀一郎, 大越俊夫：  アスピリン投薬中止後にTIAを併発した鼻出血の１症例.  日本鼻科学会会誌  49 (2) ：108-111 , 2010
総説及び解説
1. 大木幹文：  目で見る鼻の検査。音響鼻腔計測法.  ＪＯＨＮＳ  26 (8) ：1105-1111 , 2010
2. 大越俊夫：  花粉症でも楽に過ごす方法.  癌免疫サポート  3 ：20-21 , 2011
3. 大越俊夫：  副鼻腔真菌症.  耳鼻咽喉科･頭頸部外科  82 ：49-437 , 2010
4. 今井透, 大木幹文：  鼻アレルギーの局所療法・吸入療法.  耳鼻咽喉科展望  53 (補冊２) ：46-48 , 2010
5. 大越俊夫：  耳鼻咽喉科のエアロゾル療法.  都耳鼻会報  132 ：42-46 , 2010
■ 著書
1. 大越俊夫：  鼻科学関連用語.  耳鼻咽喉科用語解説集  10-15.  金芳堂,  東京, 2010
2. 大木幹文：  エアロゾル関連用語.  耳鼻咽喉科用語解説集  5.  金芳堂,  東京, 2010
3. 大越俊夫：  鼻・副鼻腔領域の画像診断.  耳鼻咽喉科・頭頸部外科研修ノート  173-176.  診断と治療社,  東京, 2010
■ 学会発表
国内学会
1. 山口宗太, 大木幹文, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 大越俊夫： 睡眠検査からみた鼻治療の必要性の検討.  第５０回大橋耳鼻咽喉科臨床懇話会,  東京,  2011/02
2. 石井祥子, 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 櫻井秀一郎, 大越俊夫： アスピリン投薬中止後ＴＩＡを併発した症例.  第５０回大橋耳鼻咽喉科臨床懇話会,  東京,  2011/02
3. 大久保はるか, 大木幹文, 山口宗太, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 大越俊夫： ５年間で印象に残った症例.  第５０回大橋耳鼻咽喉科臨床懇話会,  東京,  2011/02
4. 櫻井秀一郎, 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 石井祥子, 大越俊夫： 当科における咽頭異物症例から.  第５０回大橋耳鼻咽喉科臨床懇話会,  東京,  2011/02
5. 山口宗太, 大木幹文, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 林哲彦, 大越俊夫： 睡眠検査からみた鼻治療の必要性の検討.  第２２回睡眠呼吸障害研究会耳鼻咽喉科部会,  東京,  2011/02
6. 山口宗太, 大木幹文, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 林哲彦, 大越俊夫： 突発性難聴の治療中に慢性心不全が急性増悪した１例.  第４９回大橋耳鼻咽喉科臨床懇話会,  東京,  2010/11
7. 大越俊夫： 副鼻腔真菌症について.  第４９回大橋耳鼻咽喉科臨床懇話会,  東京,  2010/11
8. 大越俊夫： エアロゾル研究に求められるものーエアロゾル療法のデバイスについてー.  第３４回日本医用エアロゾル研究会,  名古屋,  2010/09
9. 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 林哲彦, 大越俊夫： 鼻アレルギーにおけるエアロゾル療法の有用性の検討.  第３４回日本医用エアロゾル研究会,  名古屋,  2010/09
10. 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 林哲彦, 大越俊夫： 鼻腔通気性の観察からみた睡眠時無呼吸患者における鼻呼吸障害の影響.  第４９回日本鼻科学会,  札幌,  2010/08
11. ◎櫻井秀一郎, 大木幹文†, 山口宗太, 大久保はるか, 石井祥子, 大越俊夫†, 横内幸†, 向井秀樹†： 内視鏡下鼻内手術後の上気道感染を契機としたアナフィラクトイド紫斑病の一例.  第49回日本鼻科学会総会,  札幌,  2010/08
12. 石井祥子, 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 櫻井秀一郎, 大越俊夫： インフルエンザ迅速検査鼻腔用綿棒による鼻腔内異物症例.  第７２回耳鼻咽喉科臨床学会,  倉敷,  2010/06
13. 大木幹文, 山口宗太, 大久保はるか, 石井祥子, 櫻井秀一郎, 林哲彦, 大越俊夫： 鼻用携帯型メッシュ式ネブライザー装置による鼻アレルギー治療.  第１１１回日本耳鼻咽喉科学会総会,  東京,  2010/05
国際学会
1. M Ohki, S Yamaguchi, H Okubo, Y Ishii, S Sakurai, T Ogoshi： Relationship between sleep and posture in patients with obstructive sleep apnea syndrome.  7th international Symposium on Tonsils and Mucosal Barriers of the upper airway,  Asahikawa,  2010/07
2. M Ohki, S Yamaguchi, H Okubo, Y Ishii, S Sakurai, T Ogoshi： The effect of topical steroid via portable mesh nebulizer in patients with allergic rhinitis.  29th International Symposium of infection and allergy of the nose and 23th Europian rhinologic society,  Jeneva, Swiss,  2010/06
  ＊：Corresponding Author
  †：本学研究者