理学部 物理学科 宇宙・素粒子教室
Cosmology and Particle Physics Group
教授:
上村 潔
准教授:
北山 哲
博士研究員:
加用 一者
|
|
■ 概要
研究目的
|
宇宙は微視的スケールから巨視的スケールにわたる多くの物理過程が複雑に絡まり合った物理系である。当研究室では,微視的な素粒子に働く力を統一する理論を構築すること,および巨視的な宇宙の進化と銀河・銀河団などの形成過程を統一して理解すること,を主目標として研究を進めている。また,理論研究に限らず,国内外の望遠鏡や衛星を用いた観測,検出器の開発にも携わっている。
|
超弦理論の研究
|
重力相互作用まで含めた量子場の理論は、宇宙の始まりを解明すると共に時間、空間、そして素粒子の基本的な振る舞いを支配している。この統一理論と考えられているのが超弦理論である。われわれは超弦理論の構造を、おもに代数的な面から研究している。特に超弦理論の持つ超対称性とゲージ対称性、そしていくつかのdualityは、力学系を強く支配しており、理論の構成において本質的な役割を果たしている。
|
非相対論的弦理論の研究
|
弦理論の非相対論的極限は近似として意味を持つと同時に、群論的にも興味深い。我々はすでGreen―Schwarz超弦理論やブレンを、超対称性とカッパ対称性を保ったまま、非相対論的極限に移行する方法を見出している。 平坦背景場での非相対論的超弦理論は、可積分であることは、既に示したが、曲がった背景場での非相対論的超弦理論においても可積分であるかどうか、またそこでカッパ対称性がどのような役割を果たしているかを明らかにする。 非相対論的弦理論はM理論のもうひとつの側面としても考えられる。ここで、デュアリティー、AdS/CFT 対応の成立の可否を明らかにすることにより、弦理論およびM理論の理解を深める。
|
銀河団と宇宙論
|
銀河団は、現在の宇宙における最大スケールの自己重力系であり、その性質には宇宙全体の進化の影響が強く反映されていると考えられる。我々は、解析的手法や大規模数値シミュレーションを用いて、銀河団の形成と進化、ガス密度・温度の非一様性等を記述する理論モデルの構築とその宇宙論的応用に関する研究を進めている。
|
銀河・銀河団の多波長観測
|
X線や可視光、電波など多波長における観測データは、銀河・銀河団の形成や宇宙の進化についての豊かな情報源となる。そこで我々は、国内外の衛星や望遠鏡による観測データの解析および考察を行っている。現在は特に、日本が打ち上げを予定しているX線観測衛星ASTRO-H, 日米欧が協力してチリに建設中のアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)等によって、銀河団の形成過程がどこまで明らかにできるかに焦点をあて、検出器の特性を考慮した評価を進めている。
|
サブミリ波検出器の開発
|
サブミリ波長帯は、検出技術が未発達であるため天文学において未開拓な波長帯である。我々は、国立天文台において進められているサブミリ波検出器の開発に参加し、チリに建設されたASTE望遠鏡に搭載するボロメータの冷却系作成や、現地における試験観測に携わっている。また、さらなる検出精度向上(高感度化、多画素化)を目指して、超伝導素子を用いたサブミリ波カメラの開発も進めている。
|
|
■ Keywords
Cosmology、Relativity, String theories
|
|
■ 当該年度の研究費受入状況
1.
|
科学研究費補助金
研究課題:銀河・銀河団の多波長データに基づいた遠方宇宙の探究
(研究代表者:北山哲)
研究補助金:650000円 (代表)
|
|
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.
|
北山哲
|
:ASTRO-H衛星計画 Science Advisor
|
|
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和文 | 英文 |
和文 | 英文 |
国内 | 国際 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 |
演 者 | 共 演 | 演 者 | 共 演 |
演 者 | 共 演 |
上村 潔
教授
理学博士
|
| | 1 | 4 |
| | | |
| |
|
|
|
1
|
|
|
北山 哲
准教授
博士(理学)
|
| | | 2 |
| | | |
| |
1
|
2
|
1
(1)
|
|
2
(2)
|
|
加用一者
博士(理学)
|
| | | 3 |
| | | |
| |
1
|
2
|
1
|
|
|
|
計 |
0 | / | 1 | / |
0 | / | 0 | / |
0 | / |
2 (0) | / |
2 (1) | / |
2 (2) | / |
|
研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和 文 | 英 文 |
和 文 | 英 文 |
国 内 | 国 際 |
筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 |
演 者 | 演 者
| 演 者 |
上村 潔
教授
理学博士
|
| 1 |
| |
|
|
|
|
北山 哲
准教授
博士(理学)
|
| |
| |
|
1
|
1
(1)
|
2
(2)
|
加用一者
博士(理学)
|
| |
| |
|
1
|
1
|
|
計 |
0 | 1 |
0 | 0 |
0 |
2 (0) |
2 (1) |
2 (2) |
|
( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
|
( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
|
|
■ 刊行論文
原著
|
1.
|
Yong-Seon Song, Cristiano G. Sabiu, Issha Kayo, Robert C. Nichol:
Measuring coherent motions in the universe.
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
05
:020
, 2011
|
2.
|
R.Casalbuoni, J.Gomis:
SuperParticle realization of twisted N=2 SUSY algebra.
Journal of High Energy Physics
1101
:098
, 2011
|
3.
|
Jiayu Tang, Issha Kayo, Masahiro Takada:
Likelihood reconstruction method of real-space density and velocity power spectra from a redshift galaxy survey.
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
416
(2)
:2291-2310
, 2011
|
4.
|
Jose A de Azcarraga, Jerzy Lukierski:
Generalized cosmological term from Maxwell symmetries.
Physical Review D
83
:124036
, 2011
|
5.
|
R.Casalbuoni, J.Gomis:
Space-time transformations of the Born-Infeld gauge field of a D-brane.
Physical Review D
84
:027901
, 2011
|
6.
|
J.Gomis:
Schrodinger Equations for Higher Order Non-relativistic Particles and
N-Galilean Conformal Symmetry.
Physical Review D
85
:045023
, 2012
|
7.
|
Jerzy Lukierski:
Supersymmetrization Schemes of D=4 Maxwell Algebra.
Physics Letters B
707
:292-297
, 2012
|
8.
|
Cristian E. Rusu, et al.:
SDSS J133401.39+331534.3: A New Subarcsecond Gravitationally Lensed Quasar.
The Astrophysical Journal
738
(1)
:30
, 2011
|
9.
|
T. Suzuki, H. Kaneda, T. Onaka, T. Kitayama:
Far-infrared Emission from the Intergalactic Medium in Stephan's Quintet Revealed by AKARI.
The Astrophysical Journal Letters
731
(1)
:L12
, 2011
|
|
■ 学会発表
国内学会
|
1.
|
◎加用一者, 高田昌広:
弱い重力レンズ場バイスペクトルへのHalo Sample Varianceの影響.
日本天文学会2012年春季年会,
龍谷大学,
2012/03
|
2.
|
◎滝沢元和、中澤知洋、北山哲:
ASTRO-Hで探る衝突銀河団の動的な姿と高エネルギー現象.
日本天文学会2012年春季年会,
龍谷大学,
2012/03
|
3.
|
◎柏木俊哉, 須藤靖, 樽家篤史, 矢幡和浩, 加用一者, 西道啓博:
遠方銀河の遠赤外放射に起因するSFDダストマップの系統誤差.
日本天文学会2012年春季年会,
龍谷大学,
2012/03
|
4.
|
◎北山哲:
ALMAとASTRO-Hの連携で探る宇宙の構造形成.
日本天文学会2012年春季年会,
龍谷大学,
2012/03
|
5.
|
◎柏木俊哉, 須藤靖, 樽家篤史, 矢幡和浩, 加用一者:
SDSSカタログを用いた銀河系ダスト減光マップの検証とその系統誤差起源の追究.
日本天文学会2011年秋季年会,
鹿児島大学,
2011/09
|
6.
|
◎鈴木仁研、金田英宏、尾中敬、北山哲:
「あかり」が捉えたStephan's Quintetの銀河間空間からの遠赤外線放射.
日本天文学会2011年秋季年会,
鹿児島大学,
2011/09
|
7.
|
◎北山哲:
多波長で探る銀河団における高エネルギー現象.
第11回高エネルギー宇宙物理連絡会研究会,
早稲田大学,
2011/08
|
国際学会
|
1.
|
◎Jerzy Lukierski, Jose A de Azcarraga, Kiyoshi Kamimura:
Maxwell symmetries and some applications.
'3rd Galileo-Xu Guangqi meeting',
Beijing,
2011/10
|
2.
|
◎Tetsu Kitayama:
High angular resolution SZ study of galaxy clusters.
Large Aperture Millimeter/Submillimeter Telescopes in the ALMA Era,
Osaka, Japan,
2011/09
|
3.
|
◎Issha Kayo:
Wide Angle Survey.
WKYC2011,
Seoul, Korea,
2011/06
|
4.
|
◎Tetsu Kitayama:
The Sunyaev-Zeldovich effect studies with ALMA.
New era for SZ science,
Santander, Spain,
2011/06
|
|