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 理学部 物理学科 量子エレクトロニクス教室
 Quantum Electronics Laboratory

教授:
  金 衛国
准教授:
  箕輪 達哉
■ 概要
量子エレクトロニクスは原子,分子,イオン等と電磁波との相互作用を利用するエレクトロニクスで,レーザーを中心に非常に広範囲の分野が含まれている。当教室では「レーザーによる分光計測とその応用」に重点を置いて研究を進めている。現在の主要な研究課題は下記の通りである。
1.高分解能原子線半導体レーザー分光による原子のゼーマン・シュタルク効果の研究
 本研究室では,現在,高分解能原子線半導体レーザー分光装置を開発し,高分解能レーザー分光によるゼーマン・シュタルク効果の研究を行っている。今年度は, Ba原子の高励起状態におけるゼーマン効果を調べた。電気放電を用いてBa原子を基底状態6s2 1S0から準安定状態6s5d 3D2に占有させ,6s5d 3D2―5d6p 3F3(728 nm)遷移の高分解能レーザー分光を行った。強さ28 Gから122 Gまでの磁場をかけ,同遷移のゼーマンスペクトルを詳しく観測した。解析により上準位5d6p 3F3g因子を初めて決定した。
2.レーザーレーダーやデジタルカメラを用いたリモートセンシングの研究
 地球温暖化やオゾン層の破壊,大気汚染などの問題を解決するためには,リモートセンシングの観測技術の開発が必要不可欠である。本研究室では,現在,レーザーレーダーやデジタルカメラを用いたリモートセンシングの研究を実施している。今年度は,薄暮時に使用できる測定装置の改良を行った。メカニカルシャッターを導入し、レーザーと回転速さ40回/秒の回転鏡を同期させ、背景光を抑えて、薄暮時に実験をした。離れた対象物によるレーザーの散乱光を撮影することに成功し、距離と散乱光強度の関係を調べた。
3.ガラスキャピラリーを用いたマイクロ光ビームの開発研究
 単一細胞への照射や操作にはマイクロビームが不可欠である。ガラスキャピラリーを用いたマイクロ光ビームには照射位置の同定がしやすいこと及び好ましい任意なサイズのビームが生成できるという特徴がある。本研究室では,現在,ガラスキャピラリーを用いたマイクロ光ビーム生成の研究を行っている。今年度は,まず,出口径23-106μmのキャピラリーを作製,透過率を測定した。キャピラリーの形状を測定し,キャピラリーのモデル化によって透過率を計算し,実験値をほぼ再現した。計算では,透過率のキャピラリー形状(テーパー角)や入射光パラメータへの依存性を調べた。
4.植物の発芽・成長への電流の作用に関する研究
 現在,植物の発芽やその後の成長に電流がどのような影響を与えるか,植物に電流の作用に関する研究を始めている。小松菜種子を使用して培地に数―数十mAの電流を1週間流し続け,種子の発芽率と成長率を調べた。その結果,発芽・成長率が通常状態に比べ,交流電流のときに高くなり,直流電流のときに低下することが分かった。
5.質量分離共鳴イオン化分光
 本研究室の主な研究課題として,共鳴イオン化分光法により原子の同位体を分離し,同位体シフトや励起状態の寿命の測定を行っている。今年度はパルス発生装置を改良し、二波長三光子共鳴イオン化を用いてTi原子の3d3(4F)4p状態の寿命を測定した。その結果、実験データが単一指数関数で近似でき、全角運動量Jごとに寿命が決定された。
■ Keywords
高分解能レーザー分光,ゼーマン・シュタルク効果,スペクトル,リモートセンシング,レーザーレーダー,デジタルカメラ,ガラスキャピラリー,マイクロ光ビーム,光の透過率,状態の寿命,植物の発芽・成長
■ 教授・准教授・講師の公的役職
1.  金 衛国 :核融合科学研究所共同研究員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















金 衛国   教授
理学博士
            1  
 2
 
 
 
 
箕輪 達哉   准教授
理学博士
            1  
 2
 
 
 
 
 0 0  0 0  0  0
(0)
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(0)
 0
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研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














金 衛国   教授
理学博士
         
 
 
箕輪 達哉   准教授
理学博士
         
 
 
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(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
その他
1. Katoh K, Jin WG, Minowa T, Ikeda T:  Propagation of visible light through tapered glass capillaries for microbeams.  Journal of Physics: Conference Series  488 :142009 , 2014
■ 学会発表
国内学会
1. 伊藤有矢,金衛国,川村崇,箕輪達哉,池田時浩: マイクロ光ビームの生成に向けたガラスキャピラリーにおける光の透過特性:透過率のシミュレーション.  日本物理学会第70回年次大会,  東京,  2015/03
2. 中嶋善晶,美濃島薫: 光コム干渉計におけるファイバノイズキャンセリング手法を用いた光路長安定化.  2014年 第75回応用物理学会秋季学術講演会,  北海道大学,  2014/09
3. 伊藤有矢,金衛国,加藤恭平,吹屋快羽,北崎俊光,川村崇,箕輪達哉,池田時浩: マイクロ光ビームの生成に向けたガラスキャピラリーにおける光の透過特性:回折縞.  日本物理学会2014年秋季大会,  名古屋,  2014/09
4. 中嶋善晶: 狭線幅光コムの開発と光シンセサイザの研究.  日本学術会議 公開シンポジウム 第4回先端フォトニクスシンポジウム,    2014/08
国際学会
1. Shinozaki M, Mizota M: Range shifter dependence of the field-size effect in the depth dose distribution of carbon irradiation.  The 7th Korea-Japan Joint Meeting on Medical Physics (KJMP2014),  Busan, Korea,  2014/09
その他
1. 中嶋善晶,美濃島薫: ファイバ型光コム干渉計による光路長走査範囲の拡大.  第62回応用物理学界春季学術講演会,    2015/03
2. 中嶋善晶,稲場肇,美濃島薫: 高速制御ファイバコムと応用技術.  光・量子デバイス研究会,    2015/03
3. 中嶋善晶,美濃島薫: 周波数安定化手法を適用した光コム干渉計の開発.  レーザー学会,    2015/01
4. 中嶋善晶,美濃島薫: 光コム干渉計におけるファイバノイズキャンセリング手法の研究.  東北大学電気通信研究所協同プロジェクト研究会,    2014/12
5. 中嶋善晶,美濃島薫: ファイバノイズキャンセル手法を適用した光コム干渉計の開発.  OPJ,    2014/11
6. 安田正美,稲場肇,河野託也,田邊健彦,中嶋善晶,保坂一元,赤松大輔,大苗敦,鈴山智也,雨宮正樹,洪鋒雷: Improved Absolute Frequency Measurement of the 171Yb Optical Lattice Clock towards a Candidate for the Redefinition ofthe Second.  2014年 第75回応用物理学会秋季学術講演会,    2014/09
  :Corresponding Author
  :本学研究者