理学部 化学科 物性化学教室
Material Research Laboratory
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■ 概要
講座概要
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新規分子集合体系の設計と物性開拓をテーマに,炭素ナノ材料を素材とした分子集合体としての単結晶あるいは非晶質の新規物質合成とそれらが示す諸物性を中心に研究を進めている.複合的分子集合体を構築し,その物性を探求する研究を中心に,伝導物性のほか磁性や非線形光学特性など新たな物性の探求に関しても検討を進めていきたいと考えている。
1)フラーレンアニオンラジカル塩単結晶の育成と物性:アルカリ金属ドープC60による超伝導性の発現や,[TDAE]C60の強磁性的な物性発現のキーとなるフラーレンアニオンラジカルの物性解明のために,嵩高いカウンターカチオンを用いることにより,電解結晶成長法や液相拡散法によりフラーレンアニオンラジカルの単結晶化を試み,C60アニオンラジカル塩を初めて単離し結晶構造を明らかにした。トリフェニルメタン系カチオン性色素による半導体的な挙動を示す C60アニオンラジカル塩アニオンラジカル塩単結晶が得られている。
2)有機薄膜-電極界面の制御による高応答性光機能素子の開発
有機固体薄膜を用いた光機能素子の光―電流変換効率や時間的応答性を飛躍的に向上するための基本的条件を明らかにするために、電極-有機膜界面の果たす役割に焦点を絞り、高応答性を実現するための界面の化学的制御に関する研究を行った。機能性ナノ超薄膜を介する効率的な電子移動を実現するために、金コロイドとの相互作用を意図して、二次元ないし三次元のπ電子材料として、フラーレン、ポルフィリン、オリゴチオフェン、ナノチューブの新たな官能基化を行い、有機薄膜系素子への応用展開を目指す。
3)2層カーボンナノチューブなどの新規ナノ物質の開発とその選択的生成を目指すとともに、気相移動度法など新規なナノ物質の測定手法の開発をおこなう。
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■ Keywords
1) フラーレン、オリゴチオフェン、ポルフィリン、有機薄膜、有機太陽電池 2)ナノ炭素物質, フラーレン, カーボンナノチューブ, 2層カーボンナノチューブ, 気相移動度測定, クラスター, 質量分析
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■ 当該年度の研究費受入状況
1.
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科研費基盤研究(C)
(研究課題番号:23550211)
研究課題:フラーライド半導体結晶による分子素子の界面制御
(研究代表者:森山広思)
研究補助金:3100000円 (代表)
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2.
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科学研究費補助金 基盤(B)
(研究課題番号:23310066)
研究課題:長時間トラップ型気相移動度測定法の開発とナノ物質が関与する化学反応の追跡
(研究代表者:菅井俊樹)
研究補助金:6900000円 (代表)
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3.
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独立行政法人科学技術振興機構 産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】
研究課題:IMSによる土壌由来カビ検出データベースの構築
(研究分担者:菅井俊樹)
研究補助金:1500000円 (分担)
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4.
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分子科学研究所 協力研究
研究課題:バッキーボウルとその誘導体の構造と機能の研究
(研究代表者:菅井俊樹)
研究補助金:100000円 (代表)
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その他
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1.
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韓日有機薄膜太陽電池開発
研究課題:Development of Nanotechnology-based Oganic Solar Cell Materials for Green Environment
(研究代表者:森山広思)
研究補助金:5706510円 (代表)
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■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.
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菅井俊樹
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:質量分析学会イオン反応研究会幹事
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2.
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菅井俊樹
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:分子科学会編集委員
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■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和文 | 英文 |
和文 | 英文 |
国内 | 国際 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 | 筆 頭 | 共 著 |
筆 頭 | 共 著 |
演 者 | 共 演 | 演 者 | 共 演 |
演 者 | 共 演 |
森山 廣思
教授
理学博士
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| | | 2 |
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2
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12
(5)
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1
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菅井 俊樹
准教授
博士(理学)
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1 | | | 1 |
| 2 | | 1 |
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4
(3)
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4
(1)
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計 |
1 | / | 0 | / |
0 | / | 0 | / |
0 | / |
6 (3) | / |
0 (0) | / |
0 (0) | / |
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研究者名 |
刊行論文 |
著書 |
その他 |
学会発表 |
その他 発表 |
和 文 | 英 文 |
和 文 | 英 文 |
国 内 | 国 際 |
筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 | 筆 頭
| 筆 頭 |
演 者 | 演 者
| 演 者 |
森山 廣思
教授
理学博士
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|
2
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菅井 俊樹
准教授
博士(理学)
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1 | |
| |
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4
(3)
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計 |
1 | 0 |
0 | 0 |
0 |
6 (3) |
0 (0) |
0 (0) |
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( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
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( ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
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■ 刊行論文
原著
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1.
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Takafumi Miyazaki, Ryohei Sumii, Hisashi Umemoto, Haruya Okimoto, Yasuhiro Ito,Toshiki Sugai, Hisanori Shinohara, Takeyuki Zaima, Hajime Yagi, Shojun Hino:
Ultraviolet photoelectron spectra of Er2@C82(I), Er2@C82(III), Er2C2@C82(I) and Er2C2@C82(III).
Chemical Physics
397
:87-91
, 2012
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2.
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T. Harada, R. Kuroda, H. Moriyama:
Solid-state circularly polarized luminescence measurements: Theoretical analysis.
Chemical Physics Letters
530
:126-131
, 2012
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総説及び解説
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1.
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菅井俊樹:
イオンモビリティと質量分析.
TMS研究
2011
(1)
:1-17
, 2011
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2.
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Q. Wang, H. Moriyama:
Carbon Nanotube-Based Thin Films: Synthesis and Properties.
Carbon Nanotubes – Synthesis, Characterization, Applications
:487-514
, 2011
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■ 著書
1.
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丸山茂夫, 林卓哉, 安藤義則, 片浦弘道, 秋田成司, 安藤恒也, 山本貴博, 中村新男, 藤正督, 水谷孝, 田原善夫, 宮崎久生, 神田晶申, 千足昇平, 金隆岩, 滝川浩史, 坂東俊治, 柳澤隆, 中西毅, 斎藤晋, 篠原久典, 喜多隆, 粟野祐二, 薄井雄企, 日浦英文, 白石誠司, 本間芳和, 斎藤毅, 菅井俊樹, 齋藤弥八, 竹内健司, 中嶋直敏, 河合孝純, 松田和之, 金龍中, 松本和彦, 青木薫, 黎松林, 佐々木健一, 高木大輔, 湯村守雄, 阿知波洋次, 湯田坂雅子, 竹田精治, 平兮康彦, 宮本良之, 真庭豊, 張仁榮, 末廣純也, 羽二生久夫, 陽完治, 藤井慎太郎, 野田優, 畠山力三, 楠美智子, 中村真紀, 吉田秀人, 石橋幸治, 岡田晋, 岡崎俊也, 朴基哲, 山下真司, 鶴岡秀志, 村上睦明, 福島昭治, 吾郷浩樹, 加藤俊顕, 小塩明, 張民芳, 劉崢, 藤原明比古, 安食博志, 北浦良, 遠藤守信, 金子克美, 齋藤直人, 長谷川雅考, 市原学, 村松寛之, 川原田洋, 藤ヶ谷剛彦, 元島栖二, 末永和知, 中山喜萬, 齋藤理一郎, 小海文夫, 川崎晋司, 藤森利彦, 塚越一仁, 越野 幹人:
カーボンナノチューブ・グラフェンハンドブック
53.
コロナ社,
日本,
2011
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2.
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早川滋雄, 河内宣之, 鵜飼正敏, 田中健一郎, 小谷野猪之助, 和田真一, 菅井俊樹, 平岡賢三, 長尾敬介:
質量分析の源流―基礎から学ぶマススペクトロメトリー
87-132.
国際文献印刷社,
東京都新宿区,
2011
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3.
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B.A.Cruden, K. Sasaki, J. Ropcke, A.Rousseau, P.B.Davies, J.O.Hornkohl, L.Nemes, C.Parigger, N.A.Savastenko, N.V.Tarasenko, S.Raikov, L.Boufendi, R.K.Thareja, A.K.Sharma, V.Nevrly, M.Strizik, P.Bitala, Z.Zelinger, T.Sugai, A.M.Ito, H.Nakamura, V.Parasuk, M.Andrzejak, S.Irle, G.Zheng, Z.Wang, K.Morokuma, J.F.Espinal, T.N.Truong, F.Mondragon:
SPECTROSCOPY, DYNAMICS AND MOLECULAR THEORY OF CARBON PLASMAS AND VAPORS
283-314.
World Scientific,
Hackensack, NJ 07601, USA,
2011
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■ 学会発表
国内学会
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1.
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◎髙梨 数正†, 藤井孝太郎, 植草秀裕, 吉橋泰生†, 米持悦生†, 寺田勝英†, 森山広思†:
塩・共結晶によるエノキサシンの溶解性改善.
日本薬学会第132年会,
札幌,
2012/03
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2.
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◎原田拓治†,川上亘作,吉橋泰生†,米持悦生†,寺田勝英†,森山広思†:
温度変調型 DSC を利用した熱容量測定法の確立と非晶質原薬のフラジリティ評価.
日本薬学会第132年会,
札幌,
2012/03
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3.
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◎藤沼健太†, 吉橋泰生†, 米持悦生†, 寺田勝英†, 森山広思†:
打錠用杵への粉体付着現象におよぼす静電的相互作用の影響.
日本薬学会第132年会,
札幌,
2012/03
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4.
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◎栗原 舞, 原田 拓典, 黒田 玲子, 森山 広思:
キラルな自己会合凝集体を形成するpseudoisocyanineの蛍光円偏光(CPL)測定.
日本化学会第92春季年会,
横浜,
2012/03
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5.
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◎小林弘和, 千足昇平, 丸山茂夫, 菅井俊樹:
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR)によるクラスターの研究.
第92回日本化学会春季年会,
神奈川県、横浜市,
2012/03
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6.
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◎菅井俊樹, 澤西慶彦, 篠崎祐志, 小坂祥:
大型イオントラップ気相移動度測定装置の開発.
第92回日本化学会春季年会,
神奈川県、横浜市,
2012/03
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7.
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◎小平 晃・原田 拓典・森山 広思・佐原 豪・由井 樹人・石谷 治:
セキシチオフェン/Zr(IV)ハイブリッド薄膜の作製と光機能物性.
日本化学会第92春季年会,
横浜,
2012/03
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8.
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◎油井 未紀・原田 拓典・朴 鐘震・森山 広思:
ホール輸送高効率化を目指したポルフィリン自己組織化膜の創製と物性評価.
日本化学会第92春季年会,
横浜,
2012/03
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9.
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小坂祥, 澤西慶彦, 篠崎祐志, ◎菅井俊樹:
レーザー脱離イオン化源を備えた多段イオントラップ気相移動度測定システムの開発とポリスチレンビーズの構造測定.
第42回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム,
東京都、文京区,
2012/03
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10.
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◎小林弘和, 千足昇平, 丸山茂夫, 菅井俊樹:
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器を用いたクラスターの成長の観察.
第42回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム,
東京都、文京区,
2012/03
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11.
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◎竹下 聡人, 朴 鐘震, 森山 広思:
有機薄膜太陽電池におけるフラーレンC60 n型有機半導体HPCMの合成および評価.
日本化学会第92春季年会,
横浜,
2012/02
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12.
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◎藤沼健太†, 森山広思†, 吉橋泰生†, 米持悦生†, 寺田勝英†:
処方紛体の打錠用杵への付着性と相互作用パラメータの検討.
第28回製剤と粒子設計シンポジウム,
大阪,
2011/10
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13.
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◎八巻琢哉†, 加賀公†, 岩佐澄子†, 吉橋泰生†, 米持悦生†, 真坂亙†, 寺田勝英†, 森山広思†:
ウリナスタチン膣坐剤の最適製法及び安定性の評価.
第55回日本薬学会関東支部大会,
千葉,
2011/10
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14.
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◎森山広思, 中村哲也, 森 初果:
分子性フラ-ライド単結晶が示す有機半導体的挙動.
第5回分子科学討論会,
札幌,
2011/09
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15.
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澤西慶彦, 小坂祥, 篠崎祐志, ◎菅井俊樹:
大型イオントラップ気相移動度測定装置の開発.
第5回分子科学総合討論会,
札幌,
2011/09
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16.
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◎櫟 彰子, 菅井俊樹, 木村知子, 田中春菜, 金子幸代, 木内正人, 鈴木孝仁, 竹内孝江:
イオンモビリティースペクトロメトリーと質量分析による土壌由来カビAspergillus nidulansの揮発性代謝物の同定.
第59回日本質量分析学会 総合討論会,
大阪府吹田市,
2011/09
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17.
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◎小平 晃, 高砂 亨, 原田 拓典, 朴 鐘震, 森山 広思:
セキシチオフェン誘導体を用いた自己組織化膜の物性.
2011年光化学討論会,
宮崎市,
2011/09
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18.
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◎油井 未紀・原田 拓典・朴 鐘震・森山 広思:
ポルフィリン誘導体による有機デバイスのホール輸送層の作製および物性評価.
2011年光化学討論会,
宮崎,
2011/09
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19.
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澤西慶彦, 篠崎祐志, ◎菅井俊樹:
粒子の電荷および半径のイオントラップ移動度法と空気中の自由落下を用いた評価.
第41回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム,
東京都八王子市,
2011/09
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20.
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◎森山広思, 阿部 海, 小幡信允, 三浦 匠悟, 朴 鐘震, 呉 載範, 李 海成:
有機薄膜太陽電池用PCBM類縁体の合成と性質.
第41回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会,
八王子,
2011/09
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21.
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◎菅井俊樹, 澤西慶彦, 篠崎祐志:
イオントラップ気相移動度測定装置の開発と荷電粒子の長時間構造測定」.
ナノ学会 第九回大会,
札幌市,
2011/06
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22.
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◎八巻琢哉†,加賀公†,岩佐澄子†,吉橋泰生†,米持悦生†,真坂亙†,寺田勝英†,森山広思†:
ウリナスタチン膣坐剤の調製方法及び安定性の確立.
日本薬剤学会第26年会,
東京,
2011/05
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国際学会
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1.
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◎Shogo Miura, Jaebuem Oh, Misun Ryu, Haeseong Lee, Jin Jang,
Chyongjin Pac, and Hiroshi Moriyama:
A structural effect in novel electron acceptors of C60 derivatives with
poly(3-hexylthiophene) for organic photovoltaic applications.
The 6th Aceanian Conference on Dye-sensitized and Organic Solar Cells - DSC-OPV6,
別府,
2011/10
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