<<< 前 2009年度 | 2010年度 | 2011年度
 理学部 化学科 構造有機化学教室
 Structural Organic Chemistry Laboratory

教授:
  幅田 揚一
講師:
  桑原 俊介
■ 概要
食虫植物型分子の動的挙動を利用した機能物質の開発
銀イオンと錯体を形成すると芳香環側鎖が銀イオンを包むように構造が変化する食虫植物型分子(銀食い分子)について研究している.この挙動を応用して,錯体を形成するとキラリティーを増大する分子,金属センサーになる分子,二次的包接部位を形成する分子の開発を行っている.食虫植物型分子を「超分子集合体」を構築するための部品として利用する研究も行っている.
直鎖状配位子による超分子集合体の構築
ピリジン配位子を合成し,新しい超分子集合体をつくる研究を行っている.その一例として,ベンゼンをスペーサーとして持つ化合物とCu(hfac)2の2:3錯体は超分子の空孔内にテトラヒドロフランやクロロホルムを二分子包接することを見出している.
新規分子マシンの開発と応用
分子マシンとは, ナノスケールの分子構造体に一定の機械的運動をさせ, その動作により意図した仕事をさせるシステムであり, ナノテクノロジーの究極の目標と考えられている. 本研究では, 分子マシンの構成部品の一つであり, 光で回転する「分子ローター」の新規誘導体の開発を行っている. また, 分子ローターを生体高分子である DNA に結合させ, その高次構造を光照射によって自由に制御すること目指している.
キラル化合物の合成, 絶対配置決定法の開発
近年, 医薬品, 農薬, 食品, さらには機能性材料など, あらゆる分野でキラル化合物を扱うことの重要性が認識されている. 従って, キラル化合物をどのように効率的に合成するか, どのようにその光学純度, 絶対配置を決定するかということは重要な課題である. 本研究では, キラルアミン類, アルコール類の合成法の開発や, NMR, CD を用いた新規絶対配置決定法の開発を行っている.
■ Keywords
超分子化学, 分子認識, 自己組織化, キラル増幅, 分子マシン, 分子ローター
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  科学研究費補助金, 基盤研究(C)
 研究課題:銀食い分子の高機能化  (研究代表者:幅田揚一)
 研究補助金:1100000円  (代表)
2.  科学研究費補助金, 若手研究(B)
 研究課題:DNA 結合性分子モーターの開発とそのらせん構造制御  (研究代表者:桑原俊介)
 研究補助金:500000円  (代表)
3.  双葉電子記念財団 自然科学研究助成
 研究課題:CD励起子法によるキラルアミン類の新規絶対配置決定法の開発  (研究代表者:桑原俊介)
 研究補助金:1000000円  (代表)
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  幅田揚一 :社団法人私立大学情報教育協会化学教育FD/IT活用研究委員会委員
2.  桑原俊介 :日本化学会, 第92春季年会プログラム編成委員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















幅田 揚一   教授
理学博士
    3          
 19
(1)
 
 
 
 
桑原 俊介   講師
博士(理学)
    2          1
 24
(1)
 
 
 
 
 0 0  0 0  0  1
(0)
 0
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














幅田 揚一   教授
理学博士
         
 
 
桑原 俊介   講師
博士(理学)
         1
 
 
 0 0  0 0  0  1
(0)
 0
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Jung S-H, Han S-H, Habata Y, Kang C, Kim J-S:  An iminocoumarin-Cu(II) ensemble-based chemodosimeter toward thiols.  Chemical communications (Cambridge, England)  47 (18) :5142-5144 , 2011
2. Jung D, Chamura R, HabataY, Lee S-S:  Extra Large Macrocycle: 40-Membered Macrocycle via 2:2 Cyclization and Its Dimercury(II) Complex.  Inorganic chemistry  50 (17) :8392-8396 , 2011
3. Kawarada H, Yoshikawa Y, Yasui H, Kuwahara S, Habata Y, Saito R:  Synthesis and In Vitro Insulin-Mimetic Activities of Zinc(II) Complexes of Ethyl 2,5-Dihydro-4-hydroxy-5-oxo-1H-pyrrole-3-carboxylates.  Metallomics  3 (7) :675-679 , 2011
4. Ikeda M, Matsu-ura A, Kuwahara S, Lee S-S, Habata Y:  Hg2+-Sensing System Based on Structures of Complexes.  Organic letters  14 (6) :1564-1567 , 2012
その他
1. Jung, Hyo Sung Han, Ji Hye Habata, Yoichi Kang, Chulhun Kim, Jong Seung:  An iminocoumarin-Cu(II) ensemble-based chemodosimeter toward thiols.  Chem. Commun. (Cambridge, U. K.)  47 (18) :5142-5144 , 2011
2. Jung, Daram Chamura, Rie Habata, Yoichi Lee, Shim Sung:  Extra Large Macrocycle: 40-Membered Macrocycle via 2:2 Cyclization and Its Dimercury(II) Complex.  Inorg. Chem.  50 (17) :8392-8396 , 2011
3. Shinoda, Satoshi Noguchi, Takashi Ikeda, Mari Habata, Yoichi Tsukube, Hiroshi:  Luminescent double-decker type guanine octets with trivalent lanthanide cations: in situ self-assembling and stability evaluation in homogeneous organic media.  J. Inclusion Phenom. Macrocyclic Chem.  71 (3-4) :523-527 , 2011
4. Kawarada, Hikaru Yoshikawa, Yutaka Yasui, Hiroyuki Kuwahara, Shunsuke Habata, Yoichi Saito, Ryota:  Synthesis and in vitro insulin-mimetic activities of zinc(II) complexes of ethyl 2,5-dihydro-4-hydroxy-5-oxo-1H-pyrrole-3-carboxylates.  Metallomics  3 (7) :675-679 , 2011
■ 学会発表
国内学会
1. ◎山崎智也,桑原俊介,幅田揚一: 側鎖に配位部位を導入した光学活性銀食い分子の錯形成挙動.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
2. ◎谷口彩,平岡孝夫,桑原俊介,幅田揚一: 側鎖に発色団を持つダブルアームドサイクレンの金属特異的蛍光スペクトル変化.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
3. ◎池田茉莉,桑原俊介,幅田揚一: Ag+とHg2+イオンを選択的に検出できるデュアルモードセンサー分子の開発.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
4. ◎中村将也,山口昂,幅田揚一,桑原俊介: CD励起子キラリティー法によるキラルアミン類の絶対配置決定.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
5. ◎中野祐樹,幅田揚一 ,桑原俊介: 光駆動クラウンローターの合成とその金属イオン錯体の結晶構造.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
6. ◎田嵜信由,幅田揚一,桑原俊介: 2-メントキシ安息香酸:芳香族アルコールの光学分割・絶対配置決定試薬.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
7. ◎二瓶祐太郎,桑原俊介,幅田揚一: 円筒状クリプタンド-銀錯体のアロステリック特性.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
8. ◎野口敏明, 幅田揚一, 桑原俊介: DNAの構造制御を目指した光駆動型分子モーターの合成研究.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
9. 池田茉莉,◎柳堀有希乃,皆川真里江,桑原俊介,幅田揚一: 水銀イオンに対して特異的なスペクトル変化を示すローザミン含有配位子の合成.  日本化学会第92春季年会,  横浜,  2012/03
10. ◎池田茉莉, 茶村理絵, 桑原俊介, 幅田揚一: 擬ロタキサン形成を利用したキラリティー転写システムの開発.  第12回リングチューブ超分子シンポジウム,  大阪,  2011/11
11. ◎二瓶祐太郎, 桑原俊介, 幅田揚一: アロステリック特性を有する円筒状クリプタンドの合成と銀錯体の構造.  第12回リングチューブ超分子シンポジウム,  大阪,  2011/11
12. ◎田崎信由, 幅田 揚一, 桑原俊介: 新規2-メントキシ安息香酸:芳香族アルコールの光学分割―絶対配置決定用試薬.  第22回基礎有機化学討論会,  つくば,  2011/09
13. ◎二瓶祐太郎, 桑原俊介, 幅田揚一: 2個の銀食い分子を導入した円筒状クリプタンドの合成:架橋鎖長に依存するアロステリック特性.  第22回基礎有機化学討論会,  つくば,  2011/09
14. ◎桶田陽子, 桑原俊介, 幅田揚一: 水溶性銀食い分子の合成.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
15. ◎山崎智也, 桑原俊介, 幅田揚一: 側鎖に配位部位を導入した光学活性銀食い分子の銀錯体の構造.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
16. ◎谷口 彩, 菊川 薫, 桑原俊介, 幅田揚一: 側鎖にピレニルベンジル基を導入した銀食い分子の合成.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
17. ◎池田茉莉, 桑原俊介, 李心星, 幅田揚一: キラルなピリジン配位子とCDスペクトルを用いた水銀イオンセンシング.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
18. ◎中村将也, 山口 昂, 幅田揚一, 桑原俊介: 軸性キラリティーを利用した第一級キラルアミン類の絶対配置決定.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
19. ◎中野祐樹, 幅田揚一, 桑原俊介: 光応答性クラウンローターの合成.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
20. ◎二瓶祐太郎, 桑原俊介, 幅田揚一: アロステリック特性を示す円筒状クリプタンドの合成.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
21. 平岡鉄也, ◎桑原俊介, 幅田揚一: 配位高分子型擬ポリロタキサンの可逆的形成.  日本化学会第5回関東支部大会,  東京,  2011/08
22. ◎谷口彩, 菊川 薫, 桑原俊介, 幅田揚一: 側鎖に発色団を導入した銀食い分子の合成と蛍光特性.  第23 回配位化合物の光化学討論会,  上田,  2011/08
23. ◎桑原俊介, 茶村理絵, 幅田揚一: 擬ロタキサンによるキラリティー転写.  第7回ホスト・ゲスト化学シンポジウム,  東広島,  2011/05
24. ◎池田茉莉, 桑原俊介, 李心星, 幅田揚一: キラルなピリジン含有配位子によるCDスペクトルを用いた水銀センシング.  第7回ホスト・ゲスト化学シンポジウム,  東広島,  2011/05
25. 幅田揚一, ◎山﨑智也, 桑原俊介: 側鎖に配位部位を導入した光学活性銀食い分子の合成.  第7回ホスト・ゲスト化学シンポジウム,  東広島,  2011/05
  :Corresponding Author
  :本学研究者