2008年度
 薬学部 医療薬学教育センター/薬事法学研究室
 Department of Pharmaceutical Law and Related Laws

准教授:
  秋本 義雄
■ 概要
概要
薬剤師の責務は医薬品の使用における治療効果の確保と患者の安全確保であり、医療現場における期待は増大しつつある。それは、倫理的にも法的にも薬剤師の責任が増大することを意味している。過去において、医師または看護師に対して責任が問われていた医療過誤裁判には、薬剤師の関与により事故を未然に防げたと思われる事例が数多くある。これらの裁判例を司法薬学的観点から考察し、薬剤師のあるべき業務および責務を明らかにする研究を行っている。また、セルフメディケーションの分野においても、他の医療従事者にはない知識及び技能を持つ薬剤師の職能を活かすための方策及び果たすべき法的・倫理的責任に関する研究を行っている。また、薬剤師のアイデンティティー確立の一環として、薬剤師は薬に関するリスクマネージャーとして最適な存在であり、そのために必要な考え方及び行うべき業務等についても研究している。さらに薬局及び医薬品販売業の薬剤師の果たすべき社会的役割について現場の薬剤師に対して教育を行っている。
研究内容等
1) 司法薬学的観点から見た薬剤師の業務と責任のあり方に関する研究
 医療過誤の裁判記録を精査し、医療に対する教訓を得、薬剤師業務に当てはめることにより、薬剤師が行うべき業務と担うべき法的責任について研究を行っている。
2) 薬剤師が行うべきリスクマネージメントに関する研究
 薬に関わる業務全般におけるリスクマネージャーとしての薬剤師の役割を、薬剤管理に関する医療裁判例を基に法的責任及び医療人としての倫理の側面から研究している。その聖歌を、薬局の機能評価に役立てるよう他大学と協議し、これらをまとめて教科書として出版の準備を行っている。
3) 現場薬剤師に対する支援活動
 現場の薬剤師に何が要求されるかを調査し、法律の知識のみならず、求められる法的責任及び医療人としての倫理教育について研究した。また、得られた結果を現場の薬剤師に伝えることにより、意識の向上及び薬局薬剤師のアイデンティティー確立の手助けをした。
4) 医療薬学教育における薬事関係法規の教授方法の改善とその実践に関する検討
 薬剤師法、薬事法の大改定が続く中、薬剤師業務としての薬事関係法規の実践に関する教育方法の検討及び他大学の科目担当者と共に医療薬学における薬事関係法規の位置づけ及び効果的な教授法の検討を行った。その結果を共同研究者の大学で協同授業を行うことにより、薬事関連法規及び倫理について学生の理解度を高める試みを行っている。
5) 六年制で導入された長期実習に向けた教育内容の検討と実践
 薬剤師教育六年制を迎え長期外部実習が導入されることから、参加するに学生に要求される知識・技能・態度の育成だけでなく倫理・意識教育の充実について、病院及び薬局の薬剤師と意見交換を行い、実践している。
■ Keywords
医療過誤, 調剤過誤司法薬学, 薬剤師の法的責任, リスクマネージメント, 医療倫理
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  秋本義雄 :日本社会薬学会常任幹事, 司法薬学研究会常任幹事, 千葉件薬剤師会ちば薬剤師フォーラム委員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















秋本 義雄   准教授
博士(薬学)
  1            2
 16
 
 
 3
(3)
 
 0 0  0 0  0  2
(0)
 0
(0)
 3
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研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














秋本 義雄   准教授
博士(薬学)
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(3)
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(3)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 著書
1. 三輪亮寿, 鈴木政雄, 秋本義雄, 福島紀子, 宮本法子, 鈴木順子:  薬剤師法
薬事法
資料編
各種比較表.  薬事関連法規 改訂第2版  15-255, 437-450.  南江堂,  東京都, 2008
■ 学会発表
国内学会
1. ◎ 鈴木政雄, 秋本義雄, 鈴木順子, 喜来望, 福島紀子, 宮本法子, 海老沢哲: 裁判例が示す問診義務と薬剤師-5 判例が求める薬剤師の初回面談における問い掛けの仕方.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
2. ◎海老澤哲, 秋本義雄, 喜来望, 鈴木順子, 鈴木政雄, 福島紀子, 宮本法子: 裁判例が示す問診義務と薬剤師-2 -初回面談時の情報収集における自己研鑽義務-.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
3. ◎喜来望, 秋本義雄, 鈴木順子, 鈴木政雄, 福島紀子, 宮本法子, 海老澤哲: 裁判例が示す問診義務と薬剤師-1 薬剤の特性を知りながら情報収集しなかったことに起因する事故.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
4. ◎志村冬華, 石井佳子, 斎藤美佳, 高橋菜都美, 中村仁美, 秋本義雄: 慎重投与医薬品と薬剤師の役割.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
5. ◎秋本義雄, 海老沢哲, 喜来望, 鈴木順子, 鈴木政雄, 福島紀子, 宮本法子: 裁判例が示す問診義務と薬剤師- 6 -収集すべき情報の範囲-.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
6. ◎鈴木順子, 秋本義雄, 喜来望, 鈴木政雄, 福島紀子, 宮本法子, 海老澤哲: 裁判例が示す問診義務と薬剤師- 4.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
7. ◎鈴木博子, 秋本義雄: 禁忌薬剤と妊婦 -酸性NSAIDs投与による死産の裁判例からの警告-.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
8. ◎宮本法子, 秋本義雄, 喜来望, 鈴木順子, 鈴木政雄, 福島紀子, 海老沢哲: 裁判例が示す問診義務と薬剤師-3 患者情報の吟味.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
9. ◎喜来望, 秋本義雄, 鈴木政雄, 鈴木順子, 福島紀子, 宮本法子: 薬剤師の行う初回面談時の情報収集とその重要性-1 薬剤の特性を知りながら情報収集しなかったことに起因する事故.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
10. ◎宮本法子, 秋本義雄, 喜来望, 鈴木順子, 鈴木政雄, 福島紀子: 薬剤師の行う初回面談時の情報収集とその重要性-3 患者側が質問内容を理解していないこと、又は誤認していることによる事故.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
11. ◎高橋菜都美, 石井佳子, 斎藤美佳, 中村仁美, 秋本義雄: 添付文書に慎重投与と記載がある医薬品と薬剤師-1 医療過誤裁判が示す使用条件.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
12. ◎秋本義雄, 喜来望, 鈴木順子, 鈴木政雄, 福島紀子, 宮本法子: 薬剤師の行う初回面談時の情報収集とその重要性-6 収集すべき情報の範囲.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
13. ◎谷口浩朗, 秋本義雄: 判例からみる薬剤師の役割 -精神科領域からの考察③-.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
14. ◎中村仁美, 斎藤美佳, 石井佳子, 高橋菜都美, 秋本義雄: 添付文書に慎重投与と記載がある医薬品と薬剤師-2 薬剤師の対応のあり方.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
15. ◎福島紀子, 秋本義雄 , 喜来望, 鈴木順子, 鈴木政雄, 宮本法子: 薬剤師の行う初回面談時の情報収集とその重要性-2 質問者が質問及び回答内容を理解していないことによる事故日本社会薬学会第27年会.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
16. ◎鈴木順子, 喜来望, 秋本義雄, 鈴木政雄, 福島紀子, 宮本法子: 薬剤師の行う初回面談時の情報収集とその重要性-4 初回面談時の情報収集の重要性.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
その他
1. ◎鈴木政雄, 秋本義雄, 鈴木順子, 福島紀子, 宮本法子, 喜来望: 薬剤師の行う初回面談時の情報収集とその重要性-5 初回面談時に何をどのように質問するか.  日本社会薬学会第27年会,  東京,  2008/09
  :Corresponding Author
  :本学研究者