2008年度
 薬学部 生薬学教室
 Department of Pharmacognosy

教授:
  小池 一男
講師:
  佐藤 忠章
  李 巍
■ 概要
1.日本や中国などで伝統的に医薬資源として使われている植物から生物活性天然物の単離,精製,構造決定,関連化合物の合成などに関する研究
日本産や中国産の植物性生薬からサポニンをはじめ複雑な構造を有する化合物を各種分離機器,分析機器などを活用して多くの新規で,かつユニークな構造を有する化合物を得ている。さらに近縁の数種の材料を研究し,ケモタキソノミカルな観点からの成分検索も行っている。
 この分野では中国の北京大学薬学部,瀋陽薬科大学,日本大学理工学部,島根大学生物資源学部,東京薬科大学薬学部との共同研究を行って多くの研究成果を発表している。
2.生物活性に関する研究
生物活性天然物並びに関連化合物に対して生活習慣病,抗腫瘍活性試験などによるスクリーニングを行い,活性を示した化合物並びに関連化合物などをシードとし,医薬品開発を指向して研究を行っている。この分野では上記の他に東京医科歯科大学医学部との共同研究を行っている。
3.植物組織培養による医薬資源の確保,安全供給,優良種の創製,有効成分の生合成などに関する研究
(1)有効成分含量の効率的生産と定量,(2)培養期間の短縮,(3)培養の安定性,(4)有効成分,新規成分の探索,(5)培養細胞を用いた物質変換,(6)生合成の解明を目的に研究を行っている。この分野では北里大学薬学部との共同研究を行っている。
4.漢方による治病理論の研究
「漢方はなぜ効くのか」を命題として,現代科学的な根拠を基として整理し,伝統医学である「漢方」の治療の充実を目標としている。さらに,「東邦漢方研究会」を組織して在学生への定例的な勉強会を行っている。
5.統合医療における植物療法の研究
統合医療とは,単に現代西洋医学や東洋医学,アロマセラピーなどの医療を合わせたものではなく,西洋医学の得意な分野とその他のさまざまな医療の長所を合わせた医療,そして,人間をより多角的に考える全人的医療のことである。なかでも西洋の伝統的な植物療法の一つであるアロマテラピーの臨床応用を目指して,現代医療で求められるEBM を併せて検証しながら研究を行っている。
■ Keywords
生物活性天然物,構造決定,天然化合物の合成,生薬の成分検索,抗腫瘍活性物質の探索,植物組織培養,物質変換と生合成,漢方,植物療法
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  平成19年度 研究科特別経費-研究科分
 研究課題:日本産精油の精神行動に与える影響に関する研究  (研究代表者:小池一男)
 研究補助金:3000000円  (代表)
2.  平成20年度地域共同研究支援経費
 研究課題:糖・脂質代謝調節作用を有する新規生物活性物質の探索研究  (研究代表者:小池一男, 李巍, 浅田善久)
 研究補助金:4000000円  (代表)
3.  平成20年度文部科学省科学研究費 若手研究(B)  (研究課題番号:18790102)
 研究課題:中国東北地区絶滅危惧種薬用植物の化学的研究  (研究代表者:李巍)
 研究補助金:300000円  (代表)
■ 当該年度の主催学会・研究会
1.  第5回 ハーブ・アロマテラピーフォーラム  ( 東邦大学薬学部生薬学教室・東邦植物療法研究会 )  ,東邦大学  2008/09
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  小池一男 :日本生薬学会評議員、日本メディカルハーブ協会理事
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















小池 一男   教授
薬学博士
    8          1
 9
 
 
 
 
李 巍   講師
薬学博士
   1 7          1
 5
 
 
 
 
佐藤 忠章   講師
博士(薬学)
   1 2          
 2
 
 
 
 
 0 2  0 0  0  2
(0)
 0
(0)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














小池 一男   教授
薬学博士
         1
 
 
李 巍   講師
薬学博士
  1       1
 
 
佐藤 忠章   講師
博士(薬学)
  1       
 
 
 0 2  0 0  0  2
(0)
 0
(0)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Tadaaki Satou, Katsutoshi Kaneko, Wei Li, Kazuo Koike:  The toxin produced by Pleurotus ostreatus reduces the head size of nematodes.  Biological & pharmaceutical bulletin  31 (4) :574-576 , 2008
2. Wei Li, Deqiang Dou, Kazuo Koike:  Revised absolute stereochemistry of rhodiolosides A-D, rhodiolol A and sachalinol A from Rhodiola rosea.  Chemical & pharmaceutical bulletin  56 (7) :1047-1048 , 2008
3. Huanxin Zhao, Hong Bai, Yuanshu Wang, Wei Li, Kazuo Koike:  A New Homoisoflavan from Caesalpinina sappan.  Journal of Natural Medicines  62 (3) :325-327 , 2008
4. Nan Wang, Zhanlin Li, Dandan Song, Wei Li, Hongwei Fu, Kazuo Koike, Yuehu Pei, Yongkui Jing, Huiming Hua:  Lanostane-type triterpenoids from the roots of Kadsura coccinea.  Journal of natural products  71 (6) :990-994 , 2008
5. Hong Bai, Wei Li, Kazuo Koike:  Pregnane Glycosides from Cynanchum atratum.  Steroids  73 (1) :96-103 , 2008
■ 著書
1. 本田義昭, 正山征洋, 荻原幸夫, 竹田忠紘, 小曽戸洋, 中田敬吾, 渡邊賢治, 中川良隆, 雨谷栄, 井上誠, 御影雅幸, 松田秀秋, 村上光太郎, 鳥居塚和生, 岡村信幸, 伏見裕利, 三巻祥浩, 新井信, 小林淳一, 高石嘉久, 斉藤和季, 小池一男, 飯沼宗和, 金城順英, 大川雅史, 笠井良次, 石黒京子, 馬場きみ江, 海老塚豊, 竹谷孝一, 白瀧義明, 池城安正, 関崎春雄, 波多野力, 奥山恵美, 吉川雅之, 伊田善光, 木島孝夫, 高橋邦夫, 市瀬浩志, 服部征雄, 作久島明世, 北島潤一, 北中進, 南雲清二:    現代医療における漢方薬  64,135.  南江堂,  東京, 2008
■ 学会発表
国内学会
1. ◎黄超,李巍,小池一男,王英華: 中国寧夏産薬用植物の成分研究:七葉一枝花の化学成分について.  日本薬学会,  京都,  2009/03
2. ◎佐藤忠章, 村上志緒, 松浦真莉子, 林真一郎, 小池一男: ゲットウ精油成分と抗不安作用の関係.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
3. ◎松浦真莉子, 佐藤忠章, 村上志緒, 林真一郎, 小池一男: トドマツ精油成分と抗不安作用の関係.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
4. ◎李巍,麻風華,小池一男,張清波: 中国東北地区産薬用植物の成分研究:刺苺果葉の化学成分について.  日本薬学会第129年会,  京都,  2009/03
5. ◎佐藤忠章,松浦真莉子,村上志緒,谷夢未,仲澤瑠璃子,張江万里,林真一郎,小池一男: モミ属植物精油の成分分析とマウスの精神行動に与える影響.  日本生薬学会第55回年会,  長崎,  2008/09
6. ◎村上志緒,佐藤忠章,松浦真莉子,谷夢未,仲澤瑠璃子,張江万里,林真一郎,小池一男: ゲットウ精油の精神行動に与える影響 ―ジャンプ行動と抗不安作用―.  日本生薬学会第55回年会,  長崎,  2008/09
7. 尤金花,田守生,小池一男,李巍,鄭筱祥,鄭権: 生薬阿膠の免疫賦活作用について.  日本生薬学会第55回年会,  長崎,  2008/09
8. 尤金花,田守生,鄭筱祥,小池一男,李巍,鄭権: 生薬阿膠の血液粘度への影響について.  日本生薬学会第55回年会,  長崎,  2008/09
  :Corresponding Author
  :本学研究者