<<< 前 2018年度 | 2019年度 | 2020年度
 医学部 医学科 皮膚科学講座(佐倉)
 Department of Dermatology (Sakura)

教授:
  樋口 哲也
助教:
  木村 雅明
助教:
  三津山 信治
助教:
  安部 文人
■ 概要
2020年度は、常勤医師は教授1名、助教3名、レジデント5名で計9名でのスタートとなった。佐倉病院皮膚科ではアトピー性皮膚炎や薬疹などのアレルギー性皮膚疾患、乾癬・水疱症・膠原病・血管炎などの自己免疫性皮膚疾患、皮膚腫瘍の早期診断と皮膚外科などを重点的に取り組んできた。大学病院の皮膚科として診療・教育ができる体制にあり、研究に関しては教授と三津山助教を中心に研究活動を行っている。現在の研究課題として、乾癬とメタボリック症候群との関連、薬剤アレルギー患者の実験室内診断法、膠原病皮膚病変の発症機序の解析、プロテオミクス解析による食物アレルギーのアレルゲン解析などを行っている。今後も高いレベルの診療を目指しつつ、教育・研究も進めていきたい。
1.アレルギー性皮膚疾患の診断・治療
2012年10月から日本アレルギー学会認定教育施設の認定を取得した。薬疹、接触皮膚炎、金属アレルギーなどの検査として、パッチテスト、各種プリックテストを実施しているほか、症例に応じて入院でのアレルゲン負荷テストを行い、アレルゲンの特定に努めている。小麦アレルギーなどの食物アレルギー、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの検査等も行っている。難治性のアトピー性皮膚炎に対する入院療法や全身照射紫外線装置を用いた全NB-UVB療法も導入している。
2. 皮膚腫瘍の早期診断と皮膚外科
皮膚腫瘍の早期診断・治療を目的として、ダーモスコープを用いた診断を系統的に行い、早期病変に対しては切除治療だけでなく外用治療など他の治療法も選択できるようにしている。手術が必要な患者には、切除術や植皮術、および皮弁形成も組み合わせて行っている。
3.膠原病・水疱症などの自己免疫疾患に対する診断・治療
膠原病や血管炎の皮膚症状について、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、強皮症などの膠原病皮膚病変の診断・治療積極的に行っている。重症天疱瘡・水疱性類天疱瘡に対しての入院治療、免疫グロブリン点滴療法も行っている。最重症例に対しては血漿交換療法も行えるようになった。
4. 乾癬の治療と研究
日本皮膚科学会の生物学的製剤承認施設であり、軽症から重症度の高い症例まで、外用療法、紫外線療法、内服療法、生物学的製剤などを組み合わせた集学的に治療を行い、地域医療における拠点病院となっている。乾癬とメタボリック症候群との関与について臨床研究を行い、院内他科とも連携した治療を行っている。2016年度に新規に導入したターゲット型エキシマ光線療法装置により、乾癬のみならず多くの難治性皮膚疾患の治療に対応できるようになった。
5.帯状疱疹・蜂窩織炎などの皮膚感染症の入院治療
早期治療を目的として、帯状疱疹や丹毒・蜂窩織炎などの皮膚細菌感染症の重症例に対して入院加療を行っている。
6. 皮膚エコーを用いた皮膚疾患の診断治療
2018年度から高周波数プローブを搭載した皮膚エコーを導入し、皮膚腫瘍や関節病変など、視診での診断と同時にエコー検査が出来るようになり、診断の質が向上し、患者満足度の高い診療が出来るようになった。
7. 新規薬剤の臨床試験
皮膚科領域でも乾癬やアトピー性皮膚炎などに対する生物学的製剤の治療薬も拡充し、当科での治療実績も増えているが、治験事務局の協力により
2018年から多くの新規製剤の治験を開始している。
■ Keywords
皮膚アレルギー, アトピー性皮膚炎, 乾癬, 薬疹, 膠原病, 血管炎, 水疱症, ダーモスコープ, 皮膚エコー, 皮膚外科, 皮膚潰瘍, ヘルペス感染症, 細菌性皮膚感染症
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  文部科学省 若手研究  (研究課題番号:19K17787)
 研究課題:プロテオミクス解析手法を用いたビワアレルゲンの網羅的解析  (研究代表者:三津山信治)
 研究補助金:780000円  (代表)
■ 教授・准教授・講師の公的役職
1.  樋口哲也 :日本皮膚科学会東京支部 代議員
2.  樋口哲也 :日本研究皮膚科学会 評議員
3.  樋口哲也 :千葉県皮膚科医会 幹事
4.  樋口哲也 :千葉県生物学的製剤乾癬治療研究会 世話人
5.  樋口哲也 :千葉県アレルギー疾患医療連絡協議会委員
■ 当該年度の主催学会・研究会
1.  乾癬治療カンファレンス  (座長:樋口哲也 : 日本イーライリリー株式会社、取り急ぎ㈱ )  ,佐倉  2020/07
2.  合併症を踏まえた乾癬治療WEB勉強会  (座長:樋口哲也 : ノバルティスファーマ株式会社 )  ,Web開催  2020/09
3.  第35回日本乾癬学会学術大会  (座長:樋口哲也 : 日本乾癬学会 )  ,Web開催  2020/09
4.  The treatmaent for inflammatory disease Cafe  (座長:樋口哲也 : アッヴィ合同会社 )  ,千葉  2020/10
5.  佐倉スキンケア勉強会  (座長:樋口哲也 : マルホ株式会社 )  ,佐倉  2020/11
6.  Lilly Dermatology Immuno-Congerence  (座長:樋口哲也 : 日本イーライリリー株式会社 )  ,Web開催  2021/03
7.  佐倉皮膚疾患勉強会~乾癬医療連携を考える~  (座長:樋口哲也 : マルホ株式会社 )  ,佐倉  2021/03
8.  第1回炎症性皮膚疾患研究会  (座長:樋口哲也 : アッヴィ合同会社 )  ,Web開催  2021/03
9.  第61回佐倉病院研究推進談話会「睡眠の基礎と臨床」  (座長:樋口哲也 : 東邦大佐倉病院、エーザイ株式会社 )  ,WEB開催・佐倉  2021/03
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















樋口 哲也   教授
 3 4    3        
 1
 
 
 10
(5)
 3
安部 文人   助教
  4            
 
 
 
 
 
木村 雅明   助教
  1            
 
 
 
 
 
三津山 信治   助教
 2 2            
 2
 
 
 1
 1
 5 0  3 0  0  0
(0)
 0
(0)
 11
(5)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














樋口 哲也   教授
 3   3     
 
 10
(5)
安部 文人   助教
         
 
 
木村 雅明   助教
         
 
 
三津山 信治   助教
 2        
 
 1
 5 0  3 0  0  0
(0)
 0
(0)
 11
(5)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Shinji Mitsuyama, Fumihito Abe, Tetsuya Higuchi:  Allergic contact dermatitis due to dorzolamide eyedrops.  Contact dermatitis  84 (1) :58 -59 , 2021
2. 長尾映里, 安部文人, 三津山信治, 木村雅明, 樋口哲也:  有茎性バルトリン腺嚢胞の1例.  皮膚科の臨床  62 (5) :658 -659 , 2020
3. 長尾映里, 安部文人, 三津山信治, 木村雅明, 柴野正康, 大畠仁, 柴野孝彦, 樋口哲也:  【肉芽腫症】歯根嚢胞と慢性化膿性根尖性歯周炎の治療により改善した肉芽腫性口唇炎の1例.  皮膚科の臨床  62 (9) :1285 -1288 , 2020
4. 三津山信治, 安部文人, 木村雅明, 樋口哲也:  【乾癬は奥深い】抗IL-17A抗体製剤使用中に2型糖尿病の改善を認めた尋常性乾癬.  皮膚病診療  42 (9) :766 -769 , 2020
総説及び解説
1. 樋口哲也:  【"顔の赤み"鑑別・治療アトラス】血管性浮腫による顔の赤み.  MB Derma.  294 (増刊号) :165 -169 , 2020
2. 樋口哲也:  新・皮膚科セミナリウム 内臓疾患のデルマドローム 消化器疾患のデルマドローム.  日本皮膚科学会雑誌  130 (4) :589 -597 , 2020
3. 樋口哲也:  【腸と脳と皮膚】皮膚から腸 壊疽性膿皮症.  美容皮膚医学Beauty  3 (9) :37 -43 , 2020
■ 著書
1. 樋口哲也:  乾癬.  病期・病態・重症度からみた新患別看護過程+病態関連図  1628-1629.  医学書院,  東京, 2020
2. 樋口哲也:  psoriatic dusease とpsoriatic march.  皮膚科ベストセレクション 乾癬・掌蹠膿疱症 病態の理解と治療最前線  165-167.  中山書店,  東京, 2020
3. 樋口哲也:  皮膚潰瘍[壊疽性膿皮症と炎症性腸疾患].  口腔粘膜・皮膚症状から「見抜く」全身疾患―オラドローム・デルマドローム  37-39.  南江堂,  東京, 2020
■ 学会発表
国内学会
1. ◎内堀麻友, 安部文人, 三津山信治, 清水直美, 樋口哲也: 骨髄異形成症候群を合併した結節性紅斑の1例.  日本皮膚科学会 第895回東京地方会,  Web開催,  2021/02
その他
1. ◎樋口哲也: アトピー性皮膚炎の外用療法治療選択~デルゴシチニブ軟膏の使用経験を含めて~.  TORII Dermatology WEBセミナー,  WEB,  2021/03
2. ◎樋口哲也: IBDの皮膚症状の診断と治療.  Inflammatory Dusease Cafe -壊疽性膿皮症適応追加記念-,  Web開催,  2021/03
3. ◎樋口哲也: 皮膚疾患の痒みと抗ヒスタミン薬の役割.  第46回 佐倉薬剤師セミナー,  Web開催,  2021/03
4. ◎秋本訓秀, 樋口哲也: 当科における尋常性乾癬へのリサンキズマブの使用経験.  第1回炎症性皮膚疾患研究会,  Web開催,  2021/03
5. ◎樋口哲也: 消化器疾患のデルマドローム~IBDの皮膚症状を中心に~.  【WEB】兵庫IBDとことんセミナー特別編,  Web開催,  2021/02
6. ◎樋口哲也: withコロナ時代の褥瘡対策.  全職員対象 褥瘡対策講習会,  WEB開催・佐倉,  2020/12
7. ◎樋口哲也: 乾癬におけるアディポカインと肥満の関連.  シムジア乾癬適応拡大1周年記念Web講演会~乾癬と炎症性サイトカイン~,  Web開催,  2020/12
8. ◎樋口哲也: 速く長く効く乾癬治療戦略.  乾癬治療カンファレンス,  Web開催,  2020/11
9. ◎樋口哲也: IBD患者にみられる皮膚症状について.  WEB KYORIN IBD SEMINAR in CHIBA,  Web開催,  2020/10
10. ◎三津山信二, 樋口哲也: 乾癬とメタボリック症候群における皮下脂肪組織のアディポカイン遺伝子発現に関する検討.  Teams Interactive Meeting 合併症を踏まえた乾癬治療WEB勉強会,  Web開催,  2020/09
11. ◎横田真樹, 三津山信治, 木村雅明, 樋口哲也: 当科で加療した掌蹠型乾癬5例の検討.  第35回日本乾癬学会学術大会,  Web開催,  2020/09
12. ◎樋口哲也: 治療ニーズから考える乾癬治療.  乾癬治療Web講演会,  Web開催,  2020/07
13. ◎樋口哲也: 乾癬の病態と最新の治療.  南房総臨床WEB勉強会,  Web開催,  2020/05
  :Corresponding Author
  :本学研究者