教員情報 | 東邦大学

2008年度

医学部　医学科　病理学講座
Department of Pathology

教授：
　　石井　壽晴
准教授：
　　赤坂　喜清
　　石川　由起雄
　　伊藤　金次

■ 概要

本講座は一貫して、各種の病態における結合組織と血管病変の成り立ちについて検討している。即ち、先進国における最大のキラー疾患である心筋梗塞の発生機構と外科系治療においては避けては通れない創傷治癒機構の探求を通じた速やか且つ支障のない治癒の達成を掲げている。今年度は、①前者については、心筋架橋を構成する心筋の容量が大きいと、内科的に対応可能な諸種の危険因子とは独立した解剖学的な危険因子となることを、内外に先駆けて発見し、米国心臓協会雑誌「循環」に受理された。この問題は、２５年前より、石井が着想し、折にふれ、主として心筋架橋の冠状動脈硬化に及ぼす病態生理に関する研究を行ってきたが、近年、石川が、精力的に冠状動脈硬化の形態計測的検討を行い、今回の結論となった。本研究は、剖検より得られた心臓を、通常の古典的な方法のみにより観察した結果であるが、冠状動脈の周囲に存在する心筋との先天的な解剖学的環境が、実は、心筋梗塞の発生に大きく関係していることを実際に提示し得たことにより、今後は現在、臨床で導入されているＭＤＣＴ画像の解釈や、更には、ステント装着部位の選択にも及ぶ広範な研究分野を提供することになる。②後者については、赤坂を中心として、病理及び形成外科からの大学院生も参画して、創傷治癒過程における線維芽細胞のアポトーシスとこれの進展・制御機構に関して、Caspase、Bcl などの複雑なネットワークの上位制御因子の特定に関しての着実な進歩がみられた。又、その研究過程で、創傷治癒の現場では、骨髄幹脂肪に由来する「線維細胞」が、積極的に肉芽中の毛細血管新生に関与することを見出し、今後は、この方向への発展も企図されている。

■ Keywords

アテローム硬化､炎症､細胞増殖､遊走､分泌型ホスホリパ-ゼ､免疫組織化学､LYVE-1抗体､リンパ管､癌浸潤､臓器移植

■ 当該年度の研究費受入状況

その他
1.	科学研究費補助金基盤研究（Ｃ） (研究課題番号：30101893) 研究課題：心筋架橋による冠状動脈硬化の抑制機構と心筋虚血に連なる架橋の解剖学的特性 (研究代表者：石井壽晴) 研究補助金：1300000円 (代表)
2.	科学研究費補助金基盤研究（Ｃ） (研究課題番号：19590368) 研究課題：消化管の間質浸潤と脈管侵襲との遷移領域における分子病理学的解析 (研究代表者：石川由起雄) 研究補助金：1500000円 (代表)

■ 教授・准教授・講師の公的役職

石井　壽晴

：日本学術振興会科学研究費委員会専門委員, （財）大倉集古館理事

■ 当該年度の主催学会・研究会

1.	第39回日本病理学会関東支部学術集会 (会長：石井壽晴 ) ,東京 2008/06
2.	第38回日本創傷治癒学会 (会長：石井壽晴 ) ,東京 2008/12

■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員

1.	石井壽晴	：日本病理学会学術評議員, 日本創傷治癒学会評議員・理事, 日本脈管学会評議員・理事
2.	赤坂喜清	：日本病理学会評議員，日本創傷治癒学会評議員・評議員選考委員・国際委員
3.	石川由起雄	：日本病理学会評議員

■ 当該年度研究業績数一覧表

研究者名

刊行論文

著書

その他

学会発表

その他
発表

和文

英文

和文

英文

国内

国際

筆
頭

共
著

筆
頭

共
著

筆
頭

共
著

筆
頭

共
著

筆
頭

共
著

演
者

共
演

演
者

共
演

演
者

共
演

石井　壽晴教授

医学博士

伊藤　金次准教授

赤坂　喜清准教授

医学博士

石川　由起雄准教授

医学博士

計

／

9
(0)

／

0
(0)

／

0
(0)

／

研究者名	刊行論文		著書		その他	学会発表		その他発表
	和文	英文	和文	英文	その他	国内	国際	その他発表
	筆頭	筆頭	筆頭	筆頭	筆頭	演者	演者	演者
石井　壽晴教授医学博士
伊藤　金次准教授
赤坂　喜清准教授医学博士						5
石川　由起雄准教授医学博士						4
計	0	0	0	0	0	9 (0)	0 (0)	0 (0)

( )：発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会

■ 刊行論文

原著
1.	佐藤弘泰,武富芳隆,山本圭,磯貝有紀,三木寿美,石川由起雄^†,石井壽晴^†,小林哲幸,原俊太郎,工藤一郎,村上誠： III型分泌型ホスホリパーゼA2の生体内機能の解析. 脂質生化学研究 50 ：267-269 , 2008
2.	Mizuiri S, Hemmi H, Arita M, Ohashi Y, Tanaka Y, Miyagi M, Sakai K, Ishikawa Y, Shibuya K, Hase H, Aikawa A： Expression of ACE and ACE2 in individuals with diabetec kidney disease and healthy controls. American journal of kidney diseases 51 (4) ：613-623 , 2008
3.	Miｚｕiri S， Hemmi H， Arita M， Ohashi Y， Tanaka Y， Miyagi M， Sakai K，lshikawa Y^†, Shibuya K,^† Hase　H, Aikawa A.： Expression　of ACE　and　ACE2　in　individuals　with　diabetic　kidney　disease　and healthy controls. American journal of kidney diseases : the official journal of the National Kidney Foundation 51 (4) ：613-623 , 2008
4.	Iwasaki R^†, Ito K^†, Ishida T, Hamanoue M^†, Adachi S, Watanabe T, Sato Y： Catechin, green tea component, causes caspaseindependent necrosis-like cell death in chronic myelogenous leukemia. Cancer Science 100 (2) ：349-356 , 2009
5.	Iwasaki R, Ito K^†, Ishida T, Hamanoue M, Adachi S, Watanabe T, Sato Y： Catechin,green tea component, cause caspase-independent necrosis-like cell death chronic myelogenous leukemia. Cancer Science 100 (2) ：349-56 , 2009
6.	Suzuki T^†, Akasaka Y^＊^†, Namiki A^†, Ito K^†, Ishikawa Y^†, Yamazaki J^†, Ishii T^†： Basic fibroblast growth factor inhibits ventricular remodeling in Dahl salt-sensitive hypertensive rats. Journal of Hypertension 26 ：2436-2444 , 2008
7.	Hayakawa K, Tateda K, Fuse ET, Matsumoto T, Akasaka Y^†,Ishii T^†, Nakayama T, Taniguchi M, Kaku M, Standiford TJ, Yamaguchi K.： Paradoxically high resistance of natural killer T (NKT) cell-deficient mice to Legionella pneumophila: another aspect of NKT cells for modulation of host responses. Journal of medical microbiology 57 ：1340-8 , 2008
8.	Sato H, Kato R, Isogai Y, Sakai GI, Ohtsuki M, Taketomi Y, Yamamoto K, Tsutsumi K,Yamada J, Masuda S, Ishikawa Y^†, Ishii T^†, Kobayashi T, Ikeda K, Taguchi R, Hatakeyama S, Hara S, Kudo I, Itabe H, Murakami M.： Analyses of group III secreted phospholipase A2 transgenic mice reveals potential participation of this enzyme in plasma lipoprotein modification, macrophage foam cell formation, and atherosclerosis. The Journal of biological chemistry 283 (48) ：33483-33497 , 2008
9.	Matsumoto K, Soh S, Satoh T, Ishikawa Y^†, Ishii T^†, Baba S.： Distribution of lymphatic vessel network in normal urinary bladder. Urology 72 ：706-710 , 2008
10.	Morita H^＊^†, Ishikawa Y^†, Akishima-Fukasawa Y^†, Ito K^†, Akasaka Y^†, Nishimura C^†, Igarashi Y^†, Miki K^†, Ishii T^†： Histopathological predictor for regional lymph node metastasis in gastric cancer. Virchows Archiv : an international journal of pathology 454 (2) ：143 -151 , 2009
症例報告
1.	Motoyama O, Kojima Y, Ohara A, Tsukimoto I, Ishikawa Y^†, Iitaka K： IgA nephropathy associated with leukemia and lymphoma: report of two cases. Clinical and Experimental Nephrology 12 (2) ：140-143 , 2008
その他
1.	牛尾比早子、石川由起雄^†、松下啓、宮本研、戸谷義幸、石上友章、内野和顕、梅村敏：膜性腎症に遭遇したら？　ー最近の薬物治療の進歩ー. 治療 90 ：3169-3175 , 2008

■ 著書

1.	赤坂喜清^†：小児病理. 病理画像ケーススタディ 100-120. 南山堂, 東京、日本, 2008

■ 学会発表

国内学会
1.	◎Takamura K^†, Fujimoto S^†, Nanjoh S^†, Hisatake S^†, Nakanishi R^†, Namiki A^†, Nakano H^†, Ishikawa Y^†, Ishii T^†, Yamazaki J^†： A study of characteristics of myocardial bridge in patients with myocardial infarction by using multi-detector computed tomography. 第73回日本循環器学会学術集会, 大阪, 2009/03
2.	◎猪股直美^†, 赤坂喜清^†, 今泉りさ^†, 岡田恵美^†, 丸山　優^†, 石井壽晴^†：創傷治癒におけるFibrocyteの発現性. 第38回日本創傷治癒学会, 東京, 2008/12
3.	◎赤坂喜清^†：創傷治癒における細胞死発現と瘢痕抑制. 第38回日本創傷治癒学会総会, 東京, 2008/12
4.	◎今泉りさ^†, 猪股直美^†, 岡田恵美^†, 丸山優^†, 赤坂喜清^†, 石井壽晴^†：ケロイド膠原線維束におけるＭＭＰ-2の発現増加とその意義. 第38回日本創傷治癒学会, 東京, 2008/12
5.	◎佐々木由香、亀井大輔、石川由起雄^†、石井壽晴^†、原俊太郎、工藤一郎．：マウス大腸化学発がんモデルにおける膜結合型プロスタグランジンE合成酵素(mPGES-1)の役割．. 第81回日本生化学会大会, 神戸, 2008/12
6.	◎赤坂喜清^†：線維芽細胞の細胞死誘導による臓器線維化抑制機構の解明. 第62回東邦医学会総会総会, 東京, 2008/11
7.	◎岡田恵美^†, 丸山優^†, 今泉りさ^†, 猪股直美^†, 平田晶子^†, 渋谷和俊^†, 赤坂喜清^†, 石井壽晴^†：ケロイド形成における真菌関与の可能性と抗真菌薬の効果に関する検討. 第17回日本形成外科学会基礎学術集会, 東京, 2008/10
8.	◎吉田公彦^†, 緒方秀昭^†, 大嶋陽幸^†, 久保田伊哉^†, 馬越俊輔^†, 金澤真作^†, 密田亜希^†, 羽鳥努^†, 石川由起雄^†：巨大線維腺腫の一例．. 第16回日本乳癌学会総会, 大阪, 2008/09
9.	◎高須二郎^†, 河村　毅^†, 相川　厚^†, 實重　学^†, 新津靖雄^†, 森　義明^†, 白神伸之^†, 石川由紀雄^†, 新井兼司^†, 青木裕次郎^†, 小原武博, 長谷川昭：腎移植後両側自己腎腫瘍が疑われた1例．. 第24回腎移植・血管外科研究会, 有馬，兵庫, 2008/07
10.	◎石川由起雄^†：特別講演「脈管領域における病理」左冠状動脈前下行枝における心筋架橋の意義．. 第39回日本病理学会関東支部学術集会, 東京, 2008/06
11.	◎石川由起雄^†、赤坂喜清^†、石井壽晴^†．：空腸の固有筋層に限局して生じた平滑筋障害の一切除例．. 第39回日本病理学会関東支部学術集会, 東京, 2008/06
12.	◎井手忠^†, 石井真由美^†, 篠崎稔^†, 密田亜希^†, 長谷川千花子^†, 羽鳥努^†, 竹山照明^†, 谷島聡^†, 渡邊正志^†, 渋谷和俊^†： Somatostatinomaと考えられた十二指腸乳頭部腫瘍の1症例．. 第49回日本臨床細胞学会総会, 横浜, 2008/06
13.	◎鎌田至^†, 石川由起雄^†, 森田宏^†, 伊藤金次^†, 赤坂喜清^†, 五十嵐良典^†, 三木一正^†, 石井壽晴^†： LYVE-1抗体、細胞接着因子、MMP抗体を用いた免疫組織化学による胃癌のリンパ節転移の組織学的予測因子. 第97回日本病理学会総会, 金沢, 2008/05
14.	◎赤坂喜清、小野一郎、伊藤金次^† 、石川由起雄^† 、石井壽晴^†： Basic fibroblast growth factor (bFGF)による線維芽細胞アポトーシス誘導におけるAktキナーゼの関与. 第97回日本病理学会総会, 金沢, 2008/05
15.	◎牛込充則^†, 大塚由一郎^†, 土屋勝^†, 田村晃^†, 龍雅峰^†, 渡邊正志^†, 谷川佳世子^†, 羽鳥努^†, 渋谷俊和^†, 金子弘真^†：退形成変化を示し, 術後急性増悪を呈した巨大な膵粘液性嚢胞癌の1例．. 第20回日本肝胆膵外科関連会議, 山形, 2008/05
16.	◎石川由起雄^†, 赤坂喜清^†, 塩川洋之^†, 本田善子,島田長人^†, 藤本愛^†, 伊藤金次^† 石井壽晴^†：空腸の固有筋層内輪層に限局した“筋融解性腸炎”の一切除例. 第97回日本病理学会総会, 金沢, 2008/05
17.	◎石川由起雄^†、秋嶋―深澤由里、伊藤金次^†、山崎一人、下川伶子、藤原美恵子、鈴木高祐、一瀬晃洋、木口英子、緒方謙太郎、新野史、海老原善郎．： LYVE-1抗体を使用した早期結腸癌のリンパ節転移の組織学的規定因子．. 第97回日本病理学会総会, 金沢, 2008/05
18.	◎石川由起雄^†、赤坂喜清^†、塩川洋之、本田善子、島田長人、藤本　愛^†、伊藤金次^†、石井壽晴^†：空腸の固有筋層内輪層に限局した“筋融解性腸炎”の一切除例．. 第97回日本病理学会総会, 金沢, 2008/05
19.	◎赤坂喜清^† 、小野一郎、伊藤金次^†、石川由起雄^† 、石井壽晴^†： bFGFによる線維芽細胞アポトーシス誘導におけるAktキナーゼの関与．. 第97回日本病理学会総会, 金沢, 2008/05
国際学会
1.	◎Mizuiri S^†, Hemmi H^†, Tanaka Y^†, Ohashi Y^†, Miyagi M^†, Sakai K^†, Ishikawa Y,^† Shibuya K^†, Hase H^†, Arita M^†, Aikawa A^†： Increased angiotensin converting enzyme/Angiotensin converting enzyme 2 (ACE/ACE2) ratio in kidneys of patients with IgA nephropathy. 41th American Society of Nephrology, Philadelphia, USA, 2008/11
その他
1.	◎山口和久、藤塚宜功、竹内基、佐藤真司、大塚隆文、渡逡学、倉形秀則、五十嵐良典、住野泰清^†、渋谷和俊^†、石川由起雄^†．：シングルパルーン内視鏡にて観察し得た小腸悪性リンパ腫の１例、. 第87回日本消化器内視鏡学会関東地方会, 東京, 2008/12
2.	◎赤坂喜清^†：線維芽細胞の細胞死誘導による臓器線維化の抑制とその分子機序. 第5回東邦大学三学部合同学術集会, 東京, 2008/11
3.	◎鈴木健也^†, 赤坂喜清^†, 並木　温^†, 石井壽晴^†, 山崎純一^†：線維芽細胞増殖因子（bFGF）による心不全増悪抑制効果. 第14回高血圧クリニカルフォーラム, 東京, 2008/10
4.	◎堀江良一,渡退真理子,小川裕司,伊藤金次^†，KadinMarshall E.,小岩司,岡安勲,渡盛俊樹,東原正明： CD30プロモーターＣｐＧメチル化とJunBを介したCD30誘導機構の解析(会議録). 第70回日本血液学会総会, 京都, 2008/10
5.	◎鈴木健也^†, 赤坂喜清^†, 並木　温^†, 山崎純一^†, 石井壽晴^†： Basic Fibroblast Growth Factorによる心不全増悪抑制. 第37回心機能研究会, 東京, 2008/07
6.	◎堀江良一,渡退真理子,小川裕司,伊藤金次^†,小岩司, KadinMarshall E｡,岡安勲,渡退俊樹,東原正明： CD30プロモーターＣｐＧメチル化とJunBを介したCD30誘導機構の解析(会議録). 第48回日本リンパ網内系学会総会, 札幌, 2008/06

^＊：Corresponding Author
^†：本学研究者