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 医学部 医学科 生理学講座/細胞生理学
 Division of Cellular Physiology, Department of Physiology

教授:
  高松 研
准教授:
  浜之上 誠
講師:
  小林 正明
  田丸 輝也
■ 概要
神経系を中心に細胞レベルの機能や形態形成の調節機構に物質的な側面から迫る生理化学的研究を行っている。
1.概日時計を制御する細胞内シグナリングの解析
概日リズムは全身の細胞にある体内分子時計に基盤を持ち,環境変化への同調性を有する。分子時計は,時計遺伝子Bmal1, Cry等を中核とする転写・翻訳/翻訳後修飾の日周性機構により振動を生み,様々な生理機能のタイミングを統御している。当講座では,日周性に活性変動するキナーゼCK2,そのターゲットとなるBMAL1等の時計タンパク質の日周性リン酸化と核・細胞質間移行を発見し,その活性変動機序として概日時計タンパク質CRYによるキナーゼ活性抑制が関与していることを解明し,概日リズムの重要な調節機構であることを明らかにしている。また,活性酸素等の細胞傷害ストレスによる時計同調とそれに伴う適応応答機構を解明し,概日時計システムとヒートショック応答系のクロストークが,抗酸化系等の概日適応システムを統御することを明らかにしている。本年度は,紫外線ストレスに応答するBMAL1,ヒートショック応答転写因子HSF1,癌抑制転写因子p53の階層的相互作用による適応防御システムの動態を解明した。また,様々なストレスに応答して細胞間時計同期が生じるが,それに関与する共通の分子基盤の一部を明らかにした。
2.内在性神経幹細胞の増殖・遊走能促進機構の解析
神経幹細胞は自己増殖能・遊走能・多分化能を保持した細胞で,その機能向上は神経系の機能再生に直結している。当講座では,リン酸化酵素であるp38MAPキナーゼやアスパラギン酸結合型糖鎖転移酵素のGnT-Vなど,神経幹細胞に特異的に発現する因子の解析を行ってきた。本年度は,培養液中に添加した細胞膜透過型p38MAPキナーゼタンパク質が,培養海馬神経細胞の細胞死抑制活性を示すこと,p38MAPキナーゼ活性を抑制すると細胞死抑制活性を失うことを明らかにした。
3.内在性神経膠細胞の機能制御による神経系機能再生機構の解析
分裂能力を持たない中枢神経細胞の再生能力は非常に乏しいが,その一方で神経系には,神経細胞を補助・保護するための神経膠細胞が多く存在し,健全な中枢神経の機能を維持する内在性再生機構として存在している。当講座では,神経膠細胞の1つであるミクログリアに着目し解析を行ってきた。本年度は,細胞膜透過型p38MAPキナーゼタンパク質の脊髄髄腔内投与により慢性脊髄損傷マウスの運動機能の一部が回復すること,さらにその回復にマウス脊髄ミクログリアの活性化が関与していることを明らかにした。
4.カルシウムイオンによる情報制御機構の解析
高次神経機能の発現を制御する神経細胞内情報伝達系は,多くのカルシウム結合タンパク質によって調節を受けている。当講座では,neuronal calcium sensor (NCS) ファミリーに属するカルシウム結合タンパク質群を見出し,神経機能に及ぼす作用を解析している。なかでも,海馬神経細胞に特徴的に発現するヒポカルシン (HPCA) について解析を進め,神経細胞内情報伝達制御,活動電位発生制御,細胞障害に対する抑制効果,アルツハイマー病のAβ毒性の緩和などの作用を有することを明らかとしてきた。現在,HPCAの微量検出システムの開発を進め,感度の高度化を図りつつ,精神神経疾患の診断マーカーとしての可能性を検討している。
■ Keywords
概日リズム, 転写因子, プロテインキナーゼ, 神経幹細胞, p38MAPキナーゼ, カルシウム, 記憶, 海馬
■ 当該年度の研究費受入状況
その他
1.  東邦大学創立60周年記念学術振興基金奨励金
 研究課題:哺乳類概日時計の分子機構の蛋白質化学的研究  (研究代表者:田丸輝也)
 研究補助金:1000000円  (代表)
■ 教授・准教授・講師の公的役職
1.  高松 研 :日本学術会議連携会員, (社)私立大学情報教育協会医学情報教育研究委員会委員, (財)日中医学協会評議員
■ 教授・准教授・講師の学会・研究会の役員
1.  高松 研 :日本生理学会評議員, 日本神経化学会評議員
2.  浜之上 誠 :日本生理学会評議員, 日本神経化学会評議員
3.  小林正明 :日本生理学会評議員
4.  田丸輝也 :日本生理学会評議員, 日本神経化学会評議員, 日本時間生物学会評議員
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















高松 研   教授
    4          
 3
 
 1
(1)
 
 
浜之上 誠   准教授
    3          
 1
 
 
 
 
小林 正明   講師
 2 1  1          2
 3
 
 1
 1
(1)
 
田丸 輝也   講師
   1 3          1
 2
 1
(1)
 
 
 
 2 1  0 0  0  3
(0)
 1
(1)
 1
(1)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. 中田亜希子, 小林正明, 岡田弥生, 並木 温, 廣井直樹:  医学部においてヒト型ロボットを活用したProject-based learning(PBL)の一実践例.  東邦医学会雑誌  65 (4) :157 -163 , 2018
2. Kawamura G, Hattori M, Takamatsu K, Tsukada T, Ninomiya Y, Benjamin I, Sassone-Corsi P, Ozawa T, Tamaru T:  Cooperative interaction among BMAL1, HSF1, and p53 protects mammalian cells from UV stress.  Communications Biology  :doi: 10.1038/s42003-018-0209-1 , 2018
3. Terasaki Y, Suzuki T, Tonaki K, Terasaki M, Kuwahara N, Ohsiro J, Iketani M, Takahashi M, Hamanoue M, Kajimoto Y, Hattori S, Kawaguchi H, Shimizu A, Ohsawa I:  Molecular hydrogen attenuates gefitinib-induced exacerbation of naphthalene-evoked acute lung injury through a reduction in oxidative stress and inflammation.  Laboratory Investigation  :doi: 10.1038/s41374-019-0187-z , 2019
4. Tamaru T, Takamatsu K:  Circadian modification network of a core clock driver BMAL1 to harmonize physiology from brain to peripheral tissues.  Neurochemistry International  119 :11 -16 , 2018
5. Shigiyama F, Hamanoue M, Kobayashi M, Takamatsu K:  Cell-permeable p38 MAP kinase protects adult hippocampal neurons from cell death.  Neuroscience Letters  699 :115 -121 , 2019
6. Fujisawa C, Kodama H, Hiroki T, Akasaka Y, Hamanoue M:  ATP7A mutations in 66 Japanese patients with Menkes disease and carrier detection.  Pediatrics International  61 :345 -350 , 2019
7. Oshima T, Niwa Y, Kuwata K, Srivastava A, Hyoda T, Tsuchiya Y, Kumagai M, Tsuyuguchi M, Tamaru T, Sugiyama A, Ono N, Zolboot N, Aikawa Y, Oishi S, Nonami A, Arai F, Hagihara S, Yamaguchi J, Tama F, Kunisaki Y, Yagita K, Ikeda M, Kinoshita T, Kay SA, Itami K, Hirota T:  Cell-based screen identifies a new potent and highly selective CK2 inhibitor for modulation of circadian rhythms and cancer cell growth.  Science Advances  5 :eaau9060 , 2019
8. Hirayama J, Alifu Y, Hamabe R, Yamaguchi S, Tomita J, Maruyama Y, Asaoka Y, Nakahama K, Tamaru T, Takamatsu K, Takamatsu N, Hattori A, Nishina S, Azuma N, Kawahara A, Kume K, Nishina H:  The clock components Period2, Cryptochrome1a, and Cryptochrome2a function in establishing light-dependent behavioral rhythms and/or total activity levels in zebrafish.  Scientific Reports  9 :196 , 2019
総説及び解説
1. 小林正明, 原 文彦, 中村陽一, 中田亜希子, 岸 太一, 岡田弥生, 土井範子, 並木 温, 佐藤二美, 廣井直樹:  新しい医学教育の潮流2017 ―第49回日本医学教育学会大会報告1― ~質保証に向けた医学教育の新展開~.  東邦医学会雑誌  65 (2) :98 -103 , 2018
2. 小林正明, 原 文彦, 中村陽一, 中田亜希子, 岸 太一, 岡田弥生, 土井範子, 並木 温, 佐藤二美, 廣井直樹:  新しい医学教育の潮流2017 ―第49回日本医学教育学会大会報告2― ~卒前卒後教育の質的変化~.  東邦医学会雑誌  65 (3) :141 -146 , 2018
■ 学会発表
国内学会
1. ◎鴫山文子, 小林正明: 膜透過型p38MAPキナーゼ活性型蛋白質の海馬神経細胞死抑制作用..  第153回東邦医学会例会,  東京,  2019/02
2. ◎河村玄気, 田丸輝也, 高松 研, 小澤岳昌: 紫外光に対する細胞防御系は概日時計に依存したストレス応答により惹起される.  第41回日本分子生物学会年会,  横浜,  2018/11
3. ◎田丸輝也, 吉種 光, 河村玄気, 小澤岳昌, 深田吉孝, 高松 研: 概日適応システムの同期性機能発現を導く初期応答分子イベント.  第41回日本分子生物学会年会,  横浜,  2018/11
4. ◎小林正明, 岸 太一, 中村陽一, 中田亜希子, 土井範子, 佐藤二美, 廣井 直樹: ビデオ講義視聴 (Video Lecture Delivery: VLD) システムの利用状況に関する調査報告.  第72回東邦医学会総会,  東京,  2018/11
5. ◎中田亜希子, 小林正明, 宮城真樹, 岡田弥生, 吉原 彩, 並木 温, 廣井直樹: 模擬患者とシミュレータを導入した臨床推論PBLテュートリアルの一例.  第50回日本医学教育学会大会,  東京,  2018/08
6. ◎小林正明, 岸 太一, 中村陽一, 中田亜希子, 土井範子, 浜之上 誠, 佐藤二美, 廣井直樹: ビデオ講義視聴(Video Lecture Delivery: VLD)システムの利用状況に関する調査報告.  第50回日本医学教育学会大会,  東京,  2018/08
7. ◎中村陽一, 島田英昭, 土井範子, 中田亜希子, 原 文彦, 岸 太一, 小林正明, 廣井直樹, 並木 温, 佐藤二美: 卒前医学教育における看取りの態度と技能を学修するための演習の試み.  第50回日本医学教育学会大会,  東京,  2018/08
8. ◎Kawamura G, Tamaru T, Takamatsu K, Ozawa T: BMAL1-dependent activation of stress responsive transcription factors regulate protective response to ultra-violet irradiation.  第25回日本時間生物学会学術大会,  長崎,  2018/10
国際学会
1. ◎Tamaru T, Kawamura G, Yoshitane H, Fukada Y, Ozawa T, Takamatsu K: Initial protein events synchronizing cellular clocks to elicit environmental stress adaptation.  The 9th Federation of Asian and Oceanian Physiological Societies Congress (FAOPS2019),  Kobe, Japan,  2019/03
2. ◎Hiroi N, Nakada A, Yoshihara A, Kobayashi M, Kishi T, Nakamura Y: Implementation and evaluation of PBL tutorial introducing simulated patients in Japanese medical school.  The Association for Medical Education in Europe,  Basel, Swizerland,  2018/09
その他
1. ◎小林正明: 学習成果基盤型教育と2016カリキュラム.  第39回医学教育ワークショップ TOHO-WS'18,  東京,  2018/08
  :Corresponding Author
  :本学研究者