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 医学部 医学科 生物学研究室
 Department of Biology

准教授:
  岡 和之
講師:
  杉森 賢司
■ 概要
1.筋肥大とマイオスタチン
トレーニングにより骨格筋の量が増えることが知られている。筋肥大は多くの因子により制御されているが、 “負の制御因子”として近年マイオスタチンが注目されている。すなわち、マイオスタチン阻害分子の投与は筋肥大を誘因する。さらに、トレーニングはマイオスタチンの分泌を抑制することも知られている。しかしながら、マイオスタチンを分泌する細胞は現在不明である
 骨格筋の幹細胞(ステムセル)としてサテライト細胞が知られているが、本研究室では走査型電子顕微鏡を用い、サテライト細胞と筋核の識別を可能にした。現在、走査型電子顕微鏡を用いた酵素抗体法およびin situ hybridization によりサテライト細胞とマイオスタチンの関係を調べている。
2.特殊環境に生息する微生物
温泉等の熱水に生息する好熱性微生物ならびに地球環境における硫黄循環の一部を担っている河口域、内陸湖等に生息する硫酸還元性細菌、硫黄酸化細菌について生態学的調査研究を行っている。好熱性微生物に関してはロシア科学アカデミーの協力の下、千島列島の熱水について調査し、好熱性細菌の分離培養および好熱性藻類の調査研究を行っている。同時に熱水の地球化学的調査も行っている。国内の温泉においても引き続き調査研究を行っている。また、陸水環境における硫黄循環のモデルとして硫酸還元菌、硫黄酸化細菌を主体に研究を行っている。前者については鉄との関連性も含め検討している。さらに還元的環境として汚水処理施設における硫酸還元菌の動向についても調査を行っている。
3.緑藻での光合成電子伝達タンパク質の銅依存性発現に関する研究
微細緑藻において,同じ機能を持つ光合成電子伝達タンパク質のプラストシアニンとシトクロムc6が,生育環境中の銅含量に依存して排他的に発現する機構を調べている。Pediastrum boryanumおよびP. duplexにおいて両タンパク質の遺伝子構造を解析し,いずれも転写段階で制御されていることを明らかにしてきた。現在,銅に応答して転写が正負に制御される機構を解析するとともに,プロモーター領域での制御方式の進化について考察している。また,緑藻Eudorina elegans, Gonium pectoraleやプラシノ藻 Monomastix minutaにおけるプラストシアニンおよびシトクロムc6の遺伝子発現についても,本学理学部生物学科吉崎文則教授と共同で研究を行っている。
■ Keywords
骨格筋、 筋肥大、 マイオスタチン 特殊環境、好熱性微生物、硫酸還元菌 環境応答,遺伝子発現
■ 当該年度研究業績数一覧表
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
















岡 和之   准教授
医学博士
              
 1
(1)
 
 
 
 
杉森 賢司   講師
              4
(4)
 
 1
(1)
 
 
 
中村 真樹   助教
理学博士
    1          
 2
(2)
 
 
 
 
 0 0  0 0  0  4
(4)
 1
(1)
 0
(0)
研究者名 刊行論文 著書 その他 学会発表 その他
発表














岡 和之   准教授
医学博士
         
 
 
杉森 賢司   講師
         4
(4)
 1
(1)
 
中村 真樹   助教
理学博士
         
 
 
 0 0  0 0  0  4
(4)
 1
(1)
 0
(0)
(  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会 (  ):発表数中の特別講演、招請講演、宿題報告、会長講演、基調講演、受賞講演、教育講演(セミナー、レクチャーを含む)、シンポジウム、パネル(ラウンドテーブル)ディスカッション、ワークショップ、公開講座、講習会
■ 刊行論文
原著
1. Hayashi T, Ishimori C, Takahashi-Niki K, Taira T, Kim Y-C, Maita H, Maita C, Ariga H, Iguchi-Ariga SMM,:  DJ-1 binds to mitochondrial complex I and maintains its activity.  Biochemical and Biophysical Research Communications  390 :667 -672 , 2009
2. Kim Y.-C, Kitaura H, Taira T, Iguchi-Ariga SMM, Ariga H,:  Oxidation of DJ-1-dependent cell transformation through direct binding of DJ-1 to PTEN.  International Journal of Oncology  35 :1331 -1341 , 2009
3. Sato Y, Abe M, Sasaki F, Nakamura M, Takayanagi S, Negishi S:  UVB-induced Damage and Photoreactivation in the Integument of the Terrestrial Isopod Armadillidium vulgare.  慶応義塾大学日吉紀要 自然科学  (47) :1-13 , 2010
■ 学会発表
国内学会
1. 杉森賢司: 特殊環境に生息する微生物.  マテリアルサイエンス研究科セミナー(北陸先端科学技術大学院大学),  石川・能美,  2010/01
2. ◎池崎 章、中村 真樹: ヘムタンパク質の電子構造と機能を解明するための13C NMR法を用いた新規プローブ開発:ミオグロビンケース.  第63回東邦医学会総会,  東京,  2009/11
3. ◎福留みのり, 佐々木香る, 中村真樹, 刑部安弘, 川崎勉, 出田隆一: 非結核性抗酸菌感染症患者に生じたリファブチンによるぶどう膜炎の1例.  第63回日本臨床眼科学会,  福岡,  2009/10
4. ◎杉森賢司, 伊藤克己: 山梨県黒平温泉の現状とそこに生息する硫黄細菌の性状.  第62回日本温泉科学会大会,  京都,  2009/09
5. ◎杉森賢司, 大和田瑞乃, 小松秀彦, 坂井彦就: Biofango R 開発に関与する微生物の特性と応用(その1).  第62回日本温泉科学会大会,  京都,  2009/09
6. ◎杉森賢司, 伊藤克己: 山梨・黒平温泉の硫黄酸化細菌.  日本温泉文化研究会第8回研究集会,  新潟県赤倉温泉,  2009/09
7. ◎坂本美喜, 甲賀弘憲, 原田 孝, 室 増男, 岡 和之: 走査型電子顕微鏡による筋周膜の観察.  第21回運動器リハビリテーション学会,  東京,  2009/07
国際学会
1. ◎Kenji SUGIMORI, Mizuno OOWADA: Microbiological Studies for Developments of BiofangoR in Japan.  Italian Fango Congress,  Abano, Italy,  2009/11
  :Corresponding Author
  :本学研究者