シラガ ノブユキ   Shiraga Nobuyuki
  白神 伸之
   所属   東邦大学  医学部 医学科
   職種   特任教授
言語種別 日本語
発表タイトル 乳腺領域における造影超音波の役割
会議名 第82回日本超音波医学会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(その他)
発表者・共同発表者◎金澤真作†, 緒方秀昭†, 三塚幸夫†, 密田亜希†, 羽鳥努†, 馬越俊輔†, 白神伸之†, 渋谷和俊†, 金子弘真†
発表年月日 2009/05/23
開催地
(都市, 国名)
東京
概要 我々は、病院倫理委員会承認のもと2007年より被験者の同意を得て臨床試験として乳腺領域に対し第2世代の超音波造影剤ペルフルブタン(ソナゾイド)を用いた造影超音波検査(CE-US)を行っており、昨年の日本超音波医学会第81 回学術集会では、造影MRI、造影CTなどのモダリティーでフォールスポジティブを示した術前化学療法の効果判定にCE-USが有効であった症例を報告した。
今回、術後に再発を疑われた症例で造影CTがフォールスポジティブを示したがCE-USにて再発なしと判断できた症例を経験した。
症例は、腋窩リンパ節転移を伴うstage IIIb乳癌、組織型は粘液癌であった。術前化学療法後に乳房切除と腋窩リンパ節郭清を行い、術後の内分泌治療中の定期検査で行った造影CTにて手術創直下の患側大胸筋下に2cm大の造影される腫瘍性変化を認め、局所再発を疑われた。Bモード超音波では、塊状の増殖を思わせる充実性の内部エコーを示した。ドップラー超音波では腫瘍辺縁にわずかに血流を認めるのみであった。CE-USでは、ドップラー超音波で認めた血流以外にも腫瘍底面を中心とした被膜に血流を認めたが内部には造影効果を認めなかった。これまでに、乳房腫瘍が、強い減弱を示す症例を除きCE-US にて濃染されてくることを報告しているが、本症例では、造影CTで造影効果を認めBモード超音波で充実性の内部エコーを疑う腫瘍であったがCE-USで内部が全く造影されない腫瘍であったため、再発の疑いなしと診断した。実際に、CE-US直後に行った組織診では凝固した血液と繊維性の被膜を認めるのみであり、再発の所見を認めなかった。この2症例の他のモダリティーおよび病理組織像との比較検討結果を提示する。
さらに、その他の症例での腫瘍内部の構造や腫瘍周囲への浸潤の様子をCE-USと造影MRIやBモードおよびドップラー超音波での観察結果を病理組織像と合わせて検討して、今後の乳腺領域における造影超音波の役割を検証して行きたい。