シオノ ノリツグ   Shiono Noritsugu
  塩野 則次
   所属   東邦大学  医学部 医学科(大森病院)
   職種   臨床教授
言語種別 日本語
発表タイトル 小児心臓外科における総括的低侵襲化の恩恵.
会議名 第44回日本小児循環器学会総会
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小澤 司†,濵田 聡†,益原大志†,原 真範†,寺本慎男†,藤井毅郎†,塩野則次†,渡邉善則†,吉原克則†,高梨吉則†,小山信彌†
発表年月日 2008/07
開催地
(都市, 国名)
福島, 日本
概要 【背景】小児心臓外科において縮小胸骨正中切開による低侵襲心臓手術(MICS)が普及したが、MICSの利点として美容面以外に、いかなる臨床的恩恵がもたらされているかを検討した。【対象と方法】2004年以降、縮小胸骨正中切開を基本に以下の付加的因子を併せた概念を総括的低侵襲(combined MICS)として導入した。1.抗生剤縮小投与、2.連続縫合によるVSDパッチ閉鎖やTOF修復における肺動脈弁輪温存(狭小肺動脈弁輪症例は除外)、3.DUF/MUFの積極的施行と人工心肺充填量削減、4.早期抜管(オペ室抜管含む)等が付加的因子である。今回、再手術例と新生児例を除外し、12歳以下のASD with/without PS、VSD with/without PH、VSD with DCRV or PS、TOFの小児心臓手術例を対象とし、combined MICS導入以後のM群:42例と、導入以前の対象C群:40例をretrospectiveに比較検討した。【結果】手術時間と術後人工呼吸時間については、C群に比べM群で有意に短縮されていた(p<0.05)。大動脈遮断時間もM群において短い傾向を認めた(p=0.06)。術後炎症反応(WBC、CRP)は群間で有意差を認めなかったが、M群において術中術後の最低HbとHct値が高く維持されていた。さらにM群ではドレーン排液量、輸血量が少なく、ドレーン挿入期間、ICU滞在期間、術後入院期間も短縮されていた(各々p<0.05)。また抗生剤投与期間が有意に短かったM群(p<0.0001)において、SSI発生率が低い傾向にあった(M群0/42例、C群3/40例、p=0.11)。【考察と結語】総括的低侵襲化によって、多くの臨床的恩恵がもたらされていることが示唆された。ただし付加的因子が相互作用した影響も考えられ、個々の因子については今後の検討を要する。