テラハラ アツロウ   Terahara Atsuro
  寺原 敦朗
   所属   東邦大学  医学部 医学科(大森病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 脊髄圧排に対する緊急照射依頼時期に関する検討
会議名 第51回日本癌治療学会学術集会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎寺原敦朗†, 宮本一成†, 塚田庸一郎†, 片野厚人†, 清水友里†
発表年月日 2013/10/24
開催地
(都市, 国名)
京都
概要 【目的】骨病変からの脊髄圧排による下肢麻痺等の神経症状は、QOLを大きく低下させるため、その可及的回避のためには、タイミングを逸することなく放射線治療を施行することが望ましい。当院における照射依頼の時期について検討したので報告する。
【対象および方法】2011年3月から2013年5月までに、当施設にて骨病変からの脊髄圧排によると思われる神経症状に対して、緊急照射を施行した12例を対象とした。原発巣は、大腸直腸 4、肺 2、乳腺 2、肝 2、胃 1、悪性リンパ腫 1であった。緊急照射時の歩行の可否、歩行不能となってから照射までの期間、脊髄圧排病変が把握された画像診断および診断から照射までの期間などを検討した。また、以前に施行されていた画像の検討も行った。
【結果】12例中8例においては、照射時にすでに歩行不能となっていた。その8例において、歩行不能となってから照射までの日数は1日から13日、平均4.3日であった。脊髄圧排や骨転移ありと診断された画像診断は、MRI 7例、骨シンチ 3例、CT 2例で、画像診断日から照射までの期間は、0日から13日、平均4.4日であった。 当院初診時にすでに脊髄圧排症状が認められていたのは2例以外の10例では加療あるいは経過観察中に神経症状が出現しており、過去にも画像検査が施行されていた。そのうち1例を除く9例において、実際の診断日よりも1日から113日前、平均50.6日前の画像で、 脊髄圧排を疑わせる骨病変所見が認められていた。MRIの1例を除き、CTにて同定可能であったが、診断レポートがなく気が付かれていないか、当時のレポートでは指摘されていないかのどちらかであった。画像診断がついた後、治療までの間に歩行不能となった場合が3例あり、逆に歩行不能となっているのに、診断に時間がかかったが、実は以前の画像で病変が認められていた場合が3例あった。
【結語】神経症状が出た際には、画像診断をオーダーするとともに、以前の画像を再度確認し、責任病巣の有無を検討する必要があると思われた。神経症状が出るほどの病変であれば、ほとんどの症例でCTでも病変が確認可能であり、MRIの検査結果を待つ必要はないと思われた。骨病変が確認されていながら経過観察されていた症例においては、照射をどの時点で施行するべきか、その判断の困難さが示唆された。