タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル イミプラミンによる排尿障害に対するジスチグミンの改善効果
会議名 第54回日本平滑筋学会総会
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小原圭将†, 相川直己†, 佐藤恭輔†, 茅野大介†, 田中芳夫†
発表年月日 2012/08/02
開催地
(都市, 国名)
東京慈恵会医科大学(港区、東京)
学会抄録 日本平滑筋学会雑誌 16(1),J-42-J-42 2012
概要 【背景・目的】Distigmine(Dis)は、手術後や糖尿病などの慢性疾患に付随して発症する尿排出機能障害(低活動膀胱)に対して用いられる可逆的ChE阻害薬である。Disは、imipramine(Imi)を代表とする抗うつ薬が持つ抗コリン作用に起因する尿排出機能障害の軽減目的にも用いられるが、その実験的根拠は十分とはいえない。本研究では、in vivoならびにin vitroの評価系を用いて、Imiによる排尿運動障害に対するDisの改善効果を検討し、合成コリンエステルであるbethanechol(Bet)の効果と比較した。
【方法】シストメトリー法により、麻酔下モルモットの膀胱内圧変動を記録した(in vivo評価系)。また、モルモットから摘出した膀胱の排尿筋標本を作成し、Acetylcholine(ACh)による収縮反応を記録した(in vitro評価系)。
【結果】① Dis(10-7 - 3×10-7 M)は、Imi(10-6 M)存在下で抑制されたAChによる収縮反応を、Imi非存在下での反応と同程度もしくはそれ以上にまで回復させた。② Dis(0.03 mg/kg)は、前処置により、Imi(10 mg/kg)による排尿時最大膀胱内圧(IVPmax)の低下を抑制し、後処置によっても、Imi(30 mg/kg)によって低下したIVPmaxを回復させた。③ Bet(0.1 mg/kg)では、IVPmaxの回復効果は明確ではなく、投与直後の排尿間隔は短縮された。④ Dis、Betのいずれも、Imiにより短縮された排尿間隔と抑制された排尿量を、速く回復させる傾向が認められた。
【考察】Dis、Betともに、Imiによる尿排出機能障害に対して改善効果を示すが、排尿間隔とIVPmaxに対する影響を考慮すると、Disのほうがより高い治療効果をもたらす可能性が示唆された。