タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル β-アドレナリン受容体(β-ADR)を介したラット胸部大動脈の弛緩反応に関わるKチャネルの薬理学的探索
会議名 第126回日本薬理学会関東部会
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎椎名俊介†, 佐野慶行†, 小原圭将†, 茅野大介†, 田中芳夫†
発表年月日 2012/07/14
開催地
(都市, 国名)
東京都(北里大学)
学会抄録 第126回日本薬理学会関東部会 プログラム・要旨集 98
概要 【背景・目的】血管の弛緩反応に関与するβ-ADRは、古典的にはプロプラノロール(Prop)感受性受容体(β2)とされてきた。しかし、ラット摘出動脈を用いた当教室の解析結果から、胸部大動脈ではβ2が関与するものの、腹部大動脈や腸間膜動脈ではβ2よりもβ1の寄与が大きいことが示された。また、胸部・腹部大動脈、腸間膜動脈のいずれにおいても、Prop非感受性β-ADR(β3)が有意な寄与をしていることも示された。本研究では、腹部大動脈のβ-ADRを介した弛緩反応機序について、消化管平滑筋や気管平滑筋の弛緩反応で有意な関与が示されているKチャネルの役割に主眼をおいて、β-ADRとの共役の可能性について検討するとともに、弛緩に関わるKチャネルの探索を行った。
【方法】実験には、雄性wistar系ラットの胸部大動脈の内皮除去標本(らせん標本)を用いた。Prop非存在下ならびに存在下で、フェニレフリン(Phe)により発生させた持続収縮に対するβ-ADR刺激薬(イソプレナリン(Iso)、サルブタモール(Sal)、CGP-12177A)の弛緩効果について、high-KCl溶液と各種Kチャネル抑制薬の影響を検討した。
【結果】① Iso、Sal、CGP-12177Aの弛緩作用は、Prop(10-7 M)の存在の有無に関わらず、high-KCl(80 mM)により顕著に抑制された。② Prop非存在下でのIsoとSalの弛緩作用は、2 mM TEAにより抑制されなかったが、10 mM TEAにより一部抑制され、1 mM Bariumにより著明に抑制された。③ Prop存在下でのIsoとCGP-12177Aの弛緩作用は、10 mM TEAによりその一部が抑制され、1 mM Bariumによりhigh-KCl溶液による場合と同程度にまで強力に抑制された。
【考察】ラット胸部大動脈でのβ2-ADRならびにβ3-ADRを介した弛緩反応にKチャネルが関与することが示された。β2-ADRでは、モルモット気管平滑筋でみられたようなBKチャネルの関与は小さく、KvチャネルやKirチャネルの関与の可能性が示唆された。β3-ADRでも、Kvチャネルに加えてKirチャネルが関与する可能性が示唆された。