タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル β-アドレナリン受容体(β-ADR)サブタイプの薬理学的同定と交感神経の化学的除神経の影響-ラット腸間膜動脈での検討-
会議名 第124回日本薬理学会関東部会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎田中 芳夫†, 重松 舞衣†, 小林 由里菜†, 飯干 祐里†, 佐野 慶行†, 粕谷 善俊, 茅野 大介†
発表年月日 2011/06/04
開催地
(都市, 国名)
東京
学会抄録 第124回日本薬理学学会関東部会プログラム・要旨集 38
概要 【目的】血管の弛緩反応に関与するβ-ADRは、古典的にはプロプラノロール(Prop)感受性受容体(β2)とされてきた。しかし、ラット腹部大動脈を用いた当教室の解析結果から、Prop感受性β-ADRとしてβ2よりもβ1の寄与が大きいこと、Prop非感受性β-ADR(β3)も有意な寄与をしていることが示された。本研究では、腸間膜動脈での薬理学的解析を行うとともに、交感神経の化学的除神経効果についても検討した。
【方法】雄性wistar系ラット腸間膜動脈の内皮を剥離したらせん標本で得られるβ-ADRを介した弛緩反応を薬理学的に解析した。交感神経の除神経は、6-hydroxydopamine
(6-OHDA)を腹腔内投与することにより行った。
【結果】①Prop非存在下・存在下でのカテコラミンの効力順位は、β1、β3に対する順位と一致した。②イソプレナリン(ISO)の弛緩作用に対するPropの遮断効果から、Prop感受性ならびに非感受性β-ADRの存在が示唆され、各種β-ADR遮断薬を用いた解析から、それぞれが、β1、β3であると判断された。ただし、ISOとCGP-12177Aに対するブプラノロール(Bup)のpA2値には若干の隔たりがあった。③6-OHDA処置ラットでは、電気刺激による交感神経の興奮を介した収縮反応は誘発されず、α1-ADRを介した収縮反応が顕著に増強された。④ISOによる弛緩反応の最大値は、Prop非存在下・存在下のいずれにおいても抑制されていた。しかし、CGP-12177Aによる弛緩反応は、顕著な影響を受けなかった。
【考察】ラット腸間膜動脈のProp感受性β-ADRは、主としてβ1であると判断された。また、Prop非感受性β-ADRとして、胸部や腹部大動脈とは異なる性質を有するβ3-ADRの存在の可能性が示唆された。交感神経の除神経は、α1-ADRを介した収縮反応を亢進させるが、β-ADRを介した弛緩反応に対しては、β1-ADR、β3-ADRのいずれを介したものも、これを減弱させる可能性も示唆された。