タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ラット腸間膜動脈平滑筋の弛緩反応には、プロプラノロール(Prop)感受性ならびに非感受性の2種類のβ-アドレナリン受容体(β-ADR)が関与する
会議名 第52回日本平滑筋学会総会
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
発表者・共同発表者◎重松舞衣†, 柴田さゆり†, 佐藤恭輔†, 通川広美†, 粕谷善俊, 田中芳夫†
発表年月日 2010/07/01
開催地
(都市, 国名)
仙台市
学会抄録 日本平滑筋学会雑誌 14(1),J-33 2010
概要 【目的】当教室ではこれまで、ラット大動脈のβ-ADRの薬理学的性質を検討し、胸部ではβ2、腹部ではβ1が主たるβ-ADRであること、胸部・腹部のいずれにおいてもProp非感受性β-ADR(β3)が有意に寄与することを報告してきた。本研究では、β-ADRの発現と部位特異性の関連性をさらに追究する目的で、腸間膜動脈を用いた検討を行った。
【方法】Wistar系雄性ラットの腸間膜動脈の内皮除去標本(ラセン標本)を実験に供し、カテコラミンの濃度反応曲線に対する各種β-ADR遮断薬の影響をSchild plot解析した。
【結果】① pD2値を基にしたカテコラミンの効力順位はイソプレナリン(ISO)>アドレナリン≒ノルアドレナリンの順となり、β1-ADRに対する順位と一致した。② ISOの濃度反応曲線は、Prop(3×10-9-10-8 M)により競合的に拮抗されたが、これより高濃度のPropによってはそれ以上影響を受けなかった。③ ISOの濃度反応曲線は、ICI-118,551(3×10-8 M)存在下におけるアテノロール(10-7-3×10-7 M)、ICI-118,551(10-7-3×10-7 M)によって競合的に拮抗され、pA2値はいずれもβ1-ADRに対する値と一致した。④ 高濃度(≧3×10-7 M)のブプラノロール(Bup)は、Prop(10-7 M)存在下におけるISOの濃度反応曲線に競合的に拮抗したが、算出されたpA2値はこれまでの報告値よりも大きな値であった。
【考察】ラット腸間膜動脈のβ-ADRは、胸部・腹部大動脈と同様、Prop感受性β-ADRとProp非感受性β-ADRに分類されることが示された。Prop感受性β-ADRは主としてβ1であるが、Prop非感受性β-ADRはβ3と推定されるものの、胸部・腹部大動脈のβ3とは性質が異なる可能性が示唆された。