オバラ ケイスケ   Obara Keisuke
  小原 圭将
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 自律神経活動の調節を介したアンジオテンシンⅡによる平滑筋の収縮弛緩機構の制御:循環器系での役割と消化器・泌尿器系での関与の可能性の検討
会議名 第2回下総薬理学研究会
主催者 東邦大学薬学部
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎八巻史子†, 瀧川将央†, 小原圭将†, 田中芳夫†
発表年月日 2018/06/16
開催地
(都市, 国名)
千葉県船橋市(東邦大学薬学部)
学会抄録 第2回下総薬理学研究会プログラム・要旨集 9-9
概要 アンジオテンシンⅡ(AngⅡ)は強力な昇圧作用を示す生理活性ペプチドで、血圧調
節に重要な役割を果たしている。AngⅡの昇圧作用には血管平滑筋の収縮やアルドステ
ロン分泌を介したNa 貯留などが関与するほか、交感神経終末に存在するAT1 受容体の
活性化によるノルアドレナリン遊離促進を介した間接的な血管収縮が関与するとされて
いる。このほか、AngⅡが副交感神経終末からのアセチルコリン(ACh)の遊離機構に
影響を与えることによっても循環器系の制御に関与する可能性を示唆する実験報告もい
くつかなされている。これに関して、私はこれまでに脊髄破壊ラットを用いた検討を行
い、AngⅡが迷走神経刺激に伴う徐脈反応を減弱させ、この効果がAT1 受容体遮断薬に
より解除されることを見出した。この結果は、AngⅡがAT1 受容体活性化とACh 遊離抑
制及び迷走神経活動の抑制を介して心拍数を調節する可能性を示唆するとともに、AngII
が交感神経の活動とともに副交感神経の活動に対しても調節作用を示すことにより循環
器系の制御に関与するという考えを強く支持するものである。
このように、AngII が交感神経のみならず副交感神経の神経伝達物質の遊離調節によ
っても生体機能の制御に有意な影響を与えるとする考えは非常に興味深いものの、循環
器系以外の組織での研究報告がほとんどされていないことから、生体組織にあまねく成
立する機構であるかの検証には、様々な平滑筋組織を用いた多くの検討が必要であると
考えられた。
以上の背景をもとに、私は副交感神経の支配が優位であり神経電気刺激による神経伝
達物質の遊離を反映した収縮反応を比較的高感度で検出可能な膀胱平滑筋組織と消化管
(胃底・小腸)平滑筋組織を対象として、AngⅡによる副交感神経の活動の調節を介し
た収縮機能の制御の可能性について検討してきたので、これまでの進捗状況を報告した
い。