オバラ ケイスケ   Obara Keisuke
  小原 圭将
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 膀胱平滑筋のアセチルコリン(ACh)およびATP誘発収縮に対する各種抗うつ薬の影響
会議名 第9回先端分子薬理研究会
主催者 先端分子薬理研究会(東邦大薬・田中芳夫・田中光先生)
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎鈴木寛子†, 宮谷理美†, 小原圭将†, 宇野準二†, 茅野大介†, 田中芳夫†
発表年月日 2015/08/08
開催地
(都市, 国名)
東邦大学薬学部A館2階(船橋市三山, 千葉県, 日本)
概要 【背景・目的】2000年以降うつ病患者は急激に増加しており、それに伴い、抗うつ薬の処方頻度も増加している。また、同時にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)のような新規抗うつ薬も登場し、うつ病における治療薬の選択肢も広がってきている。抗うつ薬の代表的な副作用には、排尿障害があり、長期にわたる排尿障害は、患者のアドヒアランスおよびQOLの低下を招く恐れがある。一般的に、抗うつ薬による排尿障害はその抗コリン作用に起因するものと考えられているが、各種抗うつ薬がどの程度抗コリン作用を有するかの検討は必ずしも十分に行われていない。また、膀胱の収縮は副交感神経より放出されるAChとATPにより引き起こされることが知られており、排尿障害が抗ATP作用に起因する可能性も否定できない。本研究では、上記の問題を解決する目的で、AChおよびATPによるモルモット排尿平滑筋標本の収縮反応に対する各種抗うつ薬の抑制効果を検討し、抗うつ薬が臨床用量において排尿障害を引き起こしうるかを評価した。
【方法】Hartley系雄性モルモットから摘出した膀胱より三角部を除去した膀胱平滑筋標本を作製し、ACh(10-8 – 3×10-3 M)およびATP(10-8 – 3×10-4 M)による収縮反応に対する18種類の抗うつ薬の影響を評価した。
【結果】三環系抗うつ薬のイミプラミン、クロミプラミン、トリミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、アモキサピン、四環系抗うつ薬のマプロチリン、NaSSAのミルタザピンは、臨床用量範囲内で、AChによる収縮反応を抑制した。また、臨床用量より高い濃度範囲において、四環系抗うつ薬のミアンセリン、SSRIのパロキセチン、セルトラリン、SNRIのデュロキセチンもAChによる収縮反応を抑制し、スルピリド、トラゾドン、アリピプラゾール、SSRIのフルボキサミン、エスシタロプラム、SNRIのミルナシプランはAChによる収縮に影響を与えなかった。一方、ATPによる収縮反応に対しては、臨床用量範囲内では、いずれの抗うつ薬も顕著な影響を示さなかった。