オバラ ケイスケ   Obara Keisuke
  小原 圭将
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル n-3系多価不飽和脂肪酸の静脈内投与による降圧作用-各種高血圧ラットでの検討-
会議名 第9回先端分子薬理研究会
主催者 先端分子薬理研究会(東邦大薬・田中芳夫・田中光先生)
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎湯田紗月†, 鈴木友紀子†, 茅野大介†, 小原圭将†, 田中芳夫†
発表年月日 2015/08/08
開催地
(都市, 国名)
東邦大学薬学部A館2階(船橋市三山, 千葉県, 日本)
概要 【背景・目的】ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は、魚油に多く含有されるn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)であり、疫学的研究や動物実験から高血圧時に有意な降圧作用を示す事が示唆されている。しかし、これらの報告は経口摂取による慢性的な影響を検討したものが多く、静脈内投与による血圧や心拍数への急性的な影響は十分に検討されていない。そこで本研究では、血管収縮薬で高血圧状態にしたラットを用い、静脈内投与によるDHA、EPA及び植物油に多く含有されるn-6系PUFAであるリノール酸(LA)の血圧と心拍数への影響を評価し、PUFAが急性的な降圧作用を示す可能性を検証した。
【方法】ウレタン麻酔下、血圧と心拍数を観血的に測定した。頚静脈からU46619(TXA2安定誘導体)またはノルアドレナリン(NA)を持続投与して高血圧ラットを作成した。対照となる正常血圧ラットには生理食塩液を持続投与した。DHA、EPA、LA及びNO供与体であるニトロプルシドナトリウム(SNP)を大腿静脈から投与し、血圧と心拍数に対する急性的な影響を検討した。
【結果】DHA及びEPAの静脈内投与は、用量依存性かつ一過性の血圧低下を惹起したが、LAの静脈内投与は血圧に有意な影響を与えなかった。U46619処置ラットでのDHAの降圧作用は、NA処置ラットや生理食塩液処置ラットと比べて有意に強く、一方、EPAの降圧作用は3群間で有意な差は認められなかった。心拍数については、EPA及びLAの静脈内投与は、全ての群で用量依存的な低下を惹起したのに対し、DHAの静脈内投与では、U46619処置ラットでのみ有意な低下が認められた。一方、SNPの静脈内投与は、全ての群で同程度の血圧低下作用と心拍数増加作用を示した。
【考察】DHA及びEPAは、静脈内投与でも一過性の降圧作用を示す事が明らかとなり、特にDHAの降圧作用はTXA2受容体を介した昇圧成分に対して選択的に働く可能性が示された。また、LAの静脈内投与が降圧作用を示さなかったことから、DHAやEPAの降圧作用はn-3系PUFAに固有の作用を反映したものであると推察された。