オバラ ケイスケ   Obara Keisuke
  小原 圭将
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル プロスタノイド受容体を介した血管平滑筋及び気管平滑筋の収縮反応に対するドコサヘキサエン酸(DHA)の抑制効果
会議名 生体機能と創薬シンポジウム2015
主催者 公益社団法人日本薬学会薬理系薬学部会, 武田弘志教授(国際医療福祉大学薬学部)
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎茅野大介†, 小原圭将†, 田中芳夫†
発表年月日 2015/08/27
開催地
(都市, 国名)
日本大学薬学部(船橋市, 千葉県)
概要 【背景・目的】n‐3系多価不飽和脂肪酸として知られるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は、薬理学の研究分野でも非常に関心を持たれてその薬理作用が研究されてきた経緯がある。特に、循環器系に対する作用は40年以上前から検討されており、DHAやEPAまたは魚油の摂取が、冠状動脈疾患やアテローム性動脈硬化症の発症を予防すること、血圧を低下させ高血圧症に対する改善効果を示すことが報告されている。最近では、中枢神経系に対する作用も報告されており、アルツハイマー型認知症・うつ病の進行を遅延させる可能性も示されている。さて、DHAやEPAの循環器系疾患に対する予防・改善効果には、血小板凝集抑制や血管拡張が関与するものと推定されるが、その機序の分子基盤の詳細についてはいまだに不明の点が多い。特に、DHAやEPAの即時的な血管拡張作用に関しては、過去に報告された論文の研究結果を詳細に検討してみても、その効果がそれほど顕著とは言い難いものも多く、実験で使用されている濃度も比較的高いものが多い。これらのことを鑑みると、DHAやEPAの循環系保護効果というのは、これらn‐3系多価不飽和脂肪酸を継続的に摂取した場合にのみ得られる慢性的な効果であり、即時的な血管拡張効果は有していないという考えも成立すると思われた。しかし、我々は、偶然にも、DHAがTXA2安定誘導体であるU-46619によるモルモット胸部大動脈の収縮反応を比較的低濃度でかつ著明に抑制することを見出し、その後、ラット導管動脈(胸部大動脈)と抵抗性動脈(腸間膜動脈)でも追究したところ、DHA、EPAともに、U-46619やPGF2αによるプロスタノイド受容体を介した収縮反応を強力に抑制するものの、非プロスタノイド受容体を介した収縮反応に対しては有意な抑制効果を示さないことを見出した。即ち、DHAやEPAなどのn‐3系多価不飽和脂肪酸の標的部位のひとつはプロスタノイド受容体であり、TXA2や血管収縮性PGsに対する競合的拮抗薬として作用することにより、それらがもたらす血管の異常収縮を抑制することがDHAやEPAの循環系保護効果の一部を説明しうると考えた。TXA2は、血管平滑筋のみならず気管平滑筋にも作用してこれを強力に収縮させる内因性因子でもあり、TP受容体拮抗薬やTXA合成酵素阻害薬は気管支ぜん息に対する長期管理薬として臨床で使用されている。そこで、本研究では、