オバラ ケイスケ   Obara Keisuke
  小原 圭将
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル TXA2受容体(TP受容体)アゴニストの昇圧作用に対するドコサヘキサエン酸(DHA)の抑制効果の検討
会議名 第56回日本平滑筋学会総会
主催者 峯徹哉教授(東海大学医学部内科学系消化器内科領域主任教授)
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎茅野大介†, 外山貴之†, 田中智大†, 初山普海†, 小原圭将†, 田中芳夫†
発表年月日 2014/08/08
開催地
(都市, 国名)
新横浜プリンスホテル(横浜市、神奈川県)
学会抄録 第56回日本平滑筋学会総会プログラム・抄録集 61-61
概要 【背景・目的】魚油の継続的な摂取は高血圧時に有意な血圧低下を引き起こす事が報告されている。この降圧作用には、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸による血管拡張が関与すると考えられるが、その機序は十分に解明されていない。我々は、DHA がTXA2受容体アゴニストによる血管収縮を著明に抑制する事を見出し、この作用がDHAの循環保護効果の一端を担う可能性を示した。一方、高血圧症へのTXA2の関与は賛否両論であり、DHAのTXA2受容体を介する収縮抑制作用が降圧効果に繋がるのかも不明である。本研究では、各種高血圧ラットを用いて静脈内投与によるDHAの降圧作用を検討すると共に、高血圧症の血圧調節へのTXA2の関与について検討した。
【方法】①DHAの降圧作用の検討:ウレタン麻酔下、正常血圧ラット(生理食塩液持続投与ラット、Wistar Kyoto(WKY)ラット)及び高血圧ラット(U46619(TXA2安定誘導体)持続投与ラット、ノルアドレナリン(NA)持続投与ラット、高血圧自然発症ラット(SHR))に、DHAを大腿静脈より投与し、血圧と心拍数に対する影響を検討した。②血中TXA2濃度の測定:SHR及びWKYラットの血漿中TXB2濃度をEIA法で測定し、血中TXA2濃度とした。
【結果】1)DHAの静脈内投与は、U-46619持続投与ラットの血圧と心拍数を低下させたが、NA持続投与ラット及び生理食塩液持続投与ラットの血圧と心拍数には影響を与えなかった。2)DHAの静脈内投与は、SHRとWKYラットの血圧を用量依存的に低下させたが、その程度はSHRの方が強かった。3)SHRの血中TXA2濃度は、WKYラットと比べて高値を示した。
【考察】DHAは静脈内投与でも降圧作用を示す事が明らかとなり、その降圧作用はTXA2受容体を介する昇圧成分に対して選択的に働く可能性が示された。また、SHRでは血中TXA2濃度が高く、DHAの静脈内投与が強い降圧作用を示した事から、高血圧症の血圧調節へのTXA2の関与が示唆され、これが高血圧時にDHAが強い降圧作用を示す原因となる事が推察された。