オバラ ケイスケ   Obara Keisuke
  小原 圭将
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 膀胱収縮機能に対するChE阻害薬ジスチグミンの効果
会議名 第6回先端分子薬理研究会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小原圭将†, 小林由里菜†, 佐藤恭輔†, 茅野大介†, 田中芳夫†
発表年月日 2012/12/01
開催地
(都市, 国名)
帝京大学板橋キャンパス(板橋、東京)
概要 【目的】 当教室では、これまで、低活動膀胱に伴う尿排出機能障害に対して適応される可逆的
ChE 阻害薬であるdistigmine(Dis)の膀胱標本における薬理作用を検討し、Dis による改善効果の
機序の一端を明らかにしてきた。本研究では、Dis の作用機序や膀胱収縮機能に対する作用の
特徴をさらに明らかにすることを目的として、in vivo ならびにin vitro 評価系を用いて、膀胱内圧や
摘出排尿筋標本の収縮性に対する影響を検討した。
【方法】 モルモットから摘出した膀胱の排尿筋標本を作製し、経壁電気刺激または
acetylcholine(ACh)による収縮反応を記録した。また、DTNB 法により、ChE 活性を測定した。さら
に、シストメトリー法により、麻酔下モルモットの膀胱内圧変動を記録した。
【結果・考察】 ① Dis(10-6 M)は、経壁電気刺激により誘発され、α,β-mATP 非感受性の性質を
示す排尿筋標本の収縮成分を顕著に増大させたが、atropine(Atr)非感受性の収縮成分は増加さ
せなかった。② Dis(10-6 M) は、wash out 後12 時間に亘り、ACh(3×10-6 M)による収縮反応を増
大させた。③ Dis(10-6 M) は、wash out 後12 時間に亘り、ChE 活性を阻害した。④ Dis(0.03
mg/kg)は、Atr(0.3 mg/kg)およびimipramine(30 mg/kg)によって抑制された排尿時の最大膀胱内
圧(IVPmax)を有意に増大させた。以上の結果から、膀胱収縮機能に対するDis の増強効果は、ChE
阻害作用に基づく副交感神経‐排尿平滑筋シナプス間隙のACh 濃度上昇とその後のムスカリン
受容体の刺激を介したものであり、ATP による収縮反応の増強によるものではないことが示され
た。また、今回の実験結果から、ACh による収縮反応に対するDis の増強効果が長時間に亘るの
は、Dis がChE 活性を長時間に亘り阻害するためであることが初めて明らかとなった。