セキ タカオ
Seki Takao
関 崇生 所属 東邦大学 医学部 医学科 職種 助教 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | FGF18の肝線維化誘導メカニズムの解析 |
会議名 | 第97回日本生化学会大会 |
主催者 | 吉村昭彦 |
学会区分 | 国内学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎関崇生, 土屋勇一, 駒澤幸子, 仁科隆史, 中野裕康 |
発表年月日 | 2024/11/06 |
国名 | 日本 |
開催地 (都市, 国名) |
パシフィコ横浜ノース |
開催期間 | 2024/11/06~2024/11/08 |
概要 | 代謝異常関連脂肪肝やアルコール性肝障害により誘導される肝線維化は、患者の予後を決定する重要な因子である。現時点では、肝線維化の進展を阻止する治療法が確率されておらず、肝線維化のメカニズムを解明することは喫緊の課題である。肝臓の線維化に中心的な役割を果たす細胞は、肝類洞に存在する肝星細胞 (HSCs)である。HSCsは様々な刺激により活性化され、筋線維芽細胞へ分化し、大量のコラーゲンや細胞外マトリックスを産生し線維化を促進する。我々は昨年までの研究により線維芽細胞増殖因子の一つであるFibroblast growth factor 18 (FGF18)の発現が、細胞死の亢進したマウスに肝線維化誘導食を投与すると上昇することを見出した。さらに肝細胞特異的FGF18過剰発現マウスを作製したところ、肝線維化を自然発症し、single cell RNA-seq解析の結果、FGF18を過剰に発現させたマウス肝では、HSCs数が増加していることを見出した。初代培養HSCsをFGF18で刺激した実験から、FGF18はTGFとは異なり、collagensやActa2の発現を誘導しないものの、HSCsの細胞増殖を誘導することが明らかとなった (Tsuchiya, Nat Commun 2023)。しかしながら、HSCsの細胞増殖を誘導するだけで、肝線維化を誘導できるかについては、疑問が残った。そこで、FGF18により誘導され、かつ肝線維化を誘導する新たな因子の同定を試みた。初代培養HSCsをFGF18で刺激し、bulk RNA-seq解析を行った。その結果FGF18刺激によって細胞増殖に関与するCcnd1以外に、Spp1 (Osteopontinをコード)の発現が上昇することを見出した。Osteopontin (OPN)は肝星細胞を活性化することが既に報告されていたことから、FGF18により誘導される肝線維化にOPNが関与しているかを検討した。興味深いことにFGF18刺激によるOPNの発現誘導は、初代培養HSCsでは弱かったものの、固いデイシュで数日間培養しSMAを高発現するようになった筋線維芽細胞では、非常に強く発現がmRNAレベルおよびタンパク質レベルで誘導された。一方で産生されたOPNは静止期HSCsのcollagensやActa2の発現を誘導したが、これらの線維化関連遺伝子の発現が上昇している筋線維芽細胞には誘導しなかった。以上より肝線維化が誘導される状況では、筋線維芽細胞と静止期HSCsがFGF18とOPNを介してクロストークしている可能性が示された。 |