コクラ ケンジ   Kokura Kenji
  古倉 健嗣
   所属   東邦大学  理学部 生物分子科学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル ヒト肺がん細胞の間葉上皮転換 (MET) と骨の微小環境との関連性
会議名 第46回分子生物学会
学会区分 国内学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者細田理央, 下川大翔, 井上今日子, 芦名優花, 奈良井節, 中山祐二, 岸本利彦, 古倉健嗣
発表年月日 2023/12/06
開催地
(都市, 国名)
神戸
開催期間 2023/12/06~2023/12/08
概要 肺がんや乳がんでは骨への転移が頻繁に見られる。骨転移は他の組織への転移と は異なり、骨内に存在するサイトカインや生理活性物質などの液性因子、骨芽細 胞とがん細胞の接着やエクソソームを介したシグナル伝達などが転移に影響を与 えると考えられる。一方、がんの浸潤‧転移には上皮間葉転換 (EMT) と間葉上皮 転換 (MET) が必要と考えられている。肺がんや乳がんをはじめとする癌腫はEMT を起こし運動能を獲得した後、浸潤を始める。脈管系を経由し標的臓器へ到達し
たがん細胞はMETを起こし、再び上皮系細胞の性質を獲得し、増殖して二次腫瘍 を形成する。EMTによるがん細胞の浸潤‧転移メカニズムは注目されている一方 で、転移先の微小環境がMETに与える影響について、詳細は明らかになっていな い。我々は肺がん細胞を用いて、骨の微小環境が転移におけるEMT‧METに与え る影響を明らかにすることを目的として研究をおこなっている。これまでに、間 葉系幹細胞を骨分化させた際の培養上清が、EMT誘導後の肺がん細胞株A549に対 して、METを促進するか否かを検討した。その結果、骨分化培養上清は肺がん細 胞のMETには大きな影響を与えないと考えられた。そこで現在は骨細胞および骨 基質の接触が、肺がん細胞のMETの進行に影響を及ぼすかを検討している。具体 的には1. 間葉系幹細胞を骨細胞に分化させる。2. 肺がん細胞株A549をTGF-βと TNF-αを用いてEMTを誘導する。3. 骨細胞とEMT誘導後のA549細胞を共培養し、 骨細胞部分におけるMETの進行状況を観察している。共培養を行う際に骨細胞と A549細胞を識別するため、AAVS1領域にtd TomatoをノックインしたA549細胞を 用いて、現在条件検討を行なっている。今後はEMT/MET進行をモニターするレ ポーター細胞や免疫染色等を用いてより詳細な解析を行う予定である。