ナガセ ダイスケ
Nagase Daisuke
長瀬 大輔 所属 東邦大学 医学部 医学科(大森病院) 職種 院内講師 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 濾胞性リンパ腫寛解中に出血傾向・意識障害を認めた症例 |
会議名 | 第159回東邦医学会例会 |
主催者 | 東邦医学会 |
学会区分 | 国内学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | 長瀬大輔、三上哲夫 |
発表年月日 | 2022/02/16 |
国名 | 日本 |
開催地 (都市, 国名) |
東京都大田区 |
開催期間 | 2022/02/16~2022/02/18 |
学会抄録 | 第159回東邦医学会例会プログラム 3-3 |
概要 | [症例]66 歳女性.X 年に十二指腸の濾胞性リンパ腫に対して R-CHOP 療法を行い,寛解となった.その後,X+6年に左腋窩などのリンパ節の腫脹と可溶性 IL-2 受容体の上昇を認め,リンパ節生検で濾胞性リンパ腫の再発と診断した.救済化学療法として BR 療法を行い,2 回目の寛解が得られた.その後再発せず経過していたが,X+13 年 6月末に四肢の点状出血を自覚し,7 月より心窩部痛,嘔気,食思不振が出現した.その後体動困難と意識障害を合併したため救急搬送された.入院時,①血小板減少,②溶血性
貧血,③腎機能障害,④発熱,⑤動揺性精神症状の 5 徴を認めたことより,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura;TTP)を疑った.ADMTS13活性の低下および ADMTS13 インヒビターが陽性であったことより後天性 TTP と診断した.血漿交換療法とステロイドパルス療法を開始し,血小板数は増加した.しかし第 5 病日に意識障害が再燃し,MRI で多発塞栓性脳梗塞と診断された.血漿交換を再開するも第7病日に血小板2000/μL と減少し,第 8 病日に突然心停止し死亡した.病理解剖 は死後 2 時間 3 分で行われた. 主病変 1.濾胞性リンパ腫寛解後の状態(2014 年の頚部リンパ節 生検:Follicular lymphoma, Grade 1) 2.血栓性微小血管症/血栓性血小板減少性紫斑病(thromobotic thrombocytepenic purpura) a.微小血栓を心臓,腎臓,肺,膵,脾臓,副腎,胆嚢に認 めた. b.出血部位:皮膚(紫斑),膵頭部,副腎,膀胱粘膜,食 道,胃,十二指腸,肺 副病変 1.心肥大(322 g):右室の拡張あり. 2.急性胆嚢炎:漿膜下の血管に微小血栓が見られた. 3.回腸の区域性出血とびらん 4.腎硬化症(左 102 g,右 36 g)と右腎臓の萎縮. 5.巣状の胸膜の瘢痕 6.胃の多発性の過形成性ポリープ 7.上行結腸の憩室 8.うっ血肝(1028 g) 9.子宮内膜ポリープ(5 mm 大) 10.低異型度膵上皮内腫瘍性病変(PanIN-1~2) 11.身長 153 cm,体重 49.7 kg の一女性屍. 濾胞性リンパ腫に関しては寛解状態であり,再発所見は認められなかった.全身の臓器で,毛細血管~小動脈のレベルの血管内に血栓の形成が認められた.文献的にTTPの血栓が高頻度で見られる臓器は心臓,脳,腎臓,肝臓,膵臓,脾臓,副腎とされており,播種性血管内凝固(DIC)や溶血性尿毒症症候群(HUS)での血栓とは分布が異なっている.臨床的に ADAMST-13 の低下等が判明していることと合わせて,TTP による血栓と判断した.臓器障害として,心臓に巣状の心筋の出血,変性,肉芽組織形成が見られることから心機能の低下が考えられた |