タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル カテコラミン代謝物のアドレナリン受容体に対する作用の評価-ラット胸部大動脈の収縮・弛緩機能に対する影響-
会議名 第15回東邦大学5学部合同学術集会
主催者 東邦大学
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎塩田菜々子†, 張瀟月†, 八巻史子†, 小原圭将†, 田中芳夫†
発表年月日 2019/03/09
開催地
(都市, 国名)
東邦大学習志野キャンパス(船橋市, 千葉県)
学会抄録 第15回東邦大学5学部合同学術集会抄録集 31-31
概要 【背景・目的】ノルアドレナリンやアドレナリンなどのカテコラミン(CA)は、MAO や
COMT により代謝される。これらの代謝酵素の作用により生成した CA 代謝物は、CA 産
生腫瘍の診断に使用されるほか、近年では精神疾患の診断および治療効果の指標としての
有用性が示唆されている。しかし、これらの疾患では CA 代謝物の血中濃度が増加するこ
とが知られているものの、CA 代謝物の変動が生体に与える影響やそれらの薬理作用につ
いては十分には検討されていない。本研究では、大動脈平滑筋標本の収縮・弛緩機能を指
標として、CA 代謝物が α-アドレナリン受容体(α-AR)及び β-AR に対する刺激・拮抗作
用を示す可能性を検討することで、CA 代謝物の末梢での生理的意義の解明を試みること
にした。
【結果】検討した 7 種類のカテコラミン代謝物(ノルメタネフリン:NMN、メタネフリ
ン:MN、3,4-ジヒドロキシマンデル酸(MA):DOMA、3,4-ジヒドロキシフェニルグリコ
ール(PG):DHPG、バニリル MA:VMA、3-メトキシ-4-ヒドロキシ PG:MHPG、MHPG
硫酸)(それぞれ 10−4 M)のうち、NMN と MN はラット胸部大動脈標本を収縮させ、そ
の作用は α1-AR 拮抗薬であるプラゾシンにより抑制された。一方、NMN と MN はフェニ
レフリン(3 × 10−7 M)による収縮反応をそれぞれ約 5%(NMN)、約 15%(MN)抑制し、
その抑制作用は β-AR 拮抗薬であるプロプラノロールによって影響を受けなかった。次に、
β-AR 刺激薬であるイソプレナリンによる弛緩反応に対する影響を検討したところ、NMN
と MN を除く 5 種類の CA 代謝物のうち DHPG(10−4 M)に強力な弛緩抑制作用を見出し
た。
【考察】1)NMN と MN が α1-AR に対して部分活性薬として作用すること、2)DHPG
が β-AR に対して拮抗薬として作用する可能性が示された。したがって、NMN と MN は、
アドレナリンシステムスタビライザーとして機能する可能性が示唆された。