タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ノルアドレナリンはラット膀胱平滑筋のβ3 -アドレナリン受容体の内因性リガンドとなりうるか?
会議名 第2回下総薬理学研究会
主催者 東邦大学薬学部
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎鈴木清那†, 小原圭将†, 柴田寛子†, 米山尚希†, 八巻史子†, 檜貝孝慈†, 田中芳夫†
発表年月日 2018/06/16
開催地
(都市, 国名)
千葉県船橋市(東邦大学薬学部)
学会抄録 第2回下総薬理学研究会プログラム・要旨集 14-14
概要 β-アドレナリン受容体(β-AR)にはβ1–β3 の3 種類のサブタイプが存在することが知
られている。膀胱平滑筋ではβ-AR はその弛緩制御に重要な役割を果たしており、特に
β3-AR の活性化が膀胱平滑筋の弛緩反応を引き起こして膀胱容量を増加させることによ
り過活動膀胱を改善することが報告されている。しかし、交感神経伝達物質であるノル
アドレナリン(NA)が、膀胱平滑筋の弛緩反応を誘発するβ3-AR の内因性リガンドとし
て働く可能性についての十分な知見は得られていない。本研究では、ラット膀胱平滑筋
組織を用いてNA がβ3-AR の内因性リガンドとなる可能性を検証した。
はじめに、RT-PCR 法を用いてWistar 系雄性ラットの膀胱組織に発現するβ-AR の
mRNA の発現を確認したところ、β1、β2、β3-AR すべてのmRNA の発現が確認された。
次に、摘出した膀胱平滑筋をメタコリン(3 × 10−5 M)で収縮させ、NA による弛緩反応
に対する各種β-AR 拮抗薬の影響を検討した。その結果、NA による弛緩反応は、atenolol
(10−6 M; 選択的β1-AR 拮抗薬)、ICI-118,551(3 × 10−8 M; 選択的β2-AR 拮抗薬)、
propranolol(10−7 M; 非選択的β-AR 拮抗薬)、bupuranolol(10−7 M; 非選択的β-AR 拮抗
薬)により有意に抑制されなかった。一方、propranolol(10−6 M)存在下、NA による弛
緩反応は、bupuranolol(3 × 10−7–3 × 10−6 M)及びSR59230A(10−7–10−6 M; 選択的β3-AR
拮抗薬)により競合的に拮抗され、そのpA2 値はそれぞれ、6.64、7.27 と算出された。
また、NA の6 種類の代謝物の弛緩作用を検討したところ、いずれの代謝物も弛緩作用
を示さなかった。
本研究結果から、ラット膀胱平滑筋においてNA は、その代謝物ではなく、NA 自身
がβ3-AR を介して弛緩反応を引き起こすことが示された。よって、NA はラット膀胱平
滑筋のβ3-AR の内因性リガンドとなりうると考えられた。