タナカ ヨシオ
Tanaka Yoshio
田中 芳夫 所属 東邦大学 薬学部 薬学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 遺伝子組み換え型ヒトアセチルコリンエステラーゼ(rhAChE)活性阻害効果を指標としたジスチグミン臭化物の長時間に亘る膀胱運動増強効果の機序に関する検討 |
会議名 | 第59回日本平滑筋学会総会 |
主催者 | 福岡大学医学部生理学(井上隆司教授) |
学会区分 | 国内学会 |
発表形式 | ポスター掲示 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎小原圭将†, 田中芳夫† |
発表年月日 | 2017/08/25 |
開催地 (都市, 国名) |
福岡県福岡市(福岡大学図書館・多目的ホール) |
学会抄録 | 第59回日本平滑筋学会総会プログラム・抄録集 75-75 |
概要 | 【目的】ジスチグミン(Dis)は低活動膀胱に適用される可逆的コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬で、長時間作用持続性の性質を示すとされている。実際、我々がシストメトリー法を用いて検討すると、Disは麻酔下モルモットの膀胱運動を12時間にも亘り増強することが明らかとなった。さらに、興味深いことに、Disによる膀胱運動増強効果は、その血漿中濃度が99%以上低下した後も持続されていた。本研究では、Disの作用が長時間持続する機序を明らかにすることを目的とし、遺伝子組み換え型ヒトアセチルコリンエステラーゼ(rhAChE)に対するDisの活性阻害作用の持続性を検討するとともに、他のChE阻害薬の阻害作用の持続性と比較した。
【方法】限外ろ過膜付デバイスを用い、rhAChEを任意のChE阻害薬で処置した後、限外ろ過によりrhAChEに結合していない未反応のChE阻害薬を分離(洗滌)した。その後、ろ過膜上に残ったrhAChEの活性をDTNB法により測定し、この操作をChE阻害薬洗滌後6時間後または48時間後まで繰り返した。 【結果】1)ピリドスチグミン、ネオスチグミン、アンベノニウム(10-6 M)では、阻害されたAChE活性は薬物洗滌後、2~4時間でChE阻害薬非存在下での対照実験のAChE活性と同程度まで回復した。また、各ChE阻害薬のAChEに対する解離速度定数(ke)は、それぞれ、0.51 ± 0.05 h-1、0.66 ± 0.03 h-1、1.41 ± 0.08 h-1、解離半減期(t1/2)はそれぞれ1.36 h、1.05 h、0.49 hと算出された。2)Dis(10-6 M)では、洗滌後6時間経過しても阻害されたAChE活性は全く回復しなかった。しかし、その後非常に緩徐に回復し、48時間後では17%から49%まで回復した。DisのAChEに対するkeは0.012 ± 0.001 h-1、t1/2は57.8 hと算出された。 【結論】本実験結果から、Disは他のChE阻害薬と比較すると40~120倍AChEから解離しにくい性質を有することが明らかとなり、低活動膀胱治療薬として極めて長時間にわたり膀胱の収縮反応や膀胱運動を増強する機序の一旦である可能性が示された。 |