タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 雌性モルモットの近位および遠位尿道でのノルアドレナリンの収縮作用に対する各種抗うつ薬の影響
会議名 日本薬学会第136年会
主催者 伊藤智夫教授
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小原圭将†, 今中智子†, 福原央香†, 宇野準二†, 茅野大介†, 田中芳夫†
発表年月日 2016/03/27
開催地
(都市, 国名)
パシフィコ横浜(横浜市, 神奈川)
概要 【目的】抗うつ薬のなかには副作用として排尿障害を引き起こすものがある。この障害は、一般には、抗コリン作用による膀胱平滑筋の収縮抑制に起因するものと考えられている。しかし、ノルアドレナリン(NA)再取込み阻害作用を有する抗うつ薬は、尿道括約筋の収縮増強を介して排尿障害を誘発する可能性がある。本研究では、各種抗うつ薬による尿道括約筋のNAによる収縮反応の増強効果を検討し、尿道抵抗の増大を介して排尿障害を誘発する可能性を検証した。
【方法】雌性モルモットから摘出した尿道を4等分し、リング状標本を作製した。このうち、最も膀胱よりの尿道部分(近位尿道)と最も外尿道口よりの尿道部分(遠位尿道)の2標本を実験に供し、NAの濃度反応曲線に対する各種抗うつ薬(10-6 M)の影響を評価した。
【結果】デシプラミン・ノルトリプチリン・アモキサピン(三環系抗うつ薬)、マプロチリン(四環系抗うつ薬)、パロキセチン(SSRI)、ミルナシプラン・デュロキセチン(SNRI)は、遠位尿道でのNAによる収縮反応を増強させた。一方、イミプラミン・クロミプラミン・トリミプラミン・アミトリプチリン・ノルトリプチリン(三環系抗うつ薬)は、近位尿道でのNAによる収縮反応を抑制した。フルボキサミン・セルトラリン・エスシタロプラム(SSRI)、ミルタザピン(NaSSA)は、近位及び遠位両尿道のいずれにおいても、NAによる収縮反応に対して顕著な影響を与えなかった。
【考察】本研究結果から、抗うつ薬のなかには遠位尿道でのNAによる収縮反応を増強させるものがあることが明らかとなり、抗うつ薬の選択の際には尿道抵抗の増大に起因する排尿障害の可能性についても考慮する必要性が示された。