タナカ ヨシオ
Tanaka Yoshio
田中 芳夫 所属 東邦大学 薬学部 薬学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | ジスチグミン臭化物(Dis)によるコリンエステラーゼ(ChE)活性阻害作用の持続性に関する検討 |
会議名 | 第8回先端分子薬理研究会 |
主催者 | 先端分子薬理研究会(北里大薬・田辺光男先生) |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎小原圭将†、茅野大介†、田中芳夫† |
発表年月日 | 2014/11/29 |
開催地 (都市, 国名) |
北里大学(港区、東京) |
概要 | 【目的】Disは低活動膀胱の治療に使用される可逆的ChE阻害薬であり、その効果は長時間に亘って持続することが知られている。しかし、その実験的根拠はそれほど明確に示されているわけでなく、長時間持続性の理由もよく分かっていない。この点に関して、我々は、モルモット摘出排尿筋標本でのAChの収縮作用のDisによる増強効果が、Disの洗滌後も12時間に亘り持続することから、Disの作用が血中濃度と相関しない可能性を見出した。本研究では、この現象をさらに明らかにする目的で、シストメトリー法を用いてDisの膀胱収縮増強効果の持続性と血中濃度やChE活性阻害効果との関連性、DisによるChE活性阻害効果の持続性を検討した。
【方法】シストメトリー法により記録されるモルモット膀胱運動に対するDisの増強効果を、本阻害薬投与12時間後まで測定するとともに、モルモットから経時的に採血し、血漿中Dis濃度をLC/MS法にて、血中ChE活性をDTNB法にて測定した。また、リコンビナントヒトAChEを用いて、Dis洗滌後の酵素活性の経時変化を検討した。 【結果】① Dis(0.03 – 0.1 mg/kg)は、投与後12時間に亘り、排尿時の最大膀胱内圧(IVPmax)を増大させた。この間、血中と膀胱のAChE活性は有意に阻害され続けた。② Disの血中からの消失半減期は約0.7時間と算出され、投与約6時間以降は血漿中のDis濃度は投与直後の1%未満まで低下した。③ Dis(10-6 M)は、リコンビナントヒトAChEの活性を、本阻害薬洗滌後も48時間に亘り有意に阻害し続けた。 【考察】Disによる膀胱収縮運動機能の増強効果は、Disが血中から消失した後も持続し続け、その効果は長時間に亘る本薬のAChE阻害作用に基づくものであることが示された。また、DisによるAChE阻害効果が長時間持続するのは、DisとAChEにより生成する複合体が強固な結合を有するためであると推察された。 |