タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ドコサヘキサエン酸(DHA)による気管平滑筋の収縮抑制作用の可能性の検討
会議名 第56回日本平滑筋学会総会
主催者 峯徹哉教授(東海大学医学部内科学系消化器内科領域主任教授)
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎西岡菜々子†、黒木孝太†、佐藤恭輔†、金井啓祐†、小原圭将†、茅野大介†、田中芳夫†
発表年月日 2014/08/07
開催地
(都市, 国名)
新横浜プリンスホテル(横浜市、神奈川県)
学会抄録 第56回日本平滑筋学会総会プログラム・抄録集 48-48
概要 【背景・目的】我々は、ω-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)に分類されるドコサヘキサエン酸(DHA)の血管に対する作用を検討し、DHAがTXA2受容体(TP受容体)アゴニストによってもたらされるラットの大動脈や腸間膜動脈の収縮反応を著明に抑制することを見出し、この作用がDHAの循環保護効果の一端を担う可能性を示した。一方、TXA2は、血管平滑筋のみならず気管平滑筋にも作用してこれを強力に収縮させる内因性因子でもあり、TP受容体遮断薬やTXA合成酵素阻害薬は気管支ぜん息に対する長期管理薬として臨床で使用されている。本研究では、DHAが気管平滑筋でもTP受容体刺激を介した収縮反応を抑制するか否かを明らかにすることで、このω-3系PUFAが気管支ぜん息に対して予防・改善効果を発揮する可能性を検討した。
【方法】モルモットから摘出した気管組織のリング標本を作製し、各種収縮刺激による収縮反応に対するDHAの影響を検討した。
【結果】1)DHAは、U-46619(TXA2安定誘導体)とPGF2αによる収縮に対して、これらがほぼ最大収縮反応を誘発する濃度を用いた場合は有意な抑制を示さなかった。一方、最大収縮の30-60%の収縮を誘発する濃度を用いた場合は、これを強く抑制した。2)DHAは、U-46619とPGFの濃度反応曲線を抑制した。3)DHAは、U-46619とPGFによる収縮反応を抑制する濃度を用いても、アセチルコリン(ACh)やヒスタミン(His)の濃度反応曲線にはほとんど影響を与えなかった。
【考察】DHAは、気管平滑筋組織においても、プロスタノイド受容体を介した収縮を非プロスタノイド受容体を介した収縮と比較してより著明に抑制することが明らかとなり、このω-3系PUFAが気管支ぜん息に対して予防・改善効果を発揮する可能性が示唆された。