オバラ ケイスケ
Obara Keisuke
小原 圭将 所属 東邦大学 薬学部 薬学科 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 下部尿路機能に対する副交感神経興奮様薬の作用とその機序について-コリンエステラーゼ阻害薬の作用を中心として- |
会議名 | 第56回日本平滑筋学会総会 |
主催者 | 峯徹哉教授(東海大学医学部内科学系消化器内科領域主任教授) |
学会区分 | 国内学会 |
招聘 | 招聘 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | シンポジウム・ワークショップ パネル(指名) |
発表者・共同発表者 | ◎小原圭将†, 茅野大介†, 田中芳夫† |
発表年月日 | 2014/08/07 |
開催地 (都市, 国名) |
新横浜プリンスホテル(横浜市、神奈川県) |
学会抄録 | 第56回日本平滑筋学会総会プログラム・抄録集 37-37 |
概要 | 下部尿路機能障害は、膀胱および尿道の機能障害に起因する疾患であり、蓄尿機能障害と排尿機能障害に大別される。蓄尿機能障害である過活動膀胱に対しては、最近、膀胱選択性を有する新しい抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体刺激薬が臨床応用されるようになったが、低活動膀胱に伴う排尿機能障害に対しては、コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬であるジスチグミン(Dis)やムスカリン受容体刺激薬であるベタネコール(Bet)のような比較的古典的な副交感神経興奮様薬が現在でも臨床的に重要な地位を占めている。
副交感神経興奮様薬が排尿機能障害に対して優れた治療効果を発揮することは、過去の使用実績から明らかであるが、これを支持する実験的根拠は実は必ずしも十分に示されていなかった。そこで、我々は、副交感神経興奮様薬がモルモット下部尿路機能に与える影響やその機序について、in vitroおよびin vivoで検討した。その結果、ChE阻害薬であるDisが、蓄尿期には影響を与えずに、排尿時の最大膀胱内圧のみを著明に増強することを見出した。また、Disが、経壁電気刺激により発生する収縮反応のうちアトロピン感受性収縮成分のみを増強すること、尿道内圧には影響を与えないこと、他のChE阻害薬やBetと比較して作用持続時間が著しく長いことを見出し、Disの下部尿路機能に対する作用とその特徴を明らかにしてきた。 今回は、Disの膀胱運動機能の増強効果が長時間に亘る理由をさらに追究したところ、Disは血中から消失した後もその効果が有意に持続し、これがDisのChEに対する結合が強固でwash outされにくいという性質に起因する可能性を示す結果が得られたのでその経緯を報告する。また、副交感神経興奮様薬は、例えば、三環系抗うつ薬などの中枢性疾患治療薬を服用した際に出現する排尿機能障害に対しても用いられることがあるが、今回は、Disがそのように臨床応用される場合も有意な治療効果を発揮する可能性に関する基礎的検討を行ったので、その結果も併せて報告する。 |