タナカ ヨシオ   Tanaka Yoshio
  田中 芳夫
   所属   東邦大学  薬学部 薬学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ジスチグミンによる膀胱収縮機能の長時間持続性増強効果とコリンエステラーゼ(ChE)活性阻害作用の関連性の検討
会議名 第55回日本平滑筋学会総会
学会区分 国内学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小原圭将†, 片寄亜耶†, 金木瑛理子†, 佐藤恭輔†, 茅野大介†, 田中芳夫†
発表年月日 2013/08/08
開催地
(都市, 国名)
旭川市大雪クリスタルホール(旭川市、北海道)
概要 【目的】ジスチグミン(distigmine:Dis)(臭化物)は低活動膀胱に伴う尿排出機能障害に対して適応される可
逆的ChE阻害薬で,膀胱収縮増強効果が長時間に亘って持続するという特長をもつ.しかし,その理由は依
然として不明のままである.本研究では,Disの膀胱収縮増強効果がどの程度まで持続するのかをさらに追
究するとともに,ChE活性阻害効果との関連性を検討した.
【方法】モルモット排尿筋標本でのAChによる収縮反応・DTNB法により測定したChE活性に対するDisの増強
効果・阻害効果について,Disのwashout後12時間に亘りその持続性を検討し,ピリドスチグミン
(pyridostigmine:Pyr),ネオスチグミン(neostigmine:Neo),アンベノニウム(ambenonium:Ambe)の結果と
比較した.また,Disについては,シストメトリー法により記録される膀胱運動の増強効果の持続性を,投与
後12時間まで観察した.
【結果】1)Dis(10-6M)は,ACh(3×10-6M)による収縮反応をwashout後も12時間に亘り増大させた.他
方,Pyr,Neo,Ambe(各10-6M)では,増強効果は,washout後約2時間で消失した.なお,Dis(10-6M)は,
ATPによる収縮反応を増強しなかった. 2)Dis(10-6M)は,washout後も12時間に亘り,ChE活性を阻害し
た. 3)Dis(0.03mg/kg)は,投与後12時間に亘り,排尿時の最大膀胱内圧(IVPmax)を増大させ,血中なら
びに膀胱のAChE活性を低下させた.
【考察】Disによる摘出排尿筋標本の収縮反応の増強効果が,Disのwashout後も少なくとも12時間に亘り持続
することから,Disが生体内に投与された場合,その血中濃度が有意に低下した場合でも膀胱運動に対する増
強効果が残存する可能性が示唆された.ただし,AChによる収縮反応に対するDisの増強効果が長時間に亘
って持続するのは,ChE活性がDisにより阻害されていることを反映したものであることも示された.